防衛省は31日、総額が過去最大の5兆0911億円に上る2016年度防衛予算の概算要求を発表しましたが、東京新聞は、武器などの購入費の支払いを翌年度以降に先送りする「後年度負担」が膨れ上がり、武器購入のいわゆるローン残高が4兆8815億円に上ることを明らかにしました。この額はほぼ防衛予算額に匹敵します。
また16年度の武器代の支払費は1兆9087億円ですが、これは過去のローン代残額のうちから16年度に支払う金額のことであり、16年度だけで購入する装備費用の総額が2兆5648億円になることは顕れていません。
これをベースにすると16年度の実質的な防衛予算は5兆7472億円となります。(下表参照)
安倍政権は「国際情勢の悪化」を言い立てて武器購入を進めていますが、装備拡大路線のツケはローンの形で後の政権が背負わされます。
もしも安保法案が成立した場合には、当然装備代が加速的に膨張するものと思われます。
防 衛 装 備 代
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人件費等
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合 計
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16年度予算
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1兆9087億円
(前年度以前購入分)
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3兆1824億円
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5兆0911億円
(16年度支払分)
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16年度購入分
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2兆5648億円
(17年以降ローン支払)
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(3兆1824億円)
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5兆7472億円
(16年度購入ベース)
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前年度以前購入分
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2兆3167億円
(17年以降ローン支払)
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17年以降
ローン残高
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4兆8815億円
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合 計
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6兆7902億円
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16年度概算要求 防衛予算総額に迫る 武器ローン4兆8815億円
東京新聞 2015年9月1日
防衛省は三十一日、総額が過去最大の五兆九百十一億円に上る二〇一六年度予算の概算要求を発表した。前年度比0・7%増だが、実際は、武器などの購入費の支払いを翌年度以降に先送りする「後年度負担」が膨れ上がり、武器購入のいわゆるローン残高は四兆八千八百十五億円になる。 (中根政人)
防衛省は高額な武器を購入するため、支払い契約を最長で十年間にできる新たな特別措置法を使い、いずれも六年契約で垂直離着陸輸送機オスプレイ十二機(千三百二十一億円)や潜水艦の警戒監視などを行う哨戒ヘリコプターSH60K十七機(千三十二億円)を購入する費用などを盛り込んだ。
概算要求の内訳は、自衛隊員の人件費や教育訓練費などとして約三兆一千八百億円。残りの一兆九千八十七億円は、過去に購入した武器のローン返済に充てる。
概算要求に盛り込んだ武器購入費は、一七年度以降にローンが発生し、総額二兆五千六百四十八億円となる。
これとは別に、一七年度以降に支払わなければならない、過去に購入した武器のローン総額は二兆三千百六十七億円。総額四兆八千八百十五億円で、防衛省の概算要求総額に匹敵する。
安倍晋三首相は国会審議で、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案について、日米同盟を強化しても、防衛費が大幅に増えないと説明。根拠として「中期防衛力整備計画(中期防)で五年間の防衛費を明示している」と強調する。
中期防では、一四~一八年度の防衛費を二十四兆六千七百億円程度と見込み、年平均の増加率を0・8%にしているからだ。
防衛省は武器をまとめて買えば購入単価は下がるが、一年では払えないのでローンを組むと説明する。
しかし、武器購入費のローンは最長十年で返済できるため、ローン残高が膨れ上がれば、年度ごとの返済額が巨額になり、人件費と武器のローンだけで予算を使い切ることになりかねない。
安倍政権は中国の海洋進出など国際情勢の悪化を理由に、武器購入を進めているが、装備拡大路線のツケを後の政権も背負わされ、国民の税負担につながる。
(添付の画像は掲示期限切れによって消失しました・・・事務局)