2018年10月25日木曜日

沖縄の選挙が教えるもの「排除の論理はとらない」(田中龍作ジャーナル)

 沖縄県知事選以来、21日に投開票された那覇市長選まで現地に張り付いて、その状況を発信してきたジャーナリストの田中龍作氏が、「沖縄の選挙が教えるもの 排除の論理はとらないとする総括的な記事を出しました。
 特にこの一連の選挙を通じ、公明党・創価学会の立ち位置が大きく変わった只中にいた人のレポートなので貴重です。
 23日の記事に加えて21日の記事も紹介します。
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沖縄の選挙が教えるもの 「排除の論理はとらない」
田中龍作ジャーナル 2018年10月23日
 オール沖縄が負ければ、安倍官邸に抗する勢力はなくなる・・・悲愴な覚悟で沖縄取材に入ったのは炎暑の8月だった。取材が終わると季節は秋になっていた。激動の3ヵ月を振り返る―
 
 独裁政治の完遂を寸前で食い止め、オール沖縄を圧勝に導いたキーワードは「寛容」だった。それは玉城デニーの出馬表明(8月29日)にしっかりと盛り込まれていた。
 在京民放の有名キャスターが質問した。「前回2014年の選挙は公明党が自主投票だった。ところが今回は公明党が自民党の候補につくが(どう受け止めるか)?」。
 玉城は決然と「排除の論理はとらない」と答えた。出自のせいで子供の頃から随分と辛い思いをしてきた玉城は敵を作らない性格だ。
「10本の指はみな形が違うけど、それぞれちゃんと役を果たしている」「人を皮(外見)の違いで判断してはいけない」― 育ての親からの教えは、玉城が政策の一つに掲げて戦った「一人も取り残さない」と素直につながる。多様性とは違いを認めること、他者に寛容であることだ。
 
 寛容の精神は選挙戦でいかんなく発揮された。離反者とはいえ学会員が選挙を手伝うことを受け容れたのだ。オール沖縄の一角には学会と不倶戴天の共産党がいるのにもかかわらず、だ。
 前稿でも述べたが、学会員が玉城デニーのパンフを配り、商店などを訪問し「今度の選挙はデニーに入れて下さい」と頼んで回ったのだ。
 玉城の街頭演説会場には創価学会の3色旗が翻った。学会旗をめぐっては、最終的にOKを出したものの選対内で賛否両論あった。結論として「持ち込みは可だが演説が始まったら旗は降ろす」ということになったようだ。
 選挙戦初日、県庁前に3色旗が上がった時、選対幹部の一人は驚き、確認のため旗のそばに駆け寄った。3色旗を持つ男性は「学会員です」と力強く言った。どちらからともなく手を差しのべ合った。握手したグリップの強さから、お互いに「本物だ」と認め合ったという。
 
 選対幹部の一人とは故翁長知事の次男で那覇市議会議員の翁長雄治。懐の深さは父親譲りだ。
 帰京すると、さっそく耳に飛び込んできたのは、ある自治体の首長選挙での野党の不協和音だった。某党の最高顧問が自分の子飼いを出馬させたかったのに、他党が早々と候補者を立てたことに機嫌を損ねているのだそうだ。あげくに「野党共闘という言葉は使わせない」とダダをこねている、と聞く。
 連合の意向を汲んだ政党幹部が「●●党とは組めない」などと言っているようでは、野党はいつまで経っても政権を奪還できない。ばかりか消滅してしまうだろう。
 野党議員たちは沖縄にインターン研修に行った方がいい。いや行くべきだ。(敬称略)
~終わり~
皆様のお蔭で沖縄の選挙を最後まで見届けることができました。田中龍作の取材活動は読者のご支援により続いています… http://tanakaryusaku.jp/donation 
 
 
学会員が人間性回復した沖縄の選挙 参院選までマグマは滾り続ける
田中龍作ジャーナル 2018年10月21日
 オール沖縄候補と自公候補の一騎打ちとなった沖縄県知事選挙と同じ構図の那覇市長選挙は、きょう投開票が行われ、オール沖縄が推す城間みきこ候補が当選を確実にした。
 午後8時、投票箱のフタが閉まると同時に、慎重なNHKが当選確実を速報した。「ゼロ打ち」である。自公候補(※)に大差をつけるものと見られる。(※正確には自、公、維新、希望推薦)
 
 沖縄県知事選挙は創価学会が雪崩を打って玉城デニー氏を応援したが、那覇市長選挙はそれが深化したような選挙だった。
 「こんな気持ちのいい選挙はなかった。初めて自分の頭で考えて投票した。これまでは(学会から)言われるままに投票してたからね」・・・学会員歴40年を超える男性(那覇市在住)が県知事選挙を振り返って語った。清々しく嬉しそうな表情は、過酷な縛りから解き放たれたことを示していた。
 男性は白髪頭だ。学会は彼がこの年になるまで自由に投票させなかったのである。選挙期間中、彼は表に出るようなことはしなかった。「出れば潰される」と警戒していた。
 
 一方、「自分は学会員」とカミングアウトしてオール沖縄の選挙を手伝った人たちもいた。30代の女性は「玉城デニー」のパンフを配布して歩いた。中高年女性は2人一組で商店などを訪問し「今度の選挙はデニーに入れて下さい」と頼んで回った。
 那覇市長選挙の告示直前には、本土の方面本部と沖縄総県から「選挙はやらなくていい」との お達し が出た。沖縄における学会の自民党離れは決定的になった
 那覇市長選挙の最終日となった20日夕、城間候補の打ち上げ(最終街頭大演説)が新都心であり、3千人を超す聴衆が集まった。ある学会員の姿があった。100票は差配できる人物だが、創価学会の3色旗を掲げたりはしない。穏やかな表情でオール沖縄の演説に耳を傾けていた。
 
 演説会が終わった直後だった。城間陣営の大幹部が学会員のもとを訪れ、「今回もお世話になります」と手を差し出したのだ。大幹部は玉城選対の重鎮でもあった。
 県知事選挙の地滑り的勝利は、学会の“協力”なくしてはありえなかった。“協力体制”がそのまま那覇市長選挙に引き継がれたことを示す場面だった。オール沖縄の一角には学会とは不倶戴天の共産党がいるのにもかかわらず、だ。
 学会員は「(学会票の)50%が城間に来るよ」とニンマリ笑った。
 自民党は満を持して県連の実力者を那覇市長選挙に送り出した。だが、集票マシーンの学会は全く動かず、自公は早々と総崩れになった。拙ジャーナル(17日付/14日付 /11日付)でリポートしているので御一読頂きたい。
 
 冒頭の学会員は「(来夏の)参院選挙も自民党には入れない(投票しない)」ときっぱり言う。沖縄の自公体制崩壊が本土に教えてくれることは-
 学会を味方につけること。安倍自民に対する学会員の怒りのマグマは本土でも沸々とたぎる。安倍政権を倒すため、恩讐を越えて共闘できる統一テーマを掲げれば、学会員の多くは野党側に投票するはずだ
 城間陣営は「辺野古の新基地建設反対」を訴え続けた。那覇市長の権限とは関係なくても学会員をはじめとする有権者の心に響いたのである。
 人間性を回復した学会員の共感を得るテーマで参院選を戦えば、安倍政権は音を立てて崩れる。
~終わり~