11日に行われる内閣改造では色々と呆れるような人選が行われています。中でも許せないのが萩生田光一・筆頭副幹事長の文科相への起用です。前川元文科事務次官は「ひどいことになるだろう」と述べたということです。
先の「加計学園問題」では、同学園が経営する千葉科学大学の客員教授を務めていた萩生田氏が官邸側の中心人物でした。彼は本命の「京都産業大学」を外し、加計学園獣医学部の新設は“総理案件”であることを文科省に伝え、反対できないことを周知させました。彼のそうした関与は残されている文書からも明らかでしたが、安倍首相と加計氏の友人関係すら「知らなかった」と強弁するなど、明白な嘘を吐きつづけて完全否定しました。恐るべき厚顔さで、さすがは安倍首相の“側近中の側近”と言われるだけのことはあります。
彼は今年、ネトウヨ番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』に出演して「ワイルドな憲法審査を自民党は進めていかなければならない」などと述べ、別の番組では、大島理森・衆院議長氏について、「いまのメンバーでなかなか動かないとすれば、有力な方を議長に置いて、憲法改正シフトを国会がおこなっていくことは極めて大事だ」と発言するなど、改憲に並々ならぬ意欲をもつ安倍首相と一心同体であることを明らかにしました。
萩生田氏は、2014年末の解散総選挙直前にTBSが行った街頭インタビューに文句をつけ、その挙句に在京キー局に向けて「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」という恫喝文書を送りつけた人でもあります。以後メディアは大いに萎縮して現在に至っています。
2013年に自民党の「教育再生実行本部」の「教科書検定の在り方特別部会」の主査になると、アジア諸国への配慮を義務づけた「近隣諸国条項」の見直しを打ち出し、「自虐史観に立つなど、多くの教科書に問題となる記述がある」と教科書批判を展開しています。
部会に教科書会社の幹部を呼び出しては、「南京事件や慰安婦問題、竹島などの領土問題、原発稼働の是非などに関する教科書の記述」について聞き取りをおこない、圧力をかけました。要するに安倍首相が血道を上げる戦前回帰と「偏向」教科書批判に同調し、一体となって教科書制度の改悪を進めてきたのでした。前川喜平氏によれば、彼の議員会館の事務室には、教育勅語の大きな掛軸が掛けてあったということです。
根底にあるのは皇国史観と大東亜戦争聖戦論であり、それらにとって不都合な歴史的事実(「南京大虐殺」「慰安婦問題」「朝鮮人大虐殺」「朝鮮併合」等々)を「なかった」乃至は「正義であった」とする歴史修正主義です。
そうした史観に耽りたいのであれば同好会でも組織してそこで共感し合えばいいのであって、それによって教育を、政治を、そして国をま(枉)げることは絶対にあってはならないことです。
この狂気の人事は、安倍首相がもはやなりふり構わずに、戦前回帰に向かって突き進もうとする意志の顕れで、恐るべきことです。
(追記 閣僚・党内人事に関しては他に2つの記事がでています。
⇒ 安倍首相が内閣改造で菅原一秀を経産相にするトンデモ 愛人に「女は25歳以下」「子供を産んだら女じゃない」のモラハラ男(LITERA 10日)
“日本のタマネギ男”甘利明氏の復権にメディアは完黙なのか (日刊ゲンダイ10日))
“日本のタマネギ男”甘利明氏の復権にメディアは完黙なのか (日刊ゲンダイ10日))
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安倍が文科相に抜擢した萩生田光一こそ問題だらけのタマネギ男だ!
