2018年10月24日水曜日

「憲法審が強硬運営に」 自民・船田氏が警鐘

はじめに
 24日に召集される臨時国会を前に、新閣僚の「政治とカネ」の問題が次々と浮上しています日刊ゲンダイによれば、
 片山さつき地方創生相には国税庁に口利きする見返りに100万円を受け取った疑惑が報じられました。すでに野党は追及チームを立ち上げているということです。
 平井卓也科学技術担当相には、政党支部が談合で指名停止処分を受けた企業から献金を受けていたことが判明しました。平井氏は返金する意向を明らかにしています
 宮腰光寛沖縄北方担当相も、談合で行政処分を受けた企業から献金を受けていたことが発覚し、「行政処分後の寄付は返金する」と話しました。
 渡辺博道復興相は、経産省補助金を間接的に受けた企業から計36万円の寄付を受け取っていたことが明らかにされましたが、「返金はしない」としています。
 柴山昌彦文科相は、女性後援会バスツアーの収入が政治資金収支報告書に記載されておらず、公選法禁じる利益供与にあたると報じられました。
 
 これだけ問題閣僚が多いと追及材料には事欠かないので、臨時国会で彼らが火だるま状態になるのは必至です
 改憲論議な進められるわけがありません。
 
自民、衆院衆院憲法審の幹事を更迭
 安倍首相は、衆院憲法審査会で長らく幹事として与野党折衝にあたってきた船田元氏と中谷元氏を党内人事で幹事から外しました。臨時国会からは新藤義孝氏や下村博文氏ら首相に近い議員がその任にあたりますが、それで果たして首相が望むように改憲論議が加速されるかは大いに疑問です。
 船田氏と中谷氏はいわば対野党協調派で、憲法審のなかで与野党の協調と合意による憲法改正を目指してきました。それを今度は強行突破型に変えようというのが首相の本音です。しかしそんな急激な変化が容認されるものでしょうか。
 船田氏は「首相の路線では改憲は多分出来ないだろう」と述べています。
 
国民投票法の改正が先決 テレビCMの流し放題はあり得ない
 臨時国会に改憲案を示すには、まず憲法審で継続審議になっている国民投票法改正案を採決することになります。投票法には様々な問題点がありますが、何よりも先進7カ国で国民投票制度がある国で、有償のテレビCM枠を買うことが自由なのはカナダと日本だけという、根本的な問題があります。イギリスやフランス、イタリアなど5カ国では全面禁止されているというのにです。
 そもそも視聴者の情緒に働きかける要素の強いCMを、冷静な思考や判断に基づくべき改憲に適用するのは本質的に馴染まないという問題があるのに、金に任せてテレビのCM枠の独占を可能にする現行法をそのままにして、改憲を論議するということは許されません。
 
 9月20日に民放連は「改憲に関するCMの自主規制を行わない」と宣言しましたが、それは船田元議員、杉尾秀哉議員らが護憲・改憲の枠を超えてこの件で議連を結成し「テレビCMは、賛否両派のものを同じ時間帯に同じ分量で流す」という自主ルールの採用を求めて民放連に懇談会を申し入れた矢先に発表されたものでした。情けないことです。
 
 もしもこの件で自民党が現状是認のままで投票法の強行突破を図ろうとすれば、憲法審も国会も紛糾することになります。
 
 東京新聞と読売新聞の記事を紹介します。
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憲法審が強硬派に」自民・船田氏が警鐘
東京新聞 2018年10月23日
自民党の船田元(はじめ)・衆院議員が二十二日、自らのブログを更新し、衆院憲法審査会で野党側と交渉に当たる布陣が「強硬派」に代わったとして懸念を表明した。「野党の反対を押し切って(改憲案を)国会発議できたとしても、国民投票で過半数の賛成を得られなくなる可能性が高い」と警鐘を鳴らした。
 
衆院憲法審では、与野党協調を重視した中谷元(げん)氏が与党筆頭幹事から外れ、首相に近い新藤義孝氏に交代。船田氏も幹事を外れた。
船田氏は、自らと中谷氏が「野党との話し合いを重視しつつ憲法改正を進める『協調派』とも呼ばれていた」と説明。「『強硬派』と呼ばれる首相に近い方々が、野党との交渉の前面に立つこととなった」と指摘した。
 
その上で「国民投票で過半数の賛成を得るためには、少なくとも野党第一党との合意が必要」と忠告。今回の人事は「それでは待てないとする強硬派によって審査会を運営するというメッセージを内外に示した」と評した。 (清水俊介)
 
 
「改憲シフト」? 自民・総務会に石破派なし
読売新聞 2018年10月23日
 自民党は23日の総務会で、加藤総務会長以外の総務会メンバー24人を決定した。石破茂・元幹事長が率いる石破派からの起用はなかった。党内7派閥で総務会メンバーがいないのは石破派のみだった。
 
 総務会は党の意思決定機関で、憲法改正原案の国会提出前にも同会での了承が必要となる。安倍首相は、憲法9条2項を維持して自衛隊の根拠規定を明記する案を持論とするが、9月の党総裁選で首相と戦った石破氏は異論を唱えている。このため、党内では「総務会メンバーは改憲シフト」との見方も出ている。
 首相の政権運営に批判的な村上誠一郎・元行政改革相は留任した