2019年9月7日土曜日

日韓対立の起点は「徴用工問題への報復」 安倍首相が明言

 政府はこれまで「韓国たたき」は韓国人元徴用工問題とは関係がないと外面を取り繕ってきました。しかしそれが虚偽であることは海外からも見抜かれていました。
 2日、訪韓した日韓議連幹事長の河村建夫氏は韓国の李洛淵首相と会談し「対韓輸出規制と日韓GSOMIA破棄の問題をセットで解決」と提案されたことを、3日、官邸で安倍首相に伝えました。
 そうしたところ安倍首相はこの提案を拒否し、「根幹にある元徴用工問題の解決が最優先だ」して、まったく取り合わなかったということです。
 語るに落ちた話で、「韓国いじめ」が元徴用工問題への報復として始められたことを改めて明言したのでした。完全に馬脚を現わしたということで、これ以上の説明はいりません。LITERAの記事を紹介します。
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日韓対立はやはり安倍首相の“韓国に報復”指示から始まっていた!
徴用工問題に妄執し国益無視のネトウヨぶりが明らかに
LITERA 2019.09.05
 とうとう安倍首相のグロテスクな本音がダダ漏れになってしまった。3日、安倍首相は日韓議連幹事長の河村建夫衆院議員と官邸で面会。河村議員は2日に韓国を訪問し李洛淵首相と会談した際、「対韓輸出規制と日韓GSOMIA破棄の問題をセットで解決」と提案されたと首相に報告した。ところが、河村議員が官邸での面会後に記者団に語ったところによると、安倍首相はこの提案を拒否。「根幹にある元徴用工問題の解決が最優先だ」と言って、まったく取り合わなかったという。
 
 せっかく韓国側が歩み寄りを見せてきているのに、交渉のテーブルに乗ることすら拒否するこの態度。ようするに、安倍首相はどんなことがあっても韓国との関係を改善したくないのだ。“経済の安定や北朝鮮拉致問題の解決、安全保障上の配慮などよりも、”嫌韓“アピールのほうがはるかに大事なのである。
 その辺のネトウヨとほとんど変わらないメンタリティの総理大臣を戴いていることに改めて戦慄を覚えるが、韓国側の妥協提案を拒否した安倍首相の発言をめぐってはもうひとつ、注視すべきことがあった。
 それは、安倍首相が「元徴用工問題の解決なしには解決しない」と自ら宣言していたことだ。安倍政権は対韓国輸出規制・ホワイト国除外について「安全保障上の問題」「貿易管理体制に不備があった」と強弁し、「何かに対する対抗措置といった種類のものではない」(世耕弘成経産相)などといいはってきたが、ここにきて、安倍首相自身が、輸出規制は徴用工問題への報復であることをバラしてしまったのだ。
 
 確かに、安倍首相がかなり前から韓国に対して顔を真っ赤にして怒り、「報復」に躍起になっていたことは、様々な周辺情報から明らかになっている。
 昨年、韓国の大法院(最高裁)が元徴用工の訴えを認める判決を出したことに、慰安婦問題をはじめ日本の戦争犯罪を否定したい歴史修正主義者・安倍首相の怒りは相当なものだったという。文在寅政権へ司法介入するよう圧力をかけるとともに、韓国に対する態度をエスカレートさせていった。
 昨年末、レーダー照射問題が勃発した際は、防衛省が安全保障の協力体制にヒビが入ることを恐れて内々に処理しようとしていたのに、安倍首相が問題を顕在化させ、「鶴の一声」で「証拠」とする動画公開を決定した。時事通信はその裏側を〈元徴用工訴訟をめぐり日本企業への賠償判決も相次ぎ、首相は「韓国に対し相当頭にきていた」(自民党関係者)〉と伝えている(2018年12月28日)。
 