加計問題で圧力、教育勅語礼賛、テレビ局に圧力文書…
LITERA 2019.09.10
安倍政権史上、過去最高の“お友だち=極右”内閣が誕生しようとしている。明日の内閣改造と自民党役員人事に先駆け、すでにメディアが入閣情報を報道しているが、その面子は背筋が凍るような極右議員が勢揃い。しかし、そんななかでも飛び抜けて多くの人びとの度肝を抜いたのが、萩生田光一氏の初入閣、しかもよりにもよって文科大臣で登用されるというニュースだ。
いわずもがな、萩生田氏といえば安倍首相の“側近中の側近”であり、そして、加計学園問題のキーパーソンだ。
あらためておさらいすると、萩生田氏は加計学園の獣医学部新設をめぐって大きな役割を演じてきた。たとえば、文科省が公開したメール文書では、「広域的に」「限り」の文言を加えるという事実上の「京都産業大学外し」を内閣府に指示していたと名指しされており、NHKがスクープした文部省の内部文書「10/21萩生田副長官ご発言概要」でも、萩生田氏が文科省に対し「官邸は絶対やると言っている」「総理は「平成30年4月開学」とおしりを切っていた」などと“総理案件”であることを伝えていたことが明らかになっている。
こうした関与を本人は厚顔にも完全否定したが、萩生田氏は加計学園が経営する千葉科学大学の客員教授を務め、報酬を得ていたこともある上、自らのブログに安倍首相、加計孝太郎理事長と3人仲良くバーベキューに興じる写真を掲載していたことも発覚。ところが驚いたことに、萩生田氏は安倍首相と加計氏の友人関係すら知らなかったと強弁するなど、誰にでもわかる嘘を平気な顔で吐いてきた。
にもかかわらず、安倍首相の側近として文科省に圧力をかけた疑惑の中心人物を、あろうことか安倍首相は文部大臣に抜擢したのである。これほど国民をコケにした人事があるだろうか。
だが、萩生田氏を文科大臣に登用したことには、さらに大きな問題がある。それを象徴するのが、前川喜平・元文科事務次官がきょう投稿したツイートだ。
〈やっぱり萩生田文部科学大臣か。ひどいことになるだろう。彼の議員会館の事務室には、教育勅語の大きな掛軸が掛けてあった。〉
教育勅語の掛け軸をかけていた──。このエピソードからもわかるとおり、萩生田氏は安倍首相が血道を上げる戦前回帰と“偏向”教科書批判に同調し、一体となって教科書制度の改悪を進めてきた歴史修正主義者なのだ。
たとえば、2013年には、安倍首相の「(現行の教科書検定基準には)伝統、文化の尊重や愛国心、郷土愛について書き込んだ改正教育基本法の精神が生かされていない」と発言したことを受けて、萩生田氏は総裁特別補佐として自民党「教育再生実行本部」の「教科書検定の在り方特別部会」の主査に。同部会は教科書検定でアジア諸国への配慮を義務づけた「近隣諸国条項」の見直しを打ち出し、「自虐史観に立つなど、多くの教科書に問題となる記述がある」と教科書批判を展開。
そして、同部会では教科書会社の社長や編集責任者を呼び出し、〈南京事件や慰安婦問題、竹島などの領土問題、原発稼働の是非などに関する教科書の記述〉について聞き取りをおこない、議員らが「経緯の説明が足りない」「偏っている」などと意見(朝日新聞2013年6月4日付)。ようするに“圧力”行動に出たのだ。
安倍首相の手先として教科書に圧力、ワイルドな憲法審査、テレビ局に圧力文書
これには教科書会社の関係者からも「戦争への反省の視点を薄めようとしているのは明らか」などと危惧の声が上がっていたが、対する萩生田氏は「日本ってとんでもない国だという、そういう洗脳教育みたいなのは、もうやめてもらいたい」などと発言(琉球新報2013年8月4日付)。結局、安倍政権は〈学習指導要領の解説改定や検定基準の厳格化によって教科書の記述を変えさせる〉ことで「近隣諸国条項」を骨抜きにしたのだが、萩生田氏はこの教科書改革について「もう、近隣諸国条項の使命は終わった」と語っている(朝日新聞2014年3月2日付)。
このように教科書改悪の尖兵として役割を果たしてきた萩生田氏が、安倍首相によって文科大臣に引き上げられた──。これによって、さらに教育現場において歴史修正主義が押し付けられ、蔓延することは間違いない。
いや、問題はそれだけではない。萩生田氏は「日本会議国会議員懇談会」が設置した「新憲法制定促進委員会準備会」の事務局長を務め、この準備会が2007年に「新憲法大綱案」を公表したように、安倍首相と一丸となって憲法改正を推し進めようとしてきた人物だ。
実際、今年に入ってからもフェイクデマ拡散ネトウヨ番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)に出演して「ワイルドな憲法審査を自民党は進めていかなければならない」などと述べ、さらに参院選後にはやはり極右ネット放送局「言論テレビ」の番組『櫻LIVE』に出演し、衆院議長だった大島理森氏をめぐって「いまのメンバーでなかなか動かないとすれば、有力な方を議長に置いて、憲法改正シフトを国会がおこなっていくことは極めて大事だ」と発言。
野党との合意形成もなく「ワイルドな憲法審査」などと言い、改憲シフトのためには衆院議長の首も挿げ替えるべきと主張する「暴言」を連発してきた萩生田氏を、このタイミングで文科大臣にする意味──。それは、改憲の必要性を学校でも叩き込もうというための布石ではないのか。
しかも、萩生田氏といえば、報道機関に対し率先して“圧力”“恫喝”を繰り広げてきた人物でもある。たとえば、2014年末の解散総選挙直前、安倍首相が生出演した『NEWS23』(TBS)で流した街頭インタビューでアベノミクスについて否定的な意見が多かったことに対して、安倍首相は「厳しい意見を意図的に選んでいる」と陰謀論まがいの主張をまくしたててブチ切れ。放送から2日後には、在京キー局に向けて当時自民党筆副頭幹事長の萩生田氏は〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉なる恫喝文書を送りつけた。これが放送局の萎縮と忖度を加速させたことはあきらかだが、このように安倍首相に仕え、尻尾を振りつづけてきたのが萩生田氏なのだ。
安倍首相の言うなりに動き、時に安倍首相の本音を代弁して観測気球を上げてきた萩生田氏の入閣。新たな“極右お友だち内閣”でも、この男の動きには要注意が必要だろう。(編集部)