「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と「安全保障関連法に反対する学者の会」が、政府が抜き打ち強行採決をするなどして、戦争法案である安全保障関連法案を参議院本会議で強引に可決成立させたことに対して、それぞれ断固として抗議する声明を出しました。
学者の会は20日、都内で171人が参加して緊急記者会見を行いました。
また21日には渋谷駅前で、憲法学者や弁護士、高校生、母親ら13人が安保法制反対のリレートークを行いましたので、その記事も併せて紹介します。
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「学者の会」171人会見 違憲立法「廃止へ追い込む」
しんぶん赤旗 2015年9月21日
幅広い分野の学者・研究者でつくる「安全保障関連法案に反対する学者の会」は20日、東京都内で171人が参加して緊急記者会見を行いました。
冒頭、発起人・事務局代表の佐藤学学習院大学教授が、会の名称を「安全保障関連法に反対する学者の会」に改称し、「新たなたたかいに踏み出す」と宣言。同会の抗議声明を読み上げました。同会への学者・研究者の賛同が1万4120人、有志の会が140大学を超えた成果を受け「違憲立法の適用を許さず廃止へと追い込む運動へと歩みを進める」ことが拍手で確認されました。
発起人の広渡清吾氏(日本学術会議前会長)は「今、挫折感を持っている人はいない。反対運動を豊かに発展させて国民多数の意思を国会の多数にし、そこに立つ政権を誕生させ、安保法を廃止し閣議決定を撤回させる。歴史上初めての市民革命的『大改革』を市民とともに成しとげよう」と訴え大きな拍手に包まれました。
多くの発言者が、裁判や選挙、安保法制廃止の議員立法などで「攻めていこう」と訴えました。山口二郎法政大学教授は「共産党の志位さんの大胆な提言も出た。この会の人がいろんな立場で政党にものを言うことが必要だ」と述べるなど、活発な発言が続きました。
安保関連法:渋谷駅前で学者が高校生が「反対トーク」
毎日新聞 2015年09月21日
安全保障関連法に反対の声を上げるリレートーク「安保法にNO!9/21PEACE DAY ACTION」が21日、若者でにぎわうJR渋谷駅前であり、憲法学者や弁護士、高校生、母親ら13人が思いをぶつけた。
国連が定める「国際平和デー」の21日に合わせ、複数の市民団体が企画した。
日本体育大で憲法を教える清水雅彦教授(49)は「今回の戦争法は憲法9条と立憲主義に反している。数の力で国会を通ったが、どこまでいっても違憲立法だ」と話した。安保関連法に反対する海外在住の日本人らでつくる「OVERSEAs(オーバーシーズ)」の中溝ゆきさん(47)は戦後70年戦争をしなかった日本が外国で尊敬を集めていることを紹介。同法成立により在外邦人の危険が増すことに懸念を示した。
高校生らでつくる「ティーンズソウル」の小川空さん(15)は「渋谷を歩く中高生の皆さん。おれらの未来ですよ。一緒に未来を守りましょう。僕は戦後100年を迎えた時、自分の子どもに『日本は100年間戦争しなかったんだよ』と自慢したい」と呼び掛けた。【山下俊輔】
(総がかり行動実行委員会声明)
声 明
9月19日、政府・与党は強行採決に次ぐ強行採決を重ね、日本を海外で戦争する国にする憲法違反の戦争法を成立させた。私たちは満身の怒りを込めて抗議する。一内閣の恣意的な憲法解釈の180度の転換よる戦争法は、それ自体、違憲・無効であり、立憲主義の大原則を否定するもので、断じて認めることはできない。私たちは、戦争法のすみやかな廃止を実現するため全力を尽くし、戦争法の発動を許さない世論と運動を発展させる。
「安倍の暴走」は同時に、沖縄での辺野古新基地建設や原発再稼働、教育の国家統制と歴史認識の歪曲、秘密保護法体制と個人情報の国家管理、消費税の引き上げとTPP、女性の人権軽視と労働者の使い捨てなど、あらゆる分野で進められている。私たちの運動は、まさにこれらと闘う人びととの共同・協力による「総がかり行動」でもある。
この一年余、「戦争法案絶対反対」「9条壊すな」の声は全国津々浦々にひろがり、老若男女がこぞって行動し手を結ぶ歴史的なうねりとなってきた。最高裁長官や内閣法制局長官の職にあった人びとをはじめ、学者、法律家、宗教者、芸能人などを含むあらゆる分野で「戦争法案廃案」の声が湧きあがり、大学生や高校生、若い母親たちの主体的な行動とも響きあい、違いを超えた広範な共同行動が生み出された。私たち「総がかり行動実行委員会」は、このような運動の発展に一定の役割を果たすことができたことを誇りに思う。
