16日、共産党は首班指名選挙で新・国民民主党、社民党と共に立憲民主党の枝野幸男代表に投票しました。共産党が1回目の投票で他党の党首名を書くのは22年ぶりのことで、志位委員長は「野党連合政権を共につくっていく意思表示だ」と述べました。枝野氏からの要請に応じたものである以上、枝野氏には野党共闘に「真剣に」取り組んで欲しいものです。
一方、連合は17日、中央執行委員会を開き、次の衆院選に向けて連合総体として立憲を支援するという基本方針を決めましたが、「立憲を軸とする候補者調整の促進を求める」ものの「共産党を含む野党共闘にはくみしない」とも記載しました。これには神津会長の強烈な反共主義が関係していると思われますが、それは元々総評と統合する以前の「同盟」時代の感情であり、さらにはその大元になっている民社党設立時(1960年)の主旨でもありました。
植草一秀氏が、「立憲民主党を軸とする新党合流により初めて反自公陣営が一つにまとまれる環境