2019年9月8日日曜日

概念理解せず「責任」乱発…“天然”安倍晋三にはかなわない(適菜 収氏)

 適菜 氏のシリーズ「それでもバカとは戦え」の記事を紹介します。
 タイトルから分かるように辛辣な記事であるのはいうまでもありませんが、良く調べてあって認識を新たにさせられます。
 末尾で触れられている「1文字で」という要求に安倍首相がどうしても的確に答えられない部分も記憶に残りそうです。
 名文です。
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それでもバカとは戦え  
概念理解せず「責任」乱発 …“天然”安倍晋三にはかなわない
適菜   日刊ゲンダイ 2019/09/07
 安倍晋三は10月の消費税率の引き上げについて「リーマン・ショック級のことは起こらないだろう」との見通しを示し、予定通り増税するという。アホにも限度がある。消費税率の引き上げが「リーマン・ショック級」の事態なのだから。
 
 2014年に消費税率が5%から8%に引き上げられたときには、景気が悪化し家計消費も大きく落ち込んだ。当時安倍は「判断する私の責任だ。結果にも責任を持たないといけない」と語っていたが、責任は取ったのか?
 
 わが国においては言葉の意味がすでに蒸発している。安倍という男の人生を振り返ってみても、口を開けば「私の責任」と繰り返し、責任を取ることはなかった。佐田玄一郎、久間章生、赤城徳彦、遠藤武彦、小渕優子、松島みどり、西川公也、甘利明、今村雅弘、稲田朋美、桜田義孝……。閣僚が不祥事を起こし辞任するたびに、「任命責任は私にある」と言いながら、時間を稼いでほとぼりが冷めるのを待つ。
 
 安倍は米英のイラク侵略に関し「大量破壊兵器がないことを証明できるチャンスがあるにもかかわらずそれを証明しなかったのはイラクだった」と発言している。いわゆる「悪魔の証明」問題で、挙証責任は当然イラクにはない。要するに「責任」という概念を理解していないのだ。
 
「責任政党として約束することは必ず実行する、できることを約束していく政党であらねばならない」と言った直後に公約違反を追及されると「これまでのお約束と異なる新しい判断」と言ってごまかす。外交はすべて失敗。「北方領土問題に終止符を打つ」と言って、プーチンに終止符を打たれ、「拉致被害者を自分の責任で取り戻す」と言ったかと思えば、「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだと私が言ったことはない」とニヤける。
 
 森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざん事件に関しては「国民の行政に対する信頼を揺るがす事態となった。行政の長として責任を痛感している。行政全般の最終的責任は首相である私にある」と言いながら、責任逃れに終始した。
 
 06年の暮れ、「首相にとって今年の1文字は?」と質問された安倍は「変化」と答えている。困った記者がもう一度「1文字にしたら?」と聞くと「責任」と答えた。植木等は「日本一の無責任男」を演じたが、「天然」の安倍にはかなわない。
 
  適菜  作家
1975年生まれ。作家。ニーチェの「アンチクリスト」を現代語訳した「キリスト教は邪教です!」、「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体 」など著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。