17日、参議院安保法制特別委員会で戦争法制の採決が強行されたことに対して、自由法曹団は強い怒りをもって抗議する声明を出しました。
自由法曹団には2100名余の弁護士が加盟しています。
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戦争法制(安保法制)の強行採決に抗議し、違憲立法の速やかな廃案を求める
本日、政府・与党は、参議院安保法制特別委員会で戦争法制(安保一括法案・国際平和支援法案)の採決を強行した。自由法曹団と全国2100名余の団員弁護士は、政府・与党の暴挙に満腔の憤りをもって抗議する。
戦争法制は、集団的自衛権を行使して米国の戦争に参戦するとともに、米軍等の兵站支援(重要影響事態法・国際平和支援法)、治安維持活動と任務遂行のための武器使用(PKO法)、米軍等の武器を防護するための武器使用(自衛隊法)などを認め、いつでもどこででも切れ目なく戦争に突入できるようにするものである。
自由法曹団は6次にわたる意見書を発表し、本質や問題点を明らかにしてきた。戦争法制はまごうことなき違憲立法であり、そのことは圧倒的多数の憲法研究者や元内閣法制局長官、元最高裁判所長官らが、憲法違反と断定していることからも明らかである。
国会審議を通じて、「大量破壊兵器の輸送・補給すら可能」「米軍の武器防護が戦争に直結」などの無限定性や危険性がますます明らかになり、政府が言う「邦人母子の乗った米艦防護」や「ホルムズ海峡の機雷敷設」の「立法事実」の破綻も明白になった。統合幕僚長の訪米協議録などによって、制服幹部の「先取り検討」や米日軍事一体化の進行も白日のもとにさらされた。
こうしたなか、日を追うごとに法案反対の声が強まり、「成立の必要なし」が68%に
対し、「必要」は20%にすぎなかった(9月12、13日 朝日・世論調査)。弁護士が全員加入する日本弁護士連合会や弁護士会が強く反対したのをはじめ、各界・各分野から反対の声がまき起こり、青年・学生は「SEALDs」などに結集して行動に立ち、「ママの会」などに集まる女性の活動も全国に広がった。8月30日には12万人が国会周辺を埋め尽くし、1千か所以上で数十万人が行動した。かつてない規模で広がった地方・地域の運動の地響きが国会を揺るがし続け、採決を強行した国会は市民に包囲されている。
これほどまでに鮮やかな展開を示した運動は、このところ類例を見ない。
圧倒的な国民の声に逆らった違憲立法の強行は、平和主義・立憲主義を蹂躙するばかりか、国民主権と民主主義をも踏みにじるものと言わねばならない。
国会内の数の力で採決を強行したからといって、違憲性が治癒されることはなく、参議院本会議で違憲立法が採決されることなど断じてあってはならない。
違憲立法・戦争法制の委員会採決は取り消されねばならず、戦争法制はただちに廃案にされねばならない。
自由法曹団は、そのことを強く要求する。
2015年 9月17日
自由法曹団
団 長 荒井新二