沖縄知事選に引き続き行われた豊見城市長選(14日投開票)でも、社民・共産・自由等が支持したオール沖縄の山川仁氏が大差で当選しました。
この選挙では公明党は自主投票で、学会は動きませんでした。
山川 仁: 1万1,274票(社民、共産、社大、自由、国民民主、立民=推薦)
宜保安孝: 7,645票(自民、維新、希望=推薦)
宜保晴毅: 6,459票(現職)
「半歩前へ」氏はこの勝利について、「朗報である。沖縄県知事選に次ぐ、2発目の強烈なパンチが安倍首相の顔面を見舞った」と評しました。
14日には那覇市長選挙が告示されました。ここでは知事選と同様に、オール沖縄と自公の一騎打ちとなりますが、知事選と大きく違うのは創価学会の支援がないことです。
学会員による「連れ出し部隊」がいないことになり、自公系候補者の応援弁士の国会議員や県議会議員らは「期日前投票」の呼びかけをしませんでした。異例のことだそうです。
ジャーナリストの田中龍作氏によれば、沖縄の創価学会員には「11月4日までは会合を持たなくてよい(選挙に取り組まなくてもいい)」とするお達しが出ているということです。
すべては沖縄知事選の後遺症ということで、知事選では上からの指示に関わらず学会員の40%※の人たちが玉城デニー氏に投票したと言われ、これ以上離反が続けば、公明党の死活問題となるので学会本部が防衛線を張ったのだということです。
(※ 25%というのは出口調査時のうわべの虚偽回答だと分析されています)
公明党・創価学会は、沖縄知事選を機に理屈の通らない選挙応援(指示)へのアレルギーが表面化し、選挙情勢がさま変わりしました。
11日から再び沖縄入りした田中龍作氏が、沖縄の公明党の選挙事情について3つの記事を出しましたので紹介します。10月11日付の記事は、「(10月13日)改憲議論 隔たり際立つ 誘う自民 公明静観」で紹介済みですが、一連のものなので再度掲載しました。
お知らせ
17日は午前中外出するためこの1本を掲示し、残りは午後からとします。
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【那覇市長選】学会、今度は本部も地元も自民支援せず
安倍が沖縄の支配権を失う日
田中龍作ジャーナル 2018年10月11日
14日告示の那覇市長選挙に出馬する自公候補の総決起集会が今夜、那覇市内であった。オール沖縄からの県都奪還を目指す自民は、県議会の重鎮だった翁長政俊氏を候補に立て、万全を期した。
集会そのものは自民得意の動員で盛況だったが、候補者が「お通夜状態」なのだ。顔は下を向いたまま、目も虚ろだ。涙目ではないかとさえ思えるほどだ。負ける候補者特有の悲愴な表情だった。
理由は自民党の選挙を支えてきた創価学会が動かないことだ。学会は本土、地元沖縄ともに、今回は自民党候補のための票集めをしないことを決めたのである。
10月1日、創価学会の東京や関西などの方面本部が下部組織に通達を出した-
「徹底していただく予定だった那覇市の取り組みについては、F報告も含めて、一切取り消し(何も打ち出さなくて良い)となります」
『那覇市の取り組み』とは那覇市長選挙のことで、那覇市の学会員をレンタカーに乗せて連れ出し、自民党候補の名前を書かせることだ。『F報告』とは、学会員が非学会員の友人(Friends)に自公候補への投票を依頼、確保することである。
通達の内容を要約すると「(自民党候補の)選挙運動のために那覇に行く必要はない」ということだ。
通達が出た10月1日とは、自公候補が大差で敗れた県知事選挙の翌日だ。衝撃の大きさが手に取るように分かる。
大阪の学会員は「本当は出る(行く)はずなんだが、今度は指示がない。だからやらない」と納得していた、という。
方面本部の通達によれば、沖縄の学会員については「沖縄・地元の取り組みとして推進する」としていた。ところが、地元も取り組まないことにした。創価学会・沖縄総県長の名前で「11月4日までは会合を持たなくてよい」とするお達しを出したのだ。「会合を持たなくてよい」とは選挙の取り組みをしなくてよい、という意味だ。
ベテラン学会員は「那覇の市長選挙で『何もしなくていい』なんてことありえない」と驚きかつ呆れた。公明党本部の元幹部がいみじくも言った。「那覇市長選挙でも自公が大敗したら、安倍は沖縄の支配権を失うね」と。
