加計理事長は6月の大阪地震の翌日、ドサクサに紛れてごく一部の記者しか参加できない中で25分間の会見を行いましたが、極めて不十分なものでした。
愛媛県議会は7月11日に加計学園に対外的な説明責任を果たすよう求める決議を全会一致で採択し、中村・愛媛県知事も、再度会見を開くことを求めてきました。
加計理事長は7日、ようやく愛媛県の要求に応じ、今治市の獣医学部で会見を開きました。しかし、虚偽報告をしたとされている当事者の渡邉良人常務理事兼事務局長は現れず、理事長は同常務の「勇み足」だったと述べるのみで、詳しいことになると 「私はよく存じ上げておりません」、「その場にいなかったので、常務からの話を聞くわけですから」と、「わからない」「知らない」の一点張りで、記者席から「なんで渡邉さん、ここにいないんですか?」、「では、なんのためにこの会見を開いたんですか?」と追及される始末でした。
これでは県議会が要求した「対外的な説明責任」を果たしたとも、知事が望んだ「学園の信頼向上」につながったとも思われません。結局 加計理事長は、愛媛県からの補助金が打ち切られないようにとしぶしぶ会見を開いたものの、醜態を晒しただけという結果になりました。
LITERAの記事を紹介します。
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加計理事長会見で珍しく新聞・テレビ記者たちが徹底糾弾!
追い詰められた加計理事長がデタラメ言い訳連発
LITERA 2018年10月7日
あの史上最悪のゲス会見から約半年。本日14時より、加計学園・加計孝太郎理事長が、岡山理科大学獣医学部がある今治キャンパスで会見をおこなった。
加計理事長はたった25分で打ち切った6月の会見以降、再び会見を開くことを拒否してきたが、愛媛県議会が7月11日に加計学園に対外的な説明責任を果たすよう求める決議を全会一致で採択。中村時広・愛媛県知事も「学園の信頼向上のため、トップがガバナンス、コンプライアンスを高めるための努力をしていただきたい」と述べ、再度会見を開くことを求めてきた。
ようするに、このまま加計理事長が再び会見を実施しなければ、愛媛県からの補助金打ち切りも考えられるため、しぶしぶ会見を開いたというわけだ。
しかも、安倍首相と加計理事長が面談したと「虚偽の説明」をおこなった元事務局長である渡邉良人常務は出席せず、柳澤康信・岡山理科大学長と上田剛久・同大事務局長が出席。2人はシンポジウムの宣伝からはじまり、コンプライアンスとガバナンスという言葉を繰り返す学園体制や今後の展望などを一方的に長々と語ったのだった。
まるで、獣医学部新設にいたる疑惑などなかったかのような態度で身勝手な会見をおこなった加計学園だが、その無責任体質を象徴したのは、加計理事長のこんな言葉だ。
「(このままでは)市や県の協力も得られなくなるのではないか、そういうなかで、まあ、(渡邉)常務のほうが、勇み足をしましたと言いますか」
何度でも言うが、渡邉常務が嘘をついたというのがほんとうなら、これは詐欺的行為であることは間違いない。にもかかわらず、加計理事長はたんなる「勇み足」だったと言うのである。
前回の会見でも、加計理事長はこうやって渡邉常務に罪を押し付けたが、しかし、今回と前回で大きく違ったのは、この加計理事長の無責任な態度やあいまいな説明に対し、記者たちが徹底的に質問を浴びせたことだ。
まず、最初に質問をした『報道特集』(TBS)の金平茂紀キャスターは、「『勇み足』という認識なのか?」「渡邉・前事務局長のおこなった行為によって、いろいろな物事が進んだということが現実としてある。獣医学部認可の非常に大きな要素になったという事実をどう考えるのか」と質問。
すると、加計理事長は「私はその場にいなかったからわからないが、本人から聞いたところによると、県も市も半分諦めムードだったらしい。このままではこの話はダメになってしまうと」などと弁明。嘘をついて獣医学部新設にまでもち込んだことの問題をどう考えるのかと訊かれているのに「諦めムードだったから」とは、まったく答えになっていない。
しかも、金平キャスターが「勇み足というのは……」とその表現について再び疑義を呈そうとすると、加計理事長は発言を遮って「もしそういうふうに取られたんでしたら、すみませんでした」と逆ギレのような態度をとった。
さらに、安倍首相と加計理事長の面談だけに限らず、愛媛県文書に登場する下村博文・元文科大臣の話などもすべて渡邉・前事務局長が架空の話をでっち上げたのか? という質問に、加計理事長はこう言い放ったのだ。
「私はよく存じ上げておりません」
「その場にいなかったので、(渡邉)常務からの話を聞くわけですから」
学園事務局長による詐欺的行為を、「よく知らない」「話を聞いただけ」って……。だが、加計理事長はその後も「わからない」を連発した。
矛盾だらけの加計理事長会見!キーマン出席させず「わからない」の一点張り
たとえば、毎日新聞の記者が、なぜ3回も首相官邸で加計学園側が面談できたのか、柳瀬元首相秘書官との関係や、面談にいたる経緯を問いただすと、上田事務局長は「加計学園の職員がいろいろな場で柳瀬さんとお会いしたことがあった」と言いつつ、「特区申請者は愛媛県と今治市。私どもはオブザーバーというかたち」などと説明した。
