2015年9月27日日曜日

米のファシズムを共有する日本の危うい未来

 櫻井ジャーナルは 安倍政権秘密保護法や安全保障関連法を強引に成立させたのは、アメリカの好戦派が描く戦略に追随したもので、いま進められているTPPはアメリカの巨大資本が参加国から主権を奪うものであると述べました。
 
 アメリカは、ソ連が消滅して「唯一の超大国」になった1992年初めに作成されたDPGの草案いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンに基いて、世界制覇のための戦争を引き起こして来ましたが、日本もそのアメリカの戦争に参加する準備ができたとしています。
 
 櫻井ジャーナルは海外事情やその歴史についての豊富な知識をベースにして、日本が一貫してアメリカの構想に追随している姿を、いつもグローバルな視点で浮き上がらせてくれます。国内のジャーナリズムがひた隠しにしているものを白日のもとに晒してくれます。
 
 安保関連法の内容が2012年に発表されたアーミテージ・ナイ報告書の要求に酷似していることは、山本太郎議員が国会で明らかにしました。
 勿論、アメリカは2012以前から軍事戦略に絡んで日本へ「要求」を突きつけていました。
 アーミテージとナイが2000年に発表した報告書「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて」では、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している」と主張しています。「この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる」と
 そして2004年には、アーミテージは自民党の中川秀直らに「憲法条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明2005年には「日米同盟」に「進化」させています。
 
 アメリカに押されながらも歴代の日本政権が何とか踏みとどまってきたものを、良識も自制心もない安倍政権が、いまがそのチャンスだとばかりに一挙に踏み切ったのでした。
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米国好戦派と同じ価値観、ファシズムを共有して世界制覇に乗り出そうとしている日本の危うい未来
櫻井ジャーナル 2015年9月25日
 アメリカの好戦派が描く戦略に基づいて安倍晋三政権は政策を打ち出し、秘密保護法や安全保障関連法を強引に成立させた。TPPは参加国からアメリカの巨大資本が主権を奪うことになる。巨大な私的権力が国を上回る力を得ることになるわけだ。
 
 本ブログでは何度も紹介したが、フランクリン・ルーズベルト米大統領は1938年4月29日、ファシズムを次のように定義している:
「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」
 
 アメリカの支配層は世界をファシズム化しようとしている。日本の支配層がアメリカの支配層と共通の価値観を持っているとするならば、日本側もファシズムを目指しているということになる。その価値観を宣伝してきたのがマスコミだ。
 今回、安倍政権が強行成立させた安保関連法は集団的自衛権、つまりアメリカの戦争に日本も参加するための法律だ。アメリカが侵略戦争を始め、反撃された段階で集団的自衛権は行使できることになる。
 安保関連法の内容が2012年に発表された報告書の要求に酷似しているとされている。アメリカのシンクタンクCSISから発表された「日米同盟:アジア安定の定着」で、執筆者はリチャード・アーミテージとジョセイフ・ナイ。CSISは1962年にジョージタウン大学の付属機関として創設されたのだが、CIAとの緊密な関係が問題になり、1987年に大学から分離された。今はネオコン/シオニストとも関係が深い。
  (中略
 勿論、アメリカは2012年より前から軍事戦略に絡んで日本へ「要求」を突きつけている。アーミテージとナイが日本に対して武力行使を伴った軍事的支援を求め、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している」と主張、「この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる」と書いたのは2000年に発表された報告書「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて」だ。
 その2年後に小泉純一郎政権は「武力攻撃事態法案」を国会に提出、03年にはイラク特別措置法案が国会に提出され、04年にアーミテージは自民党の中川秀直らに対して「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明、05年には「日米同盟:未来のための変革と再編」が署名されて対象は世界へ拡大、安保条約で言及されていた「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念」は放棄された。そして2012年の報告書につながる。
 
 しかし、日本への要求は2000年より前から始まっている。最初は1995年の「東アジア戦略報告」。国防大学のスタッフだったマイケル・グリーンとパトリック・クローニンらの要請でナイが書いたものだ。1997年には「日米防衛協力のための指針」が作成され、「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになる。1999年には「周辺事態法」が成立した。
 
 こうした要求のベースになっているのが「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」。1991年12月のソ連が消滅、アメリカは「唯一の超大国」になり、自分たちに逆らえる存在はなくなったと考えたネオコンは世界制覇プロジェクトを始める。それを文書化したものが1992年初めに作成されたDPGの草案、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンだ。ネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)が中心になって作成されたことから、こう呼ばれている。
 
 ウォルフォウィッツは1991年にイラク、イラン、シリアを殲滅すると口にしている
  (中略
 こうした国々を破壊するために使われているのがアル・カイダ系武装集団やIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISISやダーイシュとも表記)。こうした武装集団の背後にアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、カタールなどが存在していることは本ブログで何度も書いてきたこと。
  (中略
 2011年3月に始まったシリアの体制転覆プロジェクトで政府軍と戦っている戦闘員の多くは外国人だと見られている。2012年8月にDIA(アメリカ軍の情報機関)が作成した文書によると、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。
  (中略
 最近、デービッド・ペトレアス陸軍大将は「穏健派アル・カイダ」をISと戦わせるために使うべきだと主張しているが、勿論、そのようなものは存在しない。アメリカが武器を提供、軍事訓練した戦闘員は武器を携えて「過激派」へ「投降」することになっている。最近もそうしたことがあった。
 
 中東や北アフリカ全域にこうした状況は広がっているが、ウクライナではネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)が使われ、イスラム武装勢力も入り込みつつある。中国ではウイグル系の戦闘集団が似たことを始める可能性がある。こうした状況を作り出したのが1992年に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンであり、安保関連法もそのドクトリンによって生み出された。日本もアメリカの世界制覇戦争に参加するということだ。