武蔵野美大有志の安保法案反対声明を紹介します。
同大有志は16日と19日にも緊急声明を出しています。
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安全保障関連法案に反対する武蔵野美術大学有志
声 明
私たちは、人間にとっての真の自由と生存とは何かを、さまざまな立場から芸術・表現・文化に関わる者として、常に考えています。
人間一人一人が真に生きるに値する生を生きるには、地上にあるさまざまな惨禍が繰り返されることのないよう努力を重ねていかなくてはなりません。それらが達成されたところに《平和》が実現し、《真の人間的自由》への探求も可能になると考えます。
日本は、武力による威嚇やその行使よって他者を制圧する行動には手を染めない、という思想を国家存立の基盤として守ることを誓い、70年前に、この国を新しい国として再出発させました。
世界に向けて打ち立てられたこの理想は、実際にはまだ課題の山積する、不完全な達成でしかありません。
その達成を不完全なまま放棄するのか、不断の努力を続けて達成に近づこうとするのか。
日本国と、その日本国に暮らす私たちは、今、その岐路に立っています。
私たちは、この岐路に立って、以下のように考えます。
私たちは、「専制と隷従、圧迫と偏狭」を克服しようと努力している国際社会の中で、真に名誉ある一員であるためには何が必要であるのかを、問い続けることが必要と考えます。
そして、私たちは、各人の良心に照らして耐え難いと思われる出来事が地上のどこかにあれば、私たち自身の無知と無関心がそれらを引き起こすことのないよう強く願い、表現者として何ができるのかを考え続け、自らの行動へ反映させていきます。
私たちは、そのために、警鐘の声を上げるべき時もあると考えています。
この課題に照らして、この国の将来を手渡すべき人々のことを思うとき、私たちは少なくとも、2015年5月15日国会提出の一連の安全保障法制案には支持できない内容が含まれていると考えます。
とりわけ第二次世界大戦中には、日本およびその他の国々で、多くの表現者がその表現を禁圧され、またはその表現力が良心に反する形で利用されました。
また多くの学術研究者が、その研究・教授の活動を禁圧され、またはその良心に反する協力を強いられました。
多くの表現者、研究者、職員が集まる武蔵野美術大学には、このような痛恨の歴史を二度と繰り返してはならないとの思いを持つ有志の人々が存在します。
私たち有志は、尊厳をもって生きる一人一人の人間が国家によって消尽させられることのないように願い、私たちにとっての真の平和的生存、生命・自由・幸福追求、そして平等のあり方を、問いかけ続けたいと思います。
武蔵野美術大学有志の会は、自由と良心のために、各人の自由と良心にもとづいて、これを表明します。
有志一同
本会は、各人の自由意志参加にもとづいた有志の会です。
武蔵野美術大学に所属する教職員や学生、卒業生有志の
要望によって「会」の結成に至ったものです。
9.16 緊急声明
法案の強行採決に反対します。
民主主義とは単なる多数決のことではなく、議論を尽くし、構成員が納得できる決定をするためのプロセスです。その仕組みを支えるために立憲主義という添え木もあるのです。世論調査によれば、国民の間では「説明と議論は尽くされていない」との見方が圧倒的多数です。国民の高まる疑問をおきざりにした採決は思いとどまるよう求めます。
有志一同
9.19 緊急声明
9月17日と19日の強行採決に反対します。
民主主義とは単なる多数決のことではなく、議論を尽くし、構成員が納得できる決定をするためのプロセスです。
世論調査によれば、国民の間では「説明と議論は尽くされていない」との見方が圧倒的多数です。国民の高まる疑問をおきざりにした採決は行うべきではありませんでした。
さらに、9月17日参院特別委員会の議事録には、採決内容が記録されておらず、有効な議決が行われたとは言い難い手続違反が見られます。これは、後々、国民が情報公開請求をして議事録を閲覧しようとしても、必要な記録が欠落しているということになり、国民の「知る権利」の保障が抜け落ちていることになります。
法実務の専門家である弁護士有志からも、議決の不存在確認および審議の再開を求める声明が出されました※。
私たちは、今回の法案可決に、議会制民主主義および立憲主義の根幹を損なうものであるとの理由から、反対します。
有志一同