だが、この回答に記者はすぐさま「その説明は間違っている。柳瀬氏は『加計学園の方々が(首相官邸に)来られた』と話し、県と市の職員が同席していたことは気づかなかったと説明している。前に出ていたのは加計学園であり、オブザーバーとは言えない」と矛盾を指摘。しかし、上田事務局長は「なぜ(柳瀬元首相秘書官に)会いに行ったのかは、担当者じゃないのでお答えできない」などと言い、加計理事長も「細かいことは(事務局に)任せておりますので、詳細についてはわからない」と答えた。
会見を開いているのに、肝心な話は担当者だった渡邉常務がいないから「わからない」「知らない」の一点張り。これには、記者席から「なんで渡邉さん、ここにいないんですか?」「伝聞のことしか言っていない」という声が上がる事態となったのだ。
しかし、記者たちの怒りが爆発したのは、ここからだ。NHKの記者が「渡邉常務と柳瀬首相秘書官がどこでいつ会ったのか?」と質問すると、上田事務局長は「何かで会った」と返答。あまりに無責任かつ杜撰と言うほかないが、その後、驚愕の事実が判明したのだ。
加計理事長は今回の会見で、首相官邸で柳瀬首相秘書官と加計学園側が面談した事実について、報告を受けていなかったと主張した。しかし、愛媛県文書には、2015年4月2日の官邸訪問の事前打ち合わせの場において、渡邉事務局長が以下のように発言したと記録されている。
〈先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったことに対し、理事長から柳瀬秘書官にちゃんと説明しておくように言われている〉
つまり、愛媛県文書の記載では、加計理事長は渡邉事務局長が柳瀬首相秘書官と面談する事実を把握しており、そのため「ちゃんと説明しておくように」と命じていることがわかる。加計理事長の主張と整合性がとれないのだ。
この矛盾をTBS『NEWS23』の記者が追及し、「(渡邉事務局長に)指示をしたのか」と質問したのだが、加計理事長はまたしても「知りません」「本人(渡邉事務局長)に聞かないと」などと発言。この度重なる無責任回答に、記者がこんな問いかけをおこなったのだが、それに対する加計理事長の回答は、度肝を抜かれるようなものだった。
記者に追い詰められた加計理事長は「愛媛県文書をまったく読んでいない」と
記者「愛媛県の文書には、まったく目を通されていないんですか?」
加計理事長「はい」
記者「これだけ問題になっているのに? これ(愛媛県文書)をもとに渡邉・元事務局長に質問をするとか聞き取りをするとか、そういうことはされていなかったんですか?」
加計理事長「はい」
なんと、加計理事長は、愛媛県文書に書かれた「安倍首相と加計理事長が面談した」という記載を「渡邉常務の勇み足」と言って面談の事実を否定しながら、公開されている愛媛県文書そのものを読んでもおらず、さらには渡邉常務に文書の内容についての聞き取り調査さえおこなっていないと断言したのだ。しかも、その表情には悪びれる様子は一切なく、平然と言い切ったのである。
こんな体たらくでよくもまあコンプライアンスだのガバナンスだのと宣ったものだと呆れ果てるが、終始「知らない」「わからない」を繰り返し、会見を終わろうとする加計学園の対応に、記者たちは「渡邉さんに全部押し付けようとしているようにしかみえない」「学園としてどういう調査しているんですか?」「理事長、憮然とされてますけど、十分に話したと思っていますか?」「このままじゃ終わらないですよ」と一斉に非難。だが、「理事長が文書を読んだ上で、渡邉さんを呼んで、もう一度会見するつもりはないのか」という問いかけには「県と協議する」と言うだけだった。
加計理事長は愛媛県議会の議決には応じたとして、これで幕引きにするつもりなのだろう。しかし、今回の会見で記者たちが粘り強く質問を浴びせた結果、あらためて加計理事長の無責任ぶりと矛盾が明確に白日のもとに晒されたといえる。
さらに、会見では今後の対応を約束した場面もあった。「愛媛県文書に書かれた安倍首相との面談は渡邉常務のつくり話」だという加計理事長の主張の裏付けとして、上田理事長は“出張記録などを調べた結果、お会いしたという事実はない”と説明したが、これに対してNHKの記者は、この出張記録などの資料を提出してほしいと要求。上田事務局長は「後ほど対応させていただく」とはっきり回答したのだ。
この出張記録の保存期間について記者から質問が出たとき、上田事務局長が「規定では5年あるいは7年」と答えると、加計理事長は「3年だろ」と低い声で上田事務局長につぶやいていた。愛媛県文書によると、加計理事長と安倍首相が面談をおこなったのは2015年2月25日であり、出張記録の保存期間が加計理事長がつぶやいたように3年であれば「破棄した」と言い訳できる。加計理事長はそのための保険を打ったのかもしれないが、実際の内部の規定がどうなっているのかも含め、約束したことは果たしていただくほかない。渡邉常務を同席させた上でのまともな会見をあらためて実施する責任があるのはもちろん、一向に説明責任を果たさない加計理事長を国会に招致し、きっちり落とし前をつけさせるべきだ。 (編集部)