2018年10月5日金曜日

政府は早急に日米地位協定の改定に取り組むべきだ

 2020年の東京オリ・パラリンピックに向けて、政府外国人旅行者を年間4000万人にするという目標を持っています。それには羽田空港の国際の発着回数を増やす必要があり、新たな飛行ルートを開設しなくてはならないのですが、在日アメリカ軍横田基地が航空管制を行っている空域を一時的にそれらの航空機が通過することを認めないため構想が頓挫する方向にあります。
 
 要するに、日本ではまだ敗戦直後の日米の力関係をそのまま文章化した日米地位協定が維持されているため、米軍の一存でそうした決定を行えることになっているのです。
 日本は(1952年に制定された)日米行政協定に準じて1960年に日米地位協定を締結して以来、一度も協定の改定を要求して来ませんでした。その点はドイツ、イタリアあるいは韓国とは全く違っています。
 同じく米軍占領時代の遺風をそのまま引き継いだものに日米合同委員会があります。それがいまも占領時代の力関係のままで維持されているのに驚いた国務省(日本の外務省に相当)官僚が、その改善を提起したとき、米軍側は「日本からは一度もそうした要求が出されていない」からと拒否しました。日本の徹底した対米従属具合を示すものです。
 
 政府は8月に、全国知事会の全員一致の決定に基づく日米地位協定の改定要求を受け取っていますが、いまだに政府がそれに向けて動いたという話はありません。この件を絡めて早急に改定の交渉を行うべきですし、野党も徹底的に追及すべきです。
 
 天木直人氏のブログと関連するNHKニュースを 紹介します。
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いよいよ、待ったなしになってきた日米地位協定の見直し
 天木直人のブログ 2018-10-04
 けさのNHKが朝から繰り返し大スクープを流した。その要旨はこうだ。
 日本は東京五輪に向けて羽田空港の発着便を増やそうとしてきた。しかし横田基地周辺を飛ぶ飛行機の増枠について米国が認めず、上空の管制も米国が譲らない。
 いくら日本政府が交渉を重ねても米国が応じないため解決のめどが立たない
 これでは日本が力を入れている観光促進にも支障が出かねない。
 以上が要旨である。
 
 このNHKのスクープ報道は、明日の各紙に一斉に報じられるだろう。
 テレビの政治番組でも取り上げられるだろう。
 いよいよ、日本が米軍に、骨の髄まで支配されているという事実が、国民の知るところとなる。
 これまでは安全保障という国民になじみのない分野で語られてきた日米安保であり日米同盟だった。
 しかし、東京五輪や観光といった、国民に身近な分野で、ここまで日本は米軍の意向に従わざるを得ないのだということが、いやでもわかることになる。
 いよいよ、日米地位協定の見直しが待ったなしになってくる。
 
 しかし、米国は応じないだろう。
 なぜなら日米地位協定を改定するということは日米安保条約を改定する事と同義であるからだ。
 いよいよ日米安保の是非が、憲法9条の是非と並んで、国民に問われる時が来たという事である。
 それでも国民が騒がないようであれば日本の将来はないという事である(了)
 
 
羽田空港 新飛行ルート 日米の調整難航で運用できないおそれ
NHK NEWS WEB 2018年10月4日
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際便の発着便を増やすための新たな飛行ルートをめぐって、日本とアメリカの間の調整が難航し、運用できないおそれが生じていることがわかりました。政府内からは、外国人旅行者を2020年までに4000万人にするという目標に影響が及ぶことを懸念する声も出ています。
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府は、羽田空港の国際線の発着便を大幅に増やそうと、先に東京都心の上空を通過する新たな飛行ルートを2020年までに設ける方針を決め、関係自治体などを対象に説明会を開くなどして理解を求めています。
 
一方、この新たな飛行ルートは、在日アメリカ軍横田基地が航空管制を行う空域を一時的に通過することから、政府は、羽田空港を発着する航空機の上空通過を認めるとともに、航空管制も日本側が行うことを前提に、アメリカ側と調整を続けてきました。
しかし、アメリカ側が、ことし夏ごろになって、上空通過も日本側が航空管制を行うことも認められないという意向を伝えてきたため、飛行ルートが運用できないおそれが生じていることが政府関係者の話でわかりました。
 
このため政府は、危機感を強めアメリカ側との協議を続けていますが、事態打開の見通しはたっておらず、政府内からは、安倍政権が掲げる外国人旅行者を2020年までに4000万人にするという目標に影響が及ぶことを懸念する声も出ています。