まず鴻池委員長の不信任動議が否決されると、同委員長と安倍首相が入室したので野党の議員たちはこれから総括質疑が行われると思ったのですが、委員長が席に着くと自民党の1年生議員たちが一斉に委員長席を取り囲み人垣を作る中で、自民党の佐藤正久議員の合図のもとで与党議員たちが何度か起立、着席を繰り返しました。
そしてそのあと首相と委員長は委員会室から退場しました。入室から退場まで数分間の出来事でした。
委員会の速記録によると、委員長が席に戻って以降は、「議場騒然 聴取不能」と記されたのみで、議事録は「委員長退席 16時36分」で終わっているということです。
鴻池委員長が議事に関して何かを発言し、採決がされたことを裏付ける記録はありません。
自民党の佐藤議員の説明によれば、数回の起立で、質疑打ち切り動議、安保法案、与党と野党3党が共同提出した付帯決議の3つが可決されたということで、このやり方でいくということは、事前に綿密に計画されリハーサルも行われたということです。
安倍首相はもちろんその作戦を当初から熟知していて、その成功のために筋書き通りに行動し、ことが成就すると速やかに退席しました。
そんな採決・採択の仕方というものはあり得ません。
参院特別委の「採択は不存在」というのは当然のことです。
いま醍醐 聰東大名誉教授ら4人が呼びかけ人となって、「安保法案の採決不存在の確認と法案審議の再開を求める申し入れ」を、国会会期末までに提出すべく賛同署名を募っています。
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安保法案の採決不存在の確認と法案審議の再開を求める申し入れへの賛同のお願い
醍醐聰のブログ 2015年9月20日
政府・与党は9月17日の参議院安保特別委員会で、2つの安保関連法案ほか計5件の案件を「採決」し、「可決」したとみなし、マスコミもそのように報道しています。
しかし、「採決」の場面をテレビで視た多くの市民の間で、「あのように委員長席周辺が騒然とし、委員長の議事進行の声を自席で委員が聴き取れない状況で、5件もの採決がされたとは信じられない」という声が飛び交っています。至極もっともな感想ではないでしょうか?
ということは、「強行採決」に抗議する以前に、「採決」はそもそもなかったというのが真相ではないでしょうか?
このような余りに理不尽な状況を見過ごすことはできないと考え、緊急に山崎参議院議長、鴻池安保特別委員会宛てに次のような申し入れをすることにしました。
そこで、以下のとおり、皆様に賛同の呼びかけをさせていただきます。
「安保関連法案の採決不存在の確認と法案審議の再開を求める申し入れ」への賛同のお願い
賛同いただける方は次の署名フォームにご記入の上、至急、送信下さるようお願いいたします。
1. 申し入れに賛同くださる方は次のサイトに載せた「賛同署名の入力フォーム」にご記入のうえ、至急、お送りくださるようお願いします。
(今の国会会期末までということで、9月25日に提出する予定です。)
2. ご記入いただいた氏名、所属/お住まいの都道府県名はそのまま名簿に記載して提出します。また、記入いただいたメッセージとともに、専用のサイトに掲載させていただきます。匿名をご希望の方はその旨を必ず付記ください。
3. 賛同署名は9月25日(金)午前10時締切りとします。
呼びかけ人
浦田賢治(早稲田大学名誉教授)
小野塚知二(東京大学・経済学研究科・教授)
澤藤統一郎(弁護士)
醍醐 聰(東京大学名誉教授)
連絡先
【速報】(2015年9月22日、2時55分 記)
カウンターでいうと、署名数は21日24時現在で6,023筆となった。その後、今日の3時43分現在で6,336筆になった。ただし、正式の集計では多少の誤差が生じる可能性がある。
引き続き、多くの方から署名に添えてメッセージが送られている。その中の3つを紹介したい。
奈良県に在住の方
「ずっとテレビを見ておりましたが、鴻池委員長が席につくと同時に、奈良県選出の堀井巌参議院議員があいずを出し、とたんに、大勢の自民党の体力がありそうな議員がスクラムを組んで委員長を取り囲みました。その後は何もわからないまま、立ったり座ったりのあいずのままに議員が立ったり座ったりしていましたが、おそらく何の法案かもわからない状態ではなかったでしょうか。また委員会室には委員以外の人もはいっており、野党の議員も立ち尽くす中で、数も確認されないままではなかったでしょうか。事実議事録は議場騒然、聴取不能だったではありませんか。
NHKがすぐにテロップで「安保法案採決」をだしたため、すぐNHKにあれは採決になっていませんから、テロップを消してくださいと電話を入れました。
県議会では20年間議会運営にかかわっていますが、国会があれで採決では全国の議会に示しがつきません。このようなやり方で自衛官を戦場に送るわけにはまいりません。採決不存在と、審議の続行を求めます。」
新潟県在住の方
「賛同致します。横浜地方公聴会後の議事録報告もなし、参院特別委員会でのあの混乱の中で採決されたとは誰も思う人はいなかったはずです。可決されたという議事録もない。無効と見なすのは、当然です。
NHKが勝手に「可決されました」とアナウンスしたのは大罪だと思います。NHKアナウンサーを追及する必要性もあると思うのですが・・」
神奈川県在住の方
「私は中国:日本=4:1のクオーターです。父親の母が残留孤児で中国人と結婚、中国と日本のハーフの父が中国人の母と結婚しました。私の国籍は日本ですが、幼いころから「中国人のくせに」と言われたり日本の人が中国を嫌っているのをひしひしと感じていました。何が一番悲しいかと言うと、中国の(私にとって)悪口(に聞こえる事)を言われると国籍を変えていない母の悪口を言われている気持ちになり、とても辛いということです。仲良くなった友達が中国のニュースを見て『これだから中国人は嫌いなんだよ』と言っていたのも傷つきましたが、そういったものが日本の教育なので仕方ないな、と思う気持ちもあります。
今回の保安関連法案の採決について私が考える事は、もし中国と戦争をする事になったら私は中国に住んでいる私のいとこや叔父さん叔母さんと戦争しなきゃいけなくなるのが嫌だ。です。
こういった思いを抱えている私のような日中のハーフやクオーターの人は少なからずいるのではと思います。
『必ずしも戦争をすることを視野に入れた法案ではない』と、いたる所で説明されていますが、『中国の脅威が』という話しも同じくらいこの法案を語る上で出てくる話です。『必ずしも戦争をすることを視野に入れた法案ではない』というのであれば9条を尊重し、戦争の犠牲になった人々の思いを、経験をきちんとまとめ、反省し、正しく後世へ教育すべきです。
日本は先進国とはいえ島国ですから、貿易などこれからも他国の協力が必要不可欠です。
仲良くするのは簡単ではないですが、もう十分傷付けあって、戦争をする、参加するということに良いことがなかった。と一度分かったのですから。もっと日本に生まれた命たちを、人の気持ちを大切にすべきです。」