2018年10月16日火曜日

対米関係の破綻が目前 ロシア外務省も安倍内閣に激怒

 安倍首相は、事前には日米二国間通商交渉は拒否すると綺麗な口を利いていましたが、鎧袖一触、トランプ氏との交渉で一も二もなく、二か国交渉(FTA)を受諾させられました。
 それではとても日本国民に言い訳が立たないからと、TAG(物品関税交渉)などという聞いたこともない造語で日本国民を騙そうとしましたが、何しろ米国側には何も断っていないことなので、米国のトランプ大統領も副大統領も、財務長官もFTA以外という認識は持っていません。
 
 何しろ拉致問題で「やっている感」を出そうとして、あれだけ度々トランプ氏に拉致問題のとりなしを頼んでおきながら、彼からの二国間協定を拒否できるものでしょうか。
 しかもその後、米朝会談の前に日本に立ち寄ったポンペオ国務長官にも、何故か重ねて拉致問題のとりなしを依頼していました。
 自分は全く動かないくせに、その分をトランプ氏やポンペオ氏に頼んだから・・・と言い訳できるとでも踏んでいるのでしょうか。あり得ないことです。
 友情などある筈のないトランプ氏に取って、安倍氏からの依頼は1件当たり想像を絶するほど高くつくということは、ことが始まるずっと以前に古賀茂明氏が明言していたことです。
 
 ついに、米国のムニューシン財務長官が日米間で結ぶ新たな通商協定に、「為替条項」の導入を求める意向を示唆したということです。「為替条項」が導入されればアベノミクスによる円安操作は禁止されます。たちまちアベノミクスは破綻します(いずれ破綻の運命にはありましたが)。
 一体安倍首相は、その交渉は全く考えていないことだと断れるのでしょうか。日本国民の前で弁明しなくていいので、米財務相に対してTAGの理念を説いて見てはどうでしょうか。
 
 日刊ゲンダイが「日米通商協定に為替条項 アベノミクスはいよいよ完全崩壊」とする記事を出しました。
「安倍政権にロシア外務省が激怒 メガホン外交はやめろ」も併せて紹介します。
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日米通商協定に為替条項 アベノミクスはいよいよ完全崩壊
日刊ゲンダイ 2018年10月16日
「日米首脳会談や共同声明でも為替の話は入っていない」――。14日のNHKの「日曜討論」で、茂木経済再生担当相の表情は厳しかった。茂木大臣が慌てていたのもムリはない。米国のムニューシン財務長官が日米間で結ぶ新たな通商協定に、「為替条項」の導入を求める意向を示唆したからだ。
 
■円高、株安、増税のトリプルパンチ
 ムニューシンが「為替条項」に踏み込んだのは、13日にインドネシア・バリ島で開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議後の会見の場だ。
「為替条項」は、自国の輸出企業などに有利な通貨安誘導を禁じるのが目的で、9月末に妥結した「米・メキシコ・カナダ協定」(USMCA)でも「為替条項」が導入された。ムニューシンは、このUSMCAをモデルにした条項を、年明けにも本格化する日本との関税交渉で提案し、新協定に盛り込む考えを示したのだ。
 米韓FTA(自由貿易協定)の改正案にも、通貨安の誘導禁止が付属文書に盛り込まれており、米国が日本にも同様の対応を迫る可能性が高い。
 
 米国はすでに中国やドイツ、韓国、スイスなどと一緒に日本を「為替監視対象国」に指定している。昨年1月に「通貨安で我々を出し抜いている」と日本を名指しで批判したトランプ大統領のことだ。何が何でも新協定に「為替条項」をねじ込もうとするだろう。日本が拒否すれば、為替操作国に認定し、再び自動車関税の引き上げをチラつかせるかもしれない。
 
 日本が「為替条項」を受け入れれば、どうなるのか。恐らく「アベノミクス」は崩壊に向かってまっしぐらだ。
 2013年4月から、「異次元緩和」と称して市場をカネでジャブジャブにしてきた黒田日銀。安倍首相が自画自賛している「アベノミクス」による輸出企業の収益拡大は結局、カネ余りの円安効果によって生み出された「虚実」に過ぎない。
 米国が「為替条項」をタテに日銀の「異次元緩和」を“狙い撃ち”してくれば、あっという間に「円高・株安」に陥るだろう。アベノミクスの実態を痛烈に批判した「アベノミクスによろしく」(集英社インターナショナル新書)の著者で、弁護士の明石順平氏はこう言う。
「(日米交渉開始前であり)断定的なことは言えませんが、円安の理由のひとつは間違いなく、アベノミクスですから、(為替条項は)終わりの始まりを意味すると言っていい。日本側に為替条項をにおわせるだけでも、牽制する意味はあるでしょう。株価も相当、影響を受けると思います」
 来年10月には消費税増税もある。
 円高・株安・増税のトリプルパンチで日本経済はメタメタだ。 
 
 
安倍政権にロシア外務省が激怒「メガホン外交はやめろ」
日刊ゲンダイ 2018年10月16日
 ウラジーミルとの“友情物語”は、やはりシンゾーの独り相撲だったのか。北方領土を巡る安倍政権の動向に、ロシアが強硬姿勢を強めている。ロシア外務省の情報新聞局が9月以降、安倍政権に対して過激な批判を連発しているのだ。
 
 ロシアは9月2日、北方領土を含む各地で対日戦勝記念式典を開催。安倍政権が抗議すると、「日本は歴史について健忘症に陥る傾向がある」と反発し、今月10日には一層強烈なコメントを出した。
「南クリル諸島におけるロシアの活動に対する日本側の反応は、最近奇妙な形式を取るケースが多くなっている。在ロ日本大使館の若手外交官がしばしば電話で伝えてくる主張が、やがて日本政府高官の声明において公式の抗議として表明されているのである」
「日本が繰り返し行う『メガホン外交』は、2国間の前向きな雰囲気づくりに資さないばかりか、逆にこれを損ない、ロ日関係全体の発展を妨げるものである」
 
 ロシアは21日まで北方領土周辺で射撃訓練を計画。その通告を受け、菅官房長官が「外交ルートを通じて抗議した」と発言したことへの当てこすりらしい。駐日ロシア大使館の公式ツイッターにも〈いよいよ、日本語の訳も用意してまいりました〉という書き込みで反論コメントの日本語訳がアップされている。
 
 安倍首相はプーチン大統領と22回も首脳会談。11月中旬にシンガポールで開催される東アジア首脳会議(EAS)と、11月下旬アルゼンチンで開かれるG20首脳会議を利用し、年内に2回の会談実施を模索しているが、それにも暗雲が垂れ込める。駐ロシア大使館の相木俊宏公使が「EASでの日ロ首脳会談の可能性は排除されていない」と回りくどい言い方でお茶を濁している。
 
 筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)は言う。
「支給開始年齢を引き上げる年金改革の影響で支持率が4割を切ったプーチン大統領は、求心力アップに焦っています。状況打開には強硬な対外政策で強いロシアを演出し、1.2兆円を投じる計画の極東開発を順調に進めるほかない。その格好の標的がスリ寄ってくる安倍政権なのです。軍事力も国際的な発言力もなく、北方領土返還交渉しか頭にない。どんなに虐げても決して離れず、虐げるほど貢ぎ物を献上してくると侮られているのです」
 領土交渉棚上げの年内平和条約締結をブチ上げられ、北朝鮮を巡る6カ国協議もロシア主導で日本抜きの5カ国協議にシフトしようとしている。安倍首相の“やってる感”演出で北方領土は遠のくばかりだ。