五十嵐仁氏が、週刊文春が報じた、片山さつき地方創生担当相が依頼者から100万円を受け取り国税庁に対して口利きをした疑惑と米国調査報道組織「プロパブリカ」が明らかにした、安倍首相の「カジノゲート」疑惑の2つの地雷が早くも爆発したとするブログを公表しました。
「カジノゲート」というのは、トランプ大統領が17年2月の安倍首相の初公式訪問の際に、世界最強力のカジノであるラスベガス・サンズともう1つの米国のカジノ会社にカジノライセンスを与えるよう安倍首相に働きかけたのに加えて、サンズは14年5月に安倍首相が参加したシンガポールの統合リゾートへのツアーを手配したり、16年11月のトランプタワーでの安倍首相とトランプ大統領との会談をアレンジした事実もあり、それらがカジノ法の成立やIR実施法での床面積の制限をなくす上で大きな意味を持ったのではないかという疑惑です。
これについては東洋経済オンラインが17日付の記事である程度詳しく紹介しています。
そこでは、「このスキャンダルがたとえばロッキード疑惑のレベルにまで拡大するか、あるいは安倍首相が政治的な大惨事から常のように素早くなんとか脱出するかは、臆病な日本のメディアの報道次第だ」というダニエル・スナイダー:スタンフォード大学教授の言葉が紹介されています。
前者の片山さつき大臣の疑惑については、18日と19日に当人が弁明の記者会見を開きましたが、「事実誤認であり、週刊誌を名誉棄損で訴える準備をしている」、「そういう訳で詳細については言えない」というもので、訴訟準備を口実に記者からの具体的に質問には答えませんでした。
この片山大臣にまつわる疑惑については19日の本ブログで紹介※1しましたが、記者会見の内容等についてはブログ「日本があぶない!」で取り上げられています※2。
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改造内閣で早々と爆発した片山さつき地方創生担当相と安倍首相自身の2つの「地雷」
五十嵐仁の転成仁語 2018年10月20日
ガラクタをかき集めた第4次安倍改造内閣は、沢山の「地雷」が敷設されていたようなものでした。そのうちの2つが、早々と爆発したようです。
1つは片山さつき地方創生担当相の口利き疑惑であり、もう1つは安倍首相自身の「カジノゲート」疑惑です。前者は、かつて辞任した甘利さんとよく似たケースであり、後者はアメリカのトランプ大統領がらみの疑惑です。
片山さつき地方創生担当相については、国税庁に対する口利き疑惑を『週刊文春』が報じました。会社経営者が税務調査を受けて税制優遇がある「青色申告」が取り消されそうになり、2015年に片山さんの私設秘書をしていた男性に働き掛けを依頼し、秘書からは文書で100万円を要求されたため指定口座に振り込み、片山さんが依頼に応じて国税庁関係者に電話をしたとされ、経営者本人も「片山氏の事務所に口利きを依頼して100万円支払ったことに間違いない」と証言しています。
この受託収賄が事実なら刑事罰に問われるほどの重罪で、閣僚だけでなく国会議員も辞任すべき深刻な問題です。片山さんは「口利きをしたこともない。100万円を受け取ったことも全くない」などと疑惑を否定し、「週刊誌を名誉毀損で訴える準備を進めている」と反論していますが、「弁護士から止められている」として詳細な説明を避けています。
通常、「文春砲」は第2弾や第3弾を準備して第1弾を発射しますから、今回も続報があり、さらに詳細な事実が明らかになるでしょう。来週には臨時国会が始まり、会期は短く改憲発議も狙われていますから、早々に「詰め腹」を切らされるかもしれません。
もう1つの安倍首相に関する「カジノゲート」の方は、10月10日に公開されたアメリカの調査報道組織「プロパブリカ」の記事で明るみに出ました。この記事は、トランプ大統領が2017年2月の安倍首相による初の公式訪問の際に、世界的に最も強力なカジノであるラスベガス・サンズともう1つのアメリカのカジノ会社にカジノライセンスを与えるよう安倍首相に働きかけたと報じています。
しかも、サンズは2014年5月に安倍首相も参加しカジノ法のモデルになっているシンガポールの統合リゾートへのツアーを手配したり、2016年11月のトランプタワーでの安倍首相とトランプ大統領との会談をアレンジしたりしていたといいます。これはサンズの経営者でラスベガスのカジノ王であるシェルドン・アデルソン氏がトランプ氏の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏とのツテを通じて実現したそうです。
これらの働きかけがカジノ法の成立やIR実施法での床面積の制限をなくす上で大きな意味を持ったのではないかというのが、「カジノゲート」と言われる疑惑の中身です。国内3カ所での候補地の選定などカジノ開設に向けての動きが始まっており、このような報道が事実なのか真相の解明と安倍首相への責任追及が急がれます。
これ以外にも、柴山昌彦文部科学相が教育勅語をめぐる発言で批判されたり、工藤彰三国土交通政務官が代表を務める政治団体が会費制集会の収入を政治資金収支報告書に記載しなかったり、自民党沖縄県連会長の国場幸之助衆院議員をめぐっては女性問題が新たに報じられたり、渡辺博道復興相が代表を務める自民党支部が国の「間接補助金」が交付された企業から献金を受けていたことが発覚したり、次々にスキャンダルが明るみに出ています。
説明責任を求める声が与党内からも上がっています。臨時国会ではこれらの真相解明が必要ですし、閣僚などの資質や適格性、安倍首相の任命責任などが問題になるでしょう。
国会論戦では閣僚らへの追及が増えるのは確実で、政府・与党が危機感を強めるのも当然です。安倍首相は首を洗って待っていた方が良いのではないでしょうか。