毎日新聞 2015年09月09日
安全保障関連法案の国会審議が大詰めを迎える中、京都市のコミュニティーFM局「京都三条ラジオカフェ」が放送する「けんぽうサロン京都」が憲法9条についてのメッセージを発信し続けている。月2回、9条にかけて9分間の番組。2年前の放送開始以降、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定、安保法案の違憲指摘など憲法9条の精神を揺るがす事態が続き、これまでに学者や弁護士、学生ら49人が出演して平和憲法の大切さを訴えてきた。
「こんにちは。ほんのひととき、憲法について語り合います」
司会の大塚政代さん(62)の柔らかい語り口で番組は始まる。
8日昼、同局スタジオで10日放送分の収録があった。「安保関連法案に反対するママの会」発起人で、京都大大学院で学ぶ西郷南海子さん(28)=京都市左京区=がゲストで迎えられた。
西郷さんは会の活動について「学者や学生が安保法案反対に頑張っている中、自分はママとして、今までの平和運動とは違う切り口から語っていけるのではと思い、会を立ちあげた」と紹介。「私たちは『誰の子どもも殺させない』のたった一つの合言葉で、全国のお母さんと結びついている」と話し、安保法案について「強行採決されてもボロが出るのは政府の方。私たちは『正々堂々と議論してほしい』と訴えていく」と語った。
番組を提供するのは、作家の瀬戸内寂聴さんや哲学者の梅原猛さんらでつくる「憲法9条京都の会」。会の設立5周年を記念して2013年8月に始めた。同会事務局の長谷川長昭さん(71)らが構成を考え、毎月第2、4木曜日の午前7時と午後3時に放送している。
コミュニティーFMのため電波は京都市周辺に限られるが、インターネット放送や音声データファイル配信「ポッドキャスト」でも聞ける。昨年7月に集団的自衛権行使容認の閣議決定がされた後、メールやファクスでの反響がじわじわと増え、それまで6分間だった放送枠を9分に拡充することになった。
長谷川さんは「京都は昔から分厚いメッセージの発信が盛んな土地。これからも立場を超え、いろんな人が出演して平和憲法への思いを語ってほしい」と話し、出演者を募集している。問い合わせは憲法9条京都の会(050・7500・8550)。【木下訓明】