2015年9月7日月曜日

「日米共同部設置」=米軍・自衛隊一体化の危険性 (天木直人氏)

 天木直人氏のブログを紹介します。
 彼は、まず日本は憲法9条を掲げて米国から自立すべきだとしています。
 憲法9条が輝く時が必ず来る。それがイラク戦争に反対した自分が確信をもって断言できる結論だと述べています
 彼は小泉政権下で外務省内でイラク戦争に反対する意見を具申したことで、結局外交官生活に終止符を打たされました。
 
 そして米軍と自衛隊が文字通り一体化し自衛隊が米軍の指揮下に入るという現状を憂いて、やがて米国がすべての在日米軍基地を日本に返還しても、日本政府はそれを自衛隊基地にした上で共同使用と言う形で文字通り日本全土を米軍基地化していく惧れを述べています
 
 そしてそれを防止するために、いまこそ日米安保体制の是非をめぐり、国民的な議論を行う最後の機会であるとしています。
 そういえばかつては多くの人々が日米安保条約に反対して、『安保条約廃棄』が叫ばれたものでした。それがいまや『日米(軍事)同盟』という形にまで深化してしまったのに、『安保条約廃棄』の声はなぜか聞かれなくなりました。
 考えて見れは不思議なことです。 
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「日米共同部設置」と言う名の米軍・自衛隊一体化の危険性
天木直人 2015年9月6日
 私はある雑誌に頼まれて、安保法制案の諸問題について、きょう締め切りの原稿を書いている。
 その要旨は、一言で言えば、安保法案が今国会で成立しても、しなくても、日米軍事同盟が続く限り憲法9条は否定されることになる、国民がこの点に気づき、政治が本気で日米安保体制の是非を議論し、その結果、米国から自立することの必要性に気づかない限り、日本の前途は危うい、というものだ。
 書き進むにつれて、日本の政治状況とそれを許す国民の意識には絶望的にならざるを得ないが、私の結論は明るい。
 世界は必ず憲法9条の先見性に気づく。日本は今こそ憲法9条を世界に掲げる時だ。憲法9条が輝く時が必ず来る。
 これがイラク戦争に反対した私が確信をもって断言できる結論だ。
 
 しかし、結論は明るいが、日本の政治状況が絶望的であることに変わりはない。
 きょう9月6日の読売新聞が小さく報じていた。
 防衛省は、全国の陸上自衛隊を一元的に指揮する「陸上総隊司令部」を2017年末までに創設するのに合わせ、在日米陸軍の司令部のあるキャンプ座間(神奈川県)に「日米共同部」(仮称)を設ける方針を固めたと。
 
 驚くべきはその記事がさらにこう続けているところだ。
 すなわち、同様の組織は海自にも空自にもある。自衛艦隊は米軍第7艦隊、航空総隊は米空軍第5空軍と同じ基地に司令部を置いている。日米共同部の設置で、陸海空の緊密な日米連携が実現する見通しだ、と。
 これは米軍と自衛隊が文字通り一体化していくという事である。そしてそれはとりもなおさず自衛隊が米軍の指揮下に入るということだ。
 そのうち、米国がすべての在日米軍基地を日本に返還し、日本政府はそれを自衛隊基地にした上で共同使用と言う形で文字通り日本全土を米軍基地化していくだろう。
 
 いや、もはやその兆候は表れている。
 日米共同訓練や統幕長の安保法案成立発言が国会で暴露されたが、それは氷山の一角なのだ。
 そして日米安保体制の重要性を認める限り、それに反対する事は誰も出来ない。
 いまこそ日米安保体制の是非をめぐり、国民的な議論を行う時である。
 その最後の機会が今である(了)


(参考記事)日米部隊 海岸に上陸する訓練開始
NHK NEWS WEB 2015年9月6日
自衛隊とアメリカ軍のおよそ4000人が参加してアメリカ西海岸のカリフォルニア州で行われている大規模な上陸訓練は6日目となり、日米の部隊が海岸に上陸する訓練が行われました。
 
先月31日に始まった訓練には、自衛隊のおよそ1100人と、アメリカ軍のおよそ3000人が参加していて、5日、日米の部隊が海岸に上陸する訓練が行われました。
海岸には夜明けとともに、沖合に停泊する日米の艦艇を発進した「LCAC」と呼ばれるエアクッション揚陸艇が次々と到着し、そのまま砂浜に乗り上げました。
このうち海上自衛隊のLCACからは、陸上自衛隊員や、作戦に必要な装備を積み込んだ自衛隊のトラックなどが上陸を開始し、一緒に乗っていたアメリカ海兵隊員も、自衛隊員とともに上陸しました。
また、海岸には、自衛隊が導入を計画しているアメリカ海兵隊の水陸両用車、「AAV7」も、海からそのまま砂浜に上陸しました。
視察に訪れた自衛隊・統合幕僚副長の山崎幸二陸将は、「訓練を通じて上陸作戦の能力向上を図るとともに、日米同盟のさらなる強化に寄与できると確信している」と述べました。
また、アメリカ第3艦隊司令官のノーラ・タイソン中将は、「今後、日米が取り組むあらゆる作戦において、日本にはパートナーとしての役割を積極的に果たしてほしい」と述べました。