 どうやら、安倍首相はこの頃から「徴用工問題への報復」の構想を固めていたようだ。そして、年明け、安倍首相は具体的な報復措置の検討を各省庁に指示したのだという。毎日新聞も4日朝刊で、この報復措置が政府内で「アラーム」と名付けられていたとして、以下のように内幕を書いている。
〈「アラーム」の検討は、今年初めに水面下で始まった。韓国政府が昨年末までに、日本企業の代わりに賠償を支払うなどの対応をしなかったからだ。首相は「毅然とした対応をとるための具体的な措置」の検討を指示。財務省出身の古谷一之官房副長官補のもと、外務、経済産業、農林水産などの各省幹部が策を練り始めた。〉
 
外務省に韓国人のビザ制限を拒否されて、経産省が半導体規制をやることに
 しかも、安倍官邸が当初、強く推していた報復措置は、経産省による輸出規制でなく、なんと外務省に韓国人のビザ制限をやらせることだった。最近、読売新聞がやはり輸出規制に打って出るまでの経緯を報じる記事の中で、経済産業省幹部のこんな証言を載せていた。
「外務省が韓国人に対する査証要件厳格化といった『対抗措置』をやらないから、経産省が引き取った」と明かす〉(8月29日)
 特定の国にだけビザの適用を厳格化しようとするとは、嫌韓脳に侵されて狂っているとしか思えないが、御用新聞の読売が書いていることからもわかるように、これはかなり信憑性のある情報だ。しかも、安倍官邸は外務省がこの対抗措置の採用を拒否したことに激怒し、対抗措置の検討から外務省を蚊帳の外に追いやり、輸出規制の際も、日韓関係を担当するアジア大洋州局に報告しないという嫌がらせまで行っていたという。
 
 しかし、外務省が韓国人ビザ制限を断っても、安倍官邸は報復を諦めなかった。代わりに忠実な下僕である経産省に手当たり次第「報復」となりそうなものを探すことを指示。そして、通産省が持ってきたのが、韓国の主力産業である半導体の輸出規制と「ホワイト国」除外という措置だった。
 前掲の毎日新聞は、半導体をターゲットにした輸出規制が決定されるまでの経緯をこう書いている。
〈「メッセージ性の大きな措置をとるべきだ」。古谷氏のもとでは、こんな意見が大勢を占めた。経産省は韓国の主要産業である半導体に狙いを定めるよう提案。「いきなり半導体はまずい」との慎重論も出たが、ある経済閣僚は「ガツンとやらないと文在寅政権には伝わらない」と首相に進言した。
 6月29日、首相は執務室で古谷氏や外務、経産両省の事務次官らと向き合った。大阪市での主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた文大統領の来日が1週間後に迫っていた。首相らは「韓国側は問題の深刻さを理解していない」と判断。「アラーム」を、韓国側に元徴用工問題への対応策を示す「期限」と伝えていたG20の後にセットすることを確認した。〉
 
経産省は韓国を「根拠なき報復」と批判したが、「報復」したのは自分たちだ
 経産省が対韓国輸出規制で繰り返している「輸出管理に不備」などという理由は建前にすぎず、ハナから「徴用工問題への報復」ありきだったことはもはや疑いようがない。
 実際、対韓輸出規制を発表した7月頭には、政権幹部も御用マスコミにオフレコで「徴用工への対抗措置」だと盛んにリークしていた。そして、当の安倍首相も参院選公示日後のテレビ出演で、輸出規制について「国と国との約束を守らないことが明確になった。貿易管理でも恐らくきちんと守れないと思うのは当然だ」などと、徴用工問題が出発点であることを示唆していた。安倍首相の頭のなかには、参院選を前に韓国を批判することで内政から国民の目を背けようという狙いがあったはずだ。
 だが、元徴用工への補償を封じ込めるための輸出規制だと大っぴらに認めれば、「自由公平な貿易を推し進める」「貿易措置を政治利用しない」という国際社会のコンセンサスに反し、批判は必死。韓国がWTOに訴えれば負けることは目に見えていた。そこで、国際社会に対しては「徴用工問題への対抗措置ではない」「安全保障上の問題」「韓国の貿易管理体制に不備があったから」などというタテマエを唱えるという、二枚舌作戦を展開したのである(もっとも、こんな子ども騙しの手法はバレバレで、海外メディアからも「安倍政権の言うことを信じるものはいない」と酷評されたのだが)。
 
