2019年9月23日月曜日

千葉・台風被害の迅速復旧を妨げる行政の怠慢

 安倍政権は、自然大災害時には政権に立法権を委ねるという超法規的措置が必要だとして、緊急事態条項を憲法に盛り込む必要性を強調しています。しかし日本には既に十分な災害対策法規が整備されているのでその様な必要は全くなく、むしろそれを口実にして政権が国家緊急権を握ること自体が目的なのだと批判されてきました。
 
 直近の千葉県の強風による大災害を含め、過去の一連の自然大災害への政府の対応を見ると、新規の法律などは全く必要なく、必要なのは行政側の迅速・適切な対応なのに、政権側にはその意志も能力も大いに欠けていることが分かります。
 要するに緊急事態条項は的外れな主張であるということです。
 此度の千葉県の大災害については、市や県あるいは東電が対応すべき部分は勿論あるのですが、こういう時にこそ国はせめて必要な財政的援助をし、政治的にも県からの要請に応えるべきです。
 
 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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専門家も指摘 千葉・台風被害の迅速復旧を妨げる行政怠慢
日刊ゲンダイ 2019/09/21
 台風15号の深刻な爪痕が残る千葉県。市原市では、ゴルフ練習場の鉄柱が強風でなぎ倒され、近隣の住宅に直撃した大事故に注目が集まっている。屋根などがボロボロに損傷した住宅の補修費用はどうなるのか、鉄柱の撤去費用は誰が負担するのか。不安は尽きないが、深刻なのは現場がいまだに“手つかず状態”のまま放置されていることだ。
 
 〈この会社クソだな〉〈開き直った〉――。鉄柱が倒壊した「市原ゴルフガーデン」に対し、ネット上ではこんな批判が渦巻いている。ゴルフガーデンは事故当初、被害に遭った住民らに謝罪し、住宅補修費用などの補償を行う意向を示していたが、それから数日後、一転して弁護士を介し「被災者の火災保険で直して下さい」と伝えてきたからだ。
 その火災保険も、保険会社がスンナリと認めるかは不透明だ。ゴルフガーデンは、台風上陸の前に風の影響を受けやすい「ネット」を下ろさなかった。さらに、メンテナンス不足だったのか、鉄柱とコンクリートの基礎部分を固定するボルトが複数箇所で破損。現場を視察した建築エコノミストの森山高至氏によると、「鉄柱の基礎が杭に連結していない恐れがある」という。強風対策が不足していたのであれば、ゴルフガーデンが責任を免れるのは難しい。つまり、火災保険は適用されない可能性があるのだ。
 
 そうなると、被害住宅の補修費用や鉄柱の撤去費用はゴルフガーデンが負担することになる。「鉄柱の撤去費用は少なくとも7000万~8000万円」(建設業界関係者)。民間調査会社によると、ゴルフガーデンは資本金1000万円、年間の売り上げは約6000万円。費用捻出は容易じゃない。
 
■漏電や引火による2次被害の可能性も
 今後の展開は見えないが、問題は住宅に倒れたままの鉄柱が野ざらしになっていることだ。鉄柱1本の重さは「10トン程度」(前出の建設業界関係者)とみられており、放置したままだと住宅にのめり込み、崩壊しかねない。「今後の台風や大雨で、さらに建物へのダメージが大きくなっていく恐れがある」(森山高至氏)というから、漏電、引火による2次被害の可能性もある。
放置するのは非常に危険です。行政が代執行などの手続きを取り、対処すべきではないか。例えば、ゴルフガーデンと住宅の間を走る道路は市道です。交通の妨げになっていますから『公共の利益を確保する』などといった名目で介入する余地があるはず。そもそも、ゴルフガーデンの施設は欠陥性が高く、建設時に行政はしっかりチェックしていたのか。市には復旧を優先する意思が感じられません」(森山高至氏)
 
 市が黙って見ているだけでは問題は解決しない。