この間、全国数千か所での人びとの行動を背景にして国会正門前を連日埋めつくし、国会を何度も包囲した人びとの波は、暴走する政府・与党に立ちふさがる巨大な壁となり、政府・与党を大きく揺さぶり、窮地に追い込んだ。この広範な人びとの声と行動こそが、民主・共産・社民・生活の連携を支え、野党の闘いを強めるという画期的な状況をつくりだした。ここに示された無数の人びとの意思と行動は、決してこれで終わることはない。このエネルギーは、必ず戦争法の発動にストップをかけ、戦争法を廃止する力となろう。私たちは、この人びとの力を信じ、希望として、前進する。
全世界の人びとの生命のために、平和のために、憲法を生かすために。
2015年9月19日
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
(安全保障関連法に反対する学者の会)
抗議声明
二〇一五年九月一九日未明、与党自由民主党と公明党およびそれに迎合する野党三党は、前々日の参議院特別委員会の抜き打ち強行採決を受け、戦争法案以外の何ものでもない安全保障関連法案を参議院本会議で可決し成立させた。私たちは満身の怒りと憤りを込めて、この採決に断固として抗議する。
国民の六割以上が反対し、大多数が今国会で成立させるべきではないと表明しているなかでの強行採決は、「国権の最高機関」であるはずの国会を、「最高責任者」を自称する首相の単なる追認機関におとしめる、議会制民主主義の蹂躙である。
また圧倒的多数の憲法学者と学識経験者はもとより、歴代の内閣法制局長官が、衆参両委員会で安保法案は「違憲」だと表明し、参院での審議過程においては最高裁判所元長官が、明確に憲法違反の法案であると公表したなかでの強行採決は、立憲主義に対する冒涜にほかならない。
歴代の政権が憲法違反と言明してきた集団的自衛権の行使を、解釈改憲にもとづいて法案化したこと自体が立憲主義と民主主義を侵犯するものであり、戦争を可能にする違憲法案の強行採決は、憲法九条のもとで六八年間持続してきた平和主義を捨て去る暴挙である。
こうした第三次安倍政権による、立憲主義と民主主義と平和主義を破壊する暴走に対し、多くの国民が自らの意思で立ち上がり抗議の声をあげ続けてきた。戦争法案の閣議決定直前の五月一二日、二八〇〇人だった東京の反対集会の参加者は、衆院強行採決前後の七月一四日から一七日にかけて、四日連続で、国会周辺を二万人以上で包囲するにいたった。そして八月三〇日の行動においては十二万人の人々が、国会周辺を埋めつくした。
これらの運動は「戦争をさせない・九条壊すな!総がかり行動実行委員会」が、政治党派はもとより、思想や信条もこえた共同を実現するためにあらゆる努力をしてきたことによって形成された。「安全保障関連法案に反対する学者の会」と学生たちの「SEALDs」、そして日本弁護士連合会との共同行動も、こうした新しい運動の繋がりのなかで実現した。
「安全保障関連法案に反対する学者の会」は学問と良識の名において組織され、発起人と呼びかけ人が発表した声明に、賛同署名を呼びかける活動によっ
て一気に全国に拡がった。六月一五日と七月二〇日の記者会見後、各大学において有志の会が組織され、学生、教職員はもとより、卒業生や退職者も含めた、それぞれに独自で多様な声明が発せられて、集会が開かれ、パレードが行われた。「学者の会」に寄せられた署名者の数は現在、学者・研究者一万四一二〇人、市民三万九五七人に達し、声明等の行動に立ち上がった大学は一四〇大学以上に及んでいる。私たち「学者の会」は、知性と理性に反する現政権の政策を認めることはできないし、学問の軍事利用も容認することはできない。
戦後七〇年の節目の年に、日本を戦争国家に転換させようとする現政権に対し、一人ひとりの個人が、日本国憲法が「保障する自由及び権利」を「保持」するための「不断の努力」(憲法第十二条)を決意した主権者として立ち上がり、行動に移したのである。私たち「学者の会」も、この一翼を担っている。
この闘いをとおして、日本社会のあらゆる世代と階層の間で、新しい対等な連帯にもとづく立憲主義と民主主義と平和主義を希求する運動が生まれ続けている。この運動の思想は、路上から国会にもたらされ、地殻変動のごとく市民社会を揺るがし、生活の日常に根を下ろしつつある。ここに私たちの闘いの成果と希望がある。
私たちはここに、安倍政権の独裁的な暴挙に憤りをもって抗議し、あらためて日本国憲法を高く掲げて、この違憲立法の適用を許さず廃止へと追い込む運動へと歩みを進めることを、主権者としての自覚と決意をこめて表明する。
二〇一五年九月二〇日
安全保障関連法に反対する学者の会