安倍首相がウソ吐きであることはもはや周知の事実ですが、官僚やときには大手マスメディまでが彼の意向を忖度し隠蔽に励むので、いざ決定的に叩こうとしても証拠はなかなか出てきません。時には決定的な証拠も現れますが、いわゆるミッシングリンクがあるので、恥を知らない人間であれば居直ってしまいます。
しかし海外が絡むとそうはいきません。彼らには惻隠の情はないし、そもそも忖度する必要がないからです。
安倍首相が、米国の中間選挙に間に合うように統合型リゾート(IR)実施法の成立を急いだとき、トランプ氏から要求されたからという疑惑が言われましたが、10日、まさにそれを裏付ける米調査サイトの報道がありました。これによって安倍首相が国会でウソの答弁をしたことが明かになりました。
また、日米二国間貿易協定(FTA)を、国内向けにだけ「TAG」というインチキ造語で誤魔化そうとしたのも、お粗末な話でした。
それは直ぐに海外報道によってデタラメであることが明らかにされましたし、外務省発表の日米共同声明の日本語訳と英語の正文、在日米国大使館の日本語訳との比較からも証明されました。
何等の細工も必要としない米国版が真実であることは明らかなことで、ウソを積み重ねても見苦しいだけです。
J-CASTニュースとしんぶん赤旗の記事を紹介します
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カジノめぐる新たな「火種」トランプ氏が安倍首相に「厚かましい提起」報道
2018年10月11日
2018年7月に成立したカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法をめぐり、新たな火種が浮上しそうだ。
安倍晋三首相は国会審議で、トランプ大統領との間で「米国の企業からの要望等に関する会話をしたことは一切ない」と答弁していた。だが、米国の調査報道サイト「プロパブリカ」は10月10日(現地時間)、トランプ氏の大口寄付者が経営するカジノ企業「ラスベガス・サンズ」について、日本参入を認めるようにトランプ氏が安倍氏に迫ったと報じた。仮にこの報道が正しいとなれば、国会答弁との整合性が問われることになりそうだ。
「安倍氏は特に反応せず、情報に感謝する、と述べた」
プロパブリカによると、トランプ氏からの働きかけがあったとされるのは安倍氏が訪米した2017年2月。「会談について把握している2人の人物」の話として報じた。
シンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」などを経営する「ラスベガス・サンズ」のシェルドン・アデルソン会長はトランプ氏の大口寄付者として知られる。米フロリダ州・パームビーチにあるトランプ氏所有のリゾート施設「マー・ア・ラゴ」で2月11日、「トランプ氏がアデスソン氏のカジノ案件について安倍氏に提起」したというのだ。この発言は突然で、
「日本側は驚いた」
「彼(トランプ氏)が余りにも厚かましく、彼ら(日本側)は少し疑わしそうにしていた」
などと日本側の反応を伝えている。トランプ氏は安倍氏に対して、ラスベガス・サンズに認可を与えるように強く求めたが、「安倍氏は特に反応せず、情報に感謝する、と述べた」という。
トランプ氏の発言は「長年にわたる規範に反する」
このやり取りについて、プロパブリカは
「大統領が最大献金者の個人的ビジネスの利害に直接結びつく事柄を外国首脳に提起するのは、長年にわたる規範に反する」
としてトランプ氏を批判。批判は安倍氏にも及びそうだ。アデルソン氏とトランプ氏のつながりは、過去の国会審議でも問題になってきたからだ。
18年7月6日の参院本会議で立憲民主党の杉尾秀哉氏が
「カジノ産業を有力スポンサーにするトランプ大統領との間に密約でもあるのか」
と質したのに対して、安倍氏は
「トランプ大統領との間において、米国の企業からの要望等に関する会話をしたことは一切ない」
と答弁。プロパブリカでは、この答弁を念頭に
「安倍氏は7月に国会議員の前で行った答弁で、トランプ氏がカジノ会社からの要望を伝えたことを否定したが、話題が出たことは否定しなかった」
と指摘している。
菅義偉官房長官は10月11日午後の記者会見で、今回の報道をしたプロパブリカが著名な調査報道サイトであることを指摘され、
「どのような方が書かれたか知りませんけれども、総理が国会で述べられたとおり」
と述べるにとどめた。
外交文書までねつ造 日米共同声明 日米FTAそのもの
志位委員長が批判
しんぶん赤旗 2018年10月12日
日本共産党の志位和夫委員長は11日、国会内で記者会見し、先月の日米首脳会談の日米共同声明について、日本政府が安倍晋三首相の国会答弁に合わせる形で英語の正文にはない「日米物品貿易協定(TAG)」を日本語訳として記載して発表したことが明らかになったと指摘し、「日米首脳会談で協議開始で合意したのは日米FTA(自由貿易協定)そのものだ。外交文書のねつ造まで行われた」と糾弾し、「国会で徹底追及する」と表明しました。
志位氏は、外務省発表の日米共同声明の日本語訳と英語の正文、在日米国大使館の日本語訳を示し、外務省の声明には「TAGの交渉を開始する」とあるが、英語の正文には「TAG」という表現そのものがないと指摘。在日米国大使館の訳にも「TAG」との表現はなく、「米国と日本は、必要な国内手続きが完了した後、早期に成果が生じる可能性のある物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する」としていると説明し、「こちらの方が英語の正文の正確な翻訳だ」と述べ、日米共同声明は「日米FTA交渉を開始することを両国で確認したということにほかなりません」と強調しました。
志位氏は、安倍首相が「今回のTAGは、これまで日本が結んできた包括的なFTAとは全く異なる」(9月26日の会見)などと説明しているが、「FTAで合意しておいて、外交文書をねつ造し、TAGだと偽る。国民を愚弄(ぐろう)するものだ」と糾弾しました。
ねつ造が行われた理由について志位氏は、安倍首相がトランプ政権との交渉について「日米FTA(自由貿易協定)交渉と位置づけられるものではなく、その予備協議でもない」(5月8日、衆院本会議)としてきた国会答弁に合わせたものと指摘。「この構図は首相の国会答弁に合わせて文書を隠ぺいしたり、改ざんしたりした森友疑惑と同じだ。それがついに外交の分野まできたというのは許しがたい」と断じました。
さらに志位氏は、日米FTA交渉の開始を合意した事は非常に深刻だとし、「TPP(環太平洋連携協定)で譲歩した線がスタートラインになり、際限のない譲歩を迫られることになる」と指摘。「全体の構図はトランプ政権が自動車の高関税を脅しに使い、農産物の関税を下げろと迫ってくるわけだが、この構図は際限がない。米国の自動車産業にとっては日本の農産物の関税がどんなに下がっても自分たちの利益にならない。だからこの脅しはいつまでも続く。この構図でいけば日本の農業は身ぐるみ剥がされることになる。そのうえ自動車への高関税を回避できる保証もない」と批判しました。そして「まさに亡国の合意だ。食料主権、経済主権を投げ捨てる合意だ」と強調しました。
志位氏は、これまでも自民党が「TPP断固反対」「農産物の重要5項目は守る」としてきた約束を覆し続けてきた事実を指摘し、「今回もFTAはやらないといいながら平気でFTAの合意を結び、『FTAではなくTAGだ』とウソをつく。どこまで日本国民を愚弄すれば気がすむのか」と述べ、「国会で徹底的に追及していきたい」と表明しました。