 そして今では、マスコミが「事実上の徴用工問題への報復」と報じようものなら、経産省がすぐさま記者会を通じて「何かの報復というものではなく、通常の措置だ」「韓国の輸出管理に信頼が置けないから、管理を厳格化したにすぎない」などとしつこく「説明」し、圧力をかけている。そうして、いつのまにか、輸出規制の問題が「報復」であることを正面から伝えるメディアはほとんどなくなってしまった。まるで「輸出規制は徴用工問題への報復」という事実がメディアタブーになったかのような、異常な状況だ。
 ところが、そんななかで、今回、安倍首相が「輸出規制の撤回とGSOMIA破棄の再考のバーター案」を蹴って、「根幹にある元徴用工問題の解決が最優先だ」と、「徴用工問題への報復」ありきであったことを自ら明かしてしまったのだ。
 いったいこれまで、日本政府が国際社会で主張していた「安全保障上の問題」「貿易管理体制に不備があった」という主張はどう説明するのか。言っておくが、経産省は、韓国政府が輸出管理上の優遇対象国から日本を除外する動きに、「根拠のない恣意的な報復措置である」と表明する書面を送付。悪ノリして、韓国政府のパブリックコメントにまで同様の「根拠なき報復」などという反論とともに、質問状を送付していた。
 しかし、この安倍首相の発言で、無益でしかない「恣意的な報復」を始めたのは、自分たちであることは完全に明らかになってしまった。WTOの判決にも影響があるのは必至だろう。
 
安倍首相の“日韓和解拒絶”“報復ダダ漏れ発言”を報道しないマスコミ
 だが、韓国憎しで凝り固まったネトウヨ脳に侵された安倍首相にとって、もはや、国際社会からどう見られるか、日本の国益をどう守るかなんてどうでもいいのだろう。とにかく徴用工という日本の戦争犯罪をなかったことにしたい、そのためには安全保障も国益も関係がない、という妄執に取り憑かれているとしか思えない。
 しかも、最大の問題は、冒頭で言ったように、安倍首相が今回、日韓の宥和に向けた動きにつながるチャンスを平気で拒絶したことだ。「輸出規制の撤回とGSOMIA破棄の再考のバーター案」というのは、その是非はともかく。日韓関係の悪化を重く見た韓国政府が、この問題で歩み寄りを見せているということだ。だが、安倍首相はその話し合いのテーブルにつく気さえ見せなかった。おそらく安倍首相は、このまま、強硬姿勢を続けたほうが自分の支持率があがるとでも考えているのだろう。
 まさに亡国の総理としか言いようがないが、しかし、マスコミはこの期に及んでも、安倍首相の姿勢を追及しようとはしない。というか、批判するしない以前に、テレビでは今回の安倍首相の「根幹にある元徴用工問題の解決が最優先だ」という“和解拒絶”“報復ダダ漏れ発言”にもまったく触れようとしないのだ。
 
 そのかわり、ワイドショーでは相変わらず、韓国を見下したいためだけに韓国の「玉ねぎ男」などどうでもいい“嫌韓ネタ”ばかりを取り上げ、ますます視聴者の劣情を煽り続けている。
 いや、安倍首相の“報復発言”をまともに報じなかったことだけではない。8月27日には、駐日韓国大使館に銃弾らしきものと手紙が送りつけられる事件が発生。韓国メディアによると、手紙には「ライフルを数丁持っている」として、韓国人を狙ってテロを起こすという趣旨の文章が書かれ。「韓国人は出て行け」という内容も含まれていたという(ハンギョレ3日)。明らかに安倍政権が扇動する“嫌韓キャンペーン”に乗った脅迫であり、ヘイトクライムの危険性を想起させる重大事件だ。しかし、テレビはこの事件をまったく取り上げようとしないのである。
 
「報復」へ一直線の安倍首相と、そんな“暴走総理”を諌めるどころか、丸乗っかりして嫌韓報道ばかりに興じる日本のマスコミ。この国は、もはや大本営発表だけが垂れ流された戦中さながらだ。本当に取り返しのつかないことになる前に、安倍首相を総理の椅子から引きずり降ろすしかない。 (編集部)