~つづく~
【学会のいない選挙】自民弁士「期日前投票」呼びかけず
田中龍作ジャーナル 2018年10月14日
きょう那覇市長選挙が告示された。県知事選同様、オール沖縄と自公の一騎打ちとなるが、大きく違うのは創価学会の支援がないことだ。集票マシーンを失った自民陣営は、選挙戦をどう闘うのか。
自民党沖縄県議会の重鎮だった翁長政俊候補(公維推薦)の出陣式を取材した。後援会事務所前に集まった支持者は動員も含めて500人前後か。ある学会員は「普通だったら、もっといるはず」と苦笑する。「普通」とは学会がいたら、という意味だ。
最も特徴的だったのは応援弁士の国会議員や県議会議員が「期日前投票」の呼びかけをしないことだ。県知事選挙では合い言葉のように「期日前投票に行って下さい」と繰り返していたものだった。
自民党沖縄県連の國場幸之助衆院議員(比例復活)などは「私たちが勝つには期日前投票しかないんです」と絶叫していた。
今回、自民の弁士たちが「期日前」を依頼しないのは、学会の「連れ出し部隊」がいないからだ。掛け声倒れに終わるのは必定である。
無駄骨に終わったが、県知事選挙は創価学会が組織をあげて自民党候補を勝たせようとした。幻の県知事候補となった安里繁信・シンバホールディングス会長によれば、学会員の高校生を街宣車にあげて応援演説させたほどだ(文春デジタル)。若年票を取り込むためだった。
公明党と学会本部の押し付けに地元の学会は反発した。「安保法制(2015年)の時でも学習会があった。だが今回の県知事選挙で学習会らしきものは一度もなかった。ただ上から『サキマと書くように』と指示があっただけ」。ある学会員は吐き捨てた。
マスコミは出口調査をもとに「公明党支持者の4人に1人(25%)が玉城に投票した」と報道した。だが学会員歴30年を超すベテラン学会員は、「玉城に流れた票は30~40%」と見る。「学会の締め付けが厳しいなかマスコミに対して『玉城に入れた』などと言えるはずがない」と説明してくれた。
これまで学会本部は、不満分子の「点」が「線」になる前に潰してきた。だが今回の沖縄県知事選挙では、3万人から4万人もが造反した。線を通り越して広大な面となったのである。潰そうにも潰せない。
集団的自衛権の行使容認、共謀罪・・・下駄の雪のように安倍政権に付き従う公明党は、学会員に無理強いし、選挙の際は自民党と書かせ続けてきた。
結果、学会員の離反を招いた。自民党も義理を果たさなくなった。2005年の郵政選挙で898万票あった公明党の比例票は、昨年(2017年)の総選挙で697万票に。(総務省HPより)。2年で200万票も減ったのである。
これ以上離反が広がれば、公明党の死活問題となる。学会本部は防衛線を張るのに必死だ。沖縄の反乱が全国に及べば、安倍自民は音を立てて崩壊する。
~終わり~
【学会のいない選挙】豊見城市長選~
自民系現職、公明の自主投票と分裂選挙で惨敗 オール沖縄が辛勝
田中龍作ジャーナル 2018年10月15日
玉城デニー知事就任後初となる選挙は、オール沖縄の辛勝となった。任期満了に伴う豊見城市の市長選挙は14日、投開票が行われ、オール沖縄勢力が推す山川仁候補(44歳)が、自民党系の現職と新人を破り、初当選した。
現職の宜保晴毅候補(50歳)は、前回(2014年)の市長選挙では自公推薦で戦い、約2,699票の差で、革新系のライバル候補を破った。豊見城市には公明党の市議会議員が2人。2人の獲得票を合わせると、約2,000票。明らかに学会が当落のカギを握っていた。
今回は公明党が自主投票で学会も動かず、自民が分裂選挙となったため、現職の宜保氏は惨敗した。
自民党系が敗れたことは本土野党にとって参考になるはずだ。分裂すれば負けるのである。
山川 仁: 1万1,274票(社民、共産、社大、自由、国民民主、立民=推薦)
宜保安孝: 7,645票(自民、維新、希望=推薦)
宜保晴毅: 6,459票(現職)
山川氏は先月の県知事選挙期間中も、玉城デニー候補とセットで活動を繰り広げてきた。豊見城市長選挙の告示後も玉城知事が応援に入った。山川氏は知名度で劣っていたが、自民系の分裂もあり、初当選となった。
~終わり~