9月1日、「憲法研究者共同ブログ」に中央大学有志による安保法案反対声明が投稿されました。
同声明は7月15日に出されたもので、その時点で賛同者(学生有志含む)は260名でした。当時、「声明」および「賛同者名簿」を主要な新聞社および各政党本部に配布したということです。
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私たち中央大学教員・学生有志は安全保障関連法案に反対します
安倍内閣は国会を9月まで延長し、「国際平和支援法」と10本の安全保障関連法案を、あらゆる手段を使って成立させようとしています。
この法案は、衆議院憲法審査会において、自民党推薦の学者も含め招聘された憲法学者全員が、「憲法9条違反である」と述べたとおり、日本国憲法に違反するものです。いくつかの新聞やテレビ局が憲法学者を対象に行ったアンケートにおいても、回答者の殆どが「違憲」と断じています。
また戦後歴代の政府が積み重ねてきた「集団的自衛権の行使は憲法違反」という解釈を180度転換するものです。このような重大な変更を1内閣の閣議決定で行うことは到底許されることではありません。
誰が考えても、現在の安全保障関連法案は違憲であって、改憲の手続きを踏まぬ限り成立しえないものです。にもかかわらず法案成立をはかるのは、まさに立憲主義の否定であり、民主主義の否定以外の何ものでもありません。
昨年7月の閣議決定による解釈改憲は戦後日本の歴史の決定的転換点になるものです。この法案が通れば日本はごく普通に「戦争をする国=武力行使をする国」となります。アメリカ軍の世界戦略に一層深く組み込まれ、アメリカ軍と共同行動をとる自衛隊が、他国の民衆を傷つける可能性が高まるのです。アメリカが「テロリスト」と名付ける国や集団と敵対し、武力攻撃を行うときには、日本もそれらの国ないし集団の敵となります。沖縄などの基地や大都市および原発が軍の攻撃やテロの標的になるかもしれません。
戦後日本は「平和国家」としてのあり方を大切にしてきました。すなわち過去の加害行為を反省し、平和憲法を基に「武力行使」とは一線を画してきたのです。国際的に高い評価を得てきたこの立場を放棄することがあってはなりません。それはまさに日本の外交力を弱めることになるのです。日本は軍事国家アメリカと軍事行動を共にすべきではありません。むしろ貧困や格差をなくす非軍事的外交を積極的に展開し、軍事力行使に傾きがちなアメリカをはじめとする他の諸国に、非軍事的外交の意義を示していくべきなのです。
まさに今日本は「戦争をしない国」から「戦争をする国」へと急旋回しようとしています。今こそ、日本がとる根本的方向をいずれとするのか、一人一人が心の中で自問し、安全保障法案反対の声をあげる時です。
2015年7月15日
中央大学教員・学生(OB・OGを含む)有志
(呼びかけ人・賛同人の名簿は省略します)