2015年9月7日月曜日

経済的徴兵制や海外派兵が現実化・・・ (「週刊女性」)

 アメリカでは若者が職を得られずに高額な奨学金ローンの返済ができなくなった場合、自己破産してもローンの返済は免除されないのですが、軍隊に入って危険地域に行けば返済が減免されるということです。
 つまり貧困に追い込まれた若者は軍に入るしかないということで、このシステムが「経済的徴兵制」と呼ばれるものです。
 そのこと自体が実に悲惨な話ですが、さらに、若者はそこで命を落としたり、非人間的な苦役を強いられる結果精神に取り返しのつかない傷(PTSD)を負うので、退役してからも苦しむことになります。その比率は現役と退役軍人の8%に及ぶと言われています。(もっと高率だとするレポートもあります)
 
 その悲劇が日本でも起きようとしています。
 参議院特別委で28日、山本太郎議員(生活)、辰巳孝太郎議員(共産)が取り上げた『長期 自衛隊インターンシップ・プログラム』がそれです。安保法案に反対のキャンペーンを続けている女性週刊誌「週刊女性」が取り上げました。
 同誌は海外派兵が現実のことになろうとしている恐怖を前にした自衛隊員の肉声も伝えています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
現役幹部自衛官が激白、貧困家庭を襲う「経済的徴兵」の闇
週刊女性PRIME 2015年9月4日
週刊女性9月12日号  
 防衛省と財界が手を組み、若者を戦場に送り込む―。そんなおぞましい計画が国会で明らかになった。
 
 8月26日の参議院安全保障関連法制特別委員会で、山本太郎(生活)、辰巳孝太郎(共産)両参議院議員が暴露した『長期 自衛隊インターンシップ・プログラム(企業と提携した人材確保育成プログラム)』だ。政府の答弁によれば、’13年フ月、民間企業の新入社員を自衛隊に2年間入れるという計画案を経済同友会に赴いて説明。立案のきっかけは、経済同友会の前原金一専務理事(当時)の提案だったという。
 
 この資料には明記されていないが、自衛隊入隊と引き換えに、奨学金(学生ローン)
の返済を免除するというアメが用意されている可能性が高い。というのも翌’14年5月、過酷な取り立てに批判の声が相次ぐ奨学金に関する有識者会議で、運営評議会委員である前原氏が「(延滞者に防衛省で)1年とか2年のインターンシップをやってもらえば」と発言しているからだ。
 一方、延滞金の大幅減免を求める意見については、同年1月の会議で・「それは難しい」と一蹴した。借金を膨らませて若者を貧困に追いやり、戦場に追い立てようとする腹がすけて見える。
 
 学生ローンの高額な返済が社会問題となっているアメリカでは、公的学生ローンは破産しても免責にならない。ただし、軍に入って危険地域へ行けば減免される。この仕組みにより大勢の若者が戦場に送られ、命を落としたり、取り返しのつかない傷を負った。日本もアメリカに倣うのか。
 もともと経済的困窮を理由に自衛隊を目指す例は少なくない。九州地方のAさん(20)も、その1人だ。地元は仕事の少ない旧炭鉱地域。サラリーマンの父は手取りで月給20万円ほど。一家6人の生活を母親がパートで支えるが、病気がちで毎日は働けない。
 
 「親は学資を貯めてくれていたんですが、妹の学費に使ってほしかった。それで給料をもらいながら勉強ができる防衛大学にしました
 
 学費がタダのうえに月10万円あまりの給料が出るのは魅力だった。加えて、自衛官になって救助活動がしたいという気持ちもあった。土砂災害に遭って自衛隊に助けられた中2のときの原体験が忘れられなかった、と話す。
 
 「戦争に行くかもしれないなんて思ってもいませんでした。やりたかったのは救助活動です。勧誘に来た担当の自衛官も、″憲法9条があるから戦争に行くことはないよ″と何度も言っていました
 
 入校すると、金持ちの子息はほとんどいなかった。Aさんよりはるかに貧しく、親に仕
送りをしている学生もいた。
 
 「戦争になるなんて考えの学生は、まずいなかったです。純粋に大学に行きたくて来たという人ばかり」
 
 しかしAさんは、先輩たちから陰惨ないじめを受け、精神的苦痛から退校を余儀なくされる。
 
 集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、安保法案が審議入りしたのは、その後のことだった。中谷元防衛相の発言にAさんは驚きを隠さない。
 
 「リスクが増大しない、後方支援が危なくないと言うなんて・・・。(防衛大では)後方支援がもっとも危険だと習いました。自衛官になった同期生たちは悩んでいると思う。戦争はないと言われて入ったのに、まるで詐欺です」