与野党の全面対決となった岩手県知事選は、オール野党を率いる現職達増拓也氏がトリプルスコアに近い差をつけて圧勝しました。市町村別の得票数でも、達増氏は県内全市町村で得票が上回るという「完全試合」を達成しました。
岩手では野党が7月の参院選岩手選挙区(改選数1)に続いて全県選挙の連勝記録を更新しました。
河北新報はその原因を、野党の共闘が選挙戦を重ねるごとに結束を強固したことと、自民党が2015年の前回知事選での不戦敗以降、政党としての活力が大きく損なわれ、地力が低下したことが響いたとしました。
しんぶん赤旗の記事を併せて紹介します。
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岩手知事4選 達増氏全市町村で勝利 共闘進化、自民の地力低下
河北新報 2019年9月10日
政権与党と野党勢力の全面対決となった岩手県知事選は、オール野党を率いる現職達増拓也氏(55)が、自民党擁立の新人及川敦氏(52)を圧倒的な票差でねじ伏せた。岩手では野党が7月の参院選岩手選挙区(改選数1)に続いて全県選挙の連勝記録を更新した。
市町村別の得票数は表の通り(表は省略)。達増氏は県内全市町村で得票が及川氏を上回る「完全試合」を達成した。
達増氏は、政治の師と仰ぐ小沢一郎氏が地盤とする県南の衆院岩手3区に加え、東日本大震災の復興途上にある沿岸部でも及川氏に大差をつけた。達増、及川両氏ともに、大票田の盛岡を中心とする衆院岩手1区が地元だが、ここも達増氏が制した。
及川氏は自民党の鈴木俊一五輪相(衆院岩手2区)が地盤とする岩手県宮古市や山田町でも達増氏の後塵(こうじん)を拝した。政治の光が差さない県北や復興効果が届かない沿岸部で、達増県政への批判票を掘り起こす戦術は不発に終わった。
達増氏を押し上げた岩手の野党共闘は、選挙戦を重ねるごとに結束を強固にしている。選挙戦中盤には野党4党の党首級が盛岡市での街頭演説に集結。達増氏は最終日、同じく8日投開票の県議選の共産党3候補を応援するなど共闘は日を追って厚みを増した。
及川氏の敗因には遅れた立候補表明、知名度不足、連動を狙った県議選候補の無投票などが挙げられるが、加えて自民党の地力低下が響いた。2015年の前回知事選の不戦敗によって、政党としての活力が大きく損なわれたことに遠因を求めることができよう。
達増氏の4期目は震災復興の総仕上げ期であると同時に、自身が策定を手掛けて公約とした県総合計画の始動期にも当たる。県民の大きな負託に応える県政運営を望みたい。(解説=盛岡総局・江川史織)
実績と共闘の勝利 達増氏当選で小池書記局長
しんぶん赤旗 2019年9月10日
日本共産党の小池晃書記局長は9日、国会内で記者会見し、8日投票の岩手県知事選で、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社民党などが推薦した現職の達増拓也氏が勝利したことについて、「得票でも県内33市町村のすべてで相手候補を上回り、4選を勝ち取るという素晴らしい結果だ」と強調しました。
小池氏は「達増県政が県民と被災者の立場に立った政策を推し進め、小学生までの子ども医療費の窓口無料化、被災者の医療費・介護保険利用料の免除など、さまざまな実績が県民から評価された結果だ」と述べました。
また、「市民と野党の共闘でたたかった力が大きく前進していることを鮮明に示すことになった」と強調。「埼玉県知事選に続いての岩手県での勝利は、安倍政権に対する地方からの明確な審判だと考える。一日も早く安倍政権に代わる野党連合政権を実現していくために力を尽くしていきたい」と決意を表明しました。
小池氏はさらに、同時に行われた岩手県議選で大激戦の中で日本共産党が現有3議席を維持したことにもふれ、「わが党も県政与党として達増県政を支えて前に進める役割を果たしていきたい」と述べました。
首長選での野党共闘勝利 小池氏「大きな意義ある」
しんぶん赤旗 2019年9月10日
日本共産党の小池晃書記局長は9日、国会内の記者会見で、今後の地方の首長選で野党共闘候補を擁立し勝利していく意義について問われ、「大きな意義がある」と強調しました。
小池氏は「野党が力を合わせて首長の勝利を実現していくことで、地方政治そのものが住民の立場に立ったものへと変わっていく。地方政治にとって、大きな意義がある」と語りました。
また、小池氏は「野党が力を合わせれば、自民党との一騎打ちに勝利できるということを地方の首長選で示すことが、国政における野党共闘を前に進めるインパクトにもなる」と指摘。「地方政治において、野党の連合政権の“先駆け”としての取り組みが広がることになり、国政での野党共闘の内容を質的に高めていく上での意義も大きい」と強調しました。