安倍首相は3日の内閣改造後の記者会見で、「改憲はスケジュールありきではない」、「党主導で進めていってもらいたい」と発言するなど表面上は改憲志向を弱めたかに見せました。
しかし実態はあくまでも改憲を目指すということであり、自民党の憲法改正推進本部はすでに「9条」、「緊急事態条項」、「参院の合区」、「教育無償化」について議論を一巡させているし、取り巻きの高村正彦副総裁や萩生田光一党幹事長代行は、それぞれ「最初からスケジュールを放棄するのはよくない」、「党内の議論をまとめて、自民党案を正式に出せる準備をする」などと述べています。
要するに、衆参両院で改憲勢力が3分の2を占めているこの機会を逃したら、改憲のチャンスはなくなるとする「日本会議」、「英霊にこたえる会」などの改憲団体の意向を踏まえて、着々と準備を進めているということです。
しんぶん赤旗日曜版の記事を紹介します。
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安倍改憲あくまで狙う “チャンス逃すな”と改憲団体
しんぶん赤旗日曜版 2017年8月27日
″9条を改憲し2020年施行をめざす″と5月に宣言した安倍晋三首相。内閣支持率の急落や、東京都議選での自民党大敗で当初の″改憲戦略″に狂いが生じています。それでも安倍首相は、国会で改憲発議に必要な3分の2を改憲勢力が占めるもと、あくまで改憲に突き進む構えです。 田中倫央記者
「歩みは止めない」
安倍首相は、内閣改造後の記者会見(3日)で「(改憲日程は)スケジュールありきではない」「党主導で進めていってもらいたい」と発言しました。しかし、これは「目くらましみたいなもの」(著名な政治ジャーナリスト)。自民党が当初のスケジュールをあきらめたわけではありません。
実際、白民党の高村正彦副総裁は、次期臨時国会に自民党改憲案を提示する方針について「できればそうしたい。最初からスケジュールを放棄するのはよくない」(15日)と述べています。
自民党憲法改正推進本部は、すでに「9条」「緊急事態条項」「参院の合区」「教育無償化」について議論を一巡させました。9月上旬には9条改憲の中身について議論する予定。その上で自民党としての案を取りまとめたい考えです。
首相側近の萩生田光一党幹事長代行は、7日のBSフジ番組で「(改憲の)旗を掲げながら歩みは止めない。党内の議論をまとめて、自民党案を正式に出せる準備をする」と強弁しています。
「多数派持つうちに」
改憲団体は必死で自民党への″改憲圧力″を強めています。
終戦記念日の15日、靖国神社境内で開かれた「中央国民集会」。先の侵略戦争を「自存自衛」だと美化する改憲右翼団体「日本会議」と、靖国神社への天皇、首相らの公式参拝と同神社の「国家護持」を求める「英霊にこたえる会」の共催です。「英霊にこたえる会」の寺島泰三会長(元統幕議長)はこうあいさつしました。
「昨今の政治情勢により、安倍総理は、目標に掲げていた2020年までの憲法改正・実施について『目標にこだわらない』という軌道修正がされたことはいささか残念だ。しかしながら、今回の機会を逃したら、未来永劫(えいごう)に憲法改正の道は閉ざされるといっても過言ではない」
寺島氏は、″9条1項、2項はそのままで自衛隊を明記する″ という安倍首相の発言について「安倍総理の提案は100点満点とはいえません」としながらも、「われわれは断固結束して改定を実現するため、全力を結集して対処するべきだ」とよぴかけました。
要するに、中身についていろいろ意見はあっても、国会で与党が3分の2を握っている今のうちに改憲しようというわけです。
日本会議の田久保忠衛会長らが共同代表を務める「美しい日本の憲法をつくる国民の会」。憲法改定の国民投票で過半数の賛成が必要になるとして、1000万賛同署名運動にとりくみ、ことし5月段階で「922万9238人」分を集めたと宣伝しています。