2015年9月25日金曜日

安保法制でテロの危険性が高まる 海外活動のNGO

 海外における日本のNGOメンバーは、これまでは中立国として認知されその信頼感のもとで安全に活動することが出来ました。しかし安保法制が始動しこれまで通りの日本ではないということになれば、彼らが真っ先に危険に晒されることになります。
 今度の安保法で、おためごかしに付与された(PKOに対する)「駆けつけ警護」などが、逆に彼らを危険に晒すことになるという指摘は当初からあったのですが、何の斟酌もないままに成立が強行されました。
 現地で後方支援などの具体的な行動が始まれば、彼らは現地から撤退せざるを得ないことになります。
 
 先日、政権側の委員をしているある大学教授が公然とTVで「日本の法律が変わったことなど現地の人は知らないから大丈夫だ」という発言をしていましたが、お粗末極まる考え方というしかありません。そんな人たちで進められた法案だったのでしょうか。 
 当の人たちにとって有害無益なこの法制の、廃止や運用停止が求められるのは当然のことです。
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「テロ標的の危険高まる」 海外活動のNGO声明
東京新聞 2015年9月24日
 安全保障関連法の成立を受け、海外の紛争地などで活動する全国の非政府組織(NGO)の代表らは、紛争に対する中立国としての「日本ブランド」が通用しなくなると懸念を深めている。「現地でスタッフがテロの標的となる危険性は格段に高まる」と訴える。
 
 国内七十四団体、NGO職員ら五百四十七人が賛同する「NGO非戦ネット」は、抗議声明で「NGOに対し『駆け付け警護』と称して武器を使用し武装勢力と交戦する事態となれば、NGOの中立性までが疑われ、取り返しのつかない犠牲を生む」と指摘。安保法の廃止や運用停止を求める。
 
 非戦ネットの呼び掛け人に名を連ねる「名古屋NGOセンター」(名古屋市)の西井和裕理事長(65)は「法制は日本人を危険から守ってきた憲法九条を破壊する。紛争地で活動する団体には特に深刻な影響がある」と話す。
 門田一美(もんでんひとみ)事務局次長は「親米国以外で日本人が敵視される可能性が高まる」と不安を語る。
 アフガニスタンやパキスタンで支援活動を続ける「ペシャワール会」現地代表の医師中村哲さん(69)は「失うものはあっても、得るものはない」と批判。「後方支援など具体的な行動が始まると危ない。私たちは現地から撤退せざるをえなくなる」と危ぐする。
 「治安を良くするのは武力ではない。安心して暮らせる環境づくりだ」と医療や食料支援、かんがい事業などの重要性を強調した。
 
 
(参考資料 : 9月10日に発表された共同声明は下記の通りです)
NGO共同声明 安全保障法制に反対する
 
 私たち下記に署名したNGOは、現在日本で進んでいる、安全保障法制制定の動きに対し、強い警戒心を表明し、これに反対します。
 
 1   日本は、アジア太平洋地域に対する植民地支配と侵略戦争により、多大な人命の犠牲と人権侵害を引き起こし、その傷は今も癒えることはありません。日本は70年前の敗戦にあたり、自らの起こした戦争による甚大な犠牲に対する深い反省のもと、軍国主義と決別することを決意し、日本国憲法9条に基づき、戦争放棄を世界に向けて誓約しました。この「不戦の誓い」のもと、この70年間、少なくとも日本が海外で戦闘行為に参加することはありませんでした。
 
 2 現在、日本で審議が続いている安全保障法制は、日本が米国その他密接な関係を有する国に対する武力攻撃があった場合に、他国間の戦争に自ら参戦し海外で武力行使をする、集団的自衛権の行使を容認しようとするものです。このほか、国際平和協力の名のもとに、他国の紛争において弾薬の輸送を含む、武力行使と一体となった兵站活動を広く認めようとしています。法案ではこうした日本が参加する武力紛争、軍兵站活動には、何ら地理的限定がなく、広くアジア、中東、アフリカまでが射程に入ります。
 
 3 日本では、憲法学者の多くがこうした法制は憲法9条に反すると意見表明し、国民の多数がこの法制に反対しています。にもかかわらず、衆議院では十分な審議もなされないまま、今年7月に法案が採択され、法案は、参議院での審議に入っています。
 
 4 アジア太平洋地域において、日本の戦争行為によって、再び人々が殺し殺される関係に立つこと、アジア太平洋地域が再び悲惨な戦争の惨禍にみまわれることに、私たちは強く反対します。また、日本の戦争行為が中東、アフリカなど戦禍に苦しむ地域に及び、日本が殺戮の加担者になることにも私たちは強く反対します。
 
 5 私たちは、紛争やいわゆるテロの温床となっている貧困、格差、差別、人権抑圧といった構造的な暴力を解決せずしては世界から紛争はなくならないと考えています。この根本的な問題に目を向けず、軍事力に頼って世界の公正な秩序を作ることはできません。今軍事化・暴力化する世界の中でこそ「国際紛争を武力によって解決しない」という日本の平和主義は不完全とはいえ国際平和に向けた一つのオールタナティブなのです。この平和主義を国際社会全体で補いあい、広げていく努力をしていかなければなりません。
 
 私たちはここに改めて今日本の国会で審議されている安保法制は国際市民社会の希望に逆行するものとして反対の意思を表明します。
賛同団体名一覧省略