2018年10月20日土曜日

20- 日本の国連核廃絶決議案 今年も核禁条約触れず 失望広がる

 日本政府は18日までに国連総会第1委員会(軍縮)に、核兵器の廃絶を目指す決議案を提出しました。日本の核廃絶決議案は25年連続です
 決議案は、米国への配慮から昨年同様 核兵器禁止条約への言及を避け、米国の核の傘に依存する日本は、「安全保障と軍縮を同時に進める必要がある。それが核軍縮のため現実的かつ実践的な取り組みと考える立場であると説明する一方で、旧来の核拡散防止条約(NPT)体制を通じて核軍縮を進める重要性を強調するものです。
 核兵器禁止条約推進国の間には失望が広がっているということです
 日本は「核の傘」を錦の御旗にしていますが、その一方でオバマ大統領(当時)が「核兵器の先制使用禁止宣言」を出そうとしたときには反対してそれを止めさせ、今年2月、米国が実戦での使用を前提とする戦術核兵器の拡充計画を公表した時にも、いち早く賛意を表明しました。
 日本は核兵器の問題でも、決して世界から信頼される国ではありません。
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日本の国連核廃絶決議案、今年も核禁条約触れず
東京新聞 2018年10月19日
【ニューヨーク=赤川肇】日本政府は、国連総会第一委員会(軍縮)に、毎年恒例の核兵器廃絶決議案「核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動」を提出した。昨年同様、米国など核保有国への配慮から核兵器の非人道性について表現を弱めたほか、昨年制定された核兵器禁止条約に言及しておらず、条約推進国の反発も予想される。
 
 決議案について、米国の「核の傘」に依存する日本の政府関係者は「安全保障と軍縮を同時に進める必要がある。核軍縮のために現実的かつ実践的な取り組みだ」と説明。核兵器を法的に禁止する核禁止条約に核保有国が「非現実的」と反対する中、日本も条約の推進から距離を置かざるを得ない立場を強調する。
 
 一昨年までの決議では、「あらゆる核兵器使用の壊滅的で非人道的な結末」への懸念を明記していた。
 しかし昨年は「あらゆる」との文言を削除し、核抑止力を前提に国家間の「信頼構築」を促す必要性を強調。核禁止条約の推進国で一六年決議の共同提案国だったオーストリアが「核軍縮を後回しにする書きぶり」と批判するなど、被爆国としてのあり方に疑問の声が相次ぎ、第一委での賛成は一六年の百六十七カ国から百四十四カ国に減った。
 日本の核兵器廃絶決議案は一九九四年以来二十五年連続で、今年は十一月上旬に第一委で採決される。
 
 核禁止条約は批准国が五十カ国に達した九十日後に発効する。これまでに十九カ国が批准。制定に尽力して一七年のノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」は、一九年末までの発効を目指している。
 
◆日本提出案ポイント
 日本政府が国連総会に提出した核兵器廃絶決議案のポイントは次の通り。
一、核拡散防止条約(NPT)の重要性を強調。
一、核兵器のない世界実現に向けたさまざまなアプローチに留意。
一、北朝鮮に、韓国や米国との首脳会談での非核化に向けた約束を実行するよう要請。
一、グテレス事務総長の長崎訪問を歓迎。
一、核兵器使用による壊滅的な人道上の結末を深く懸念。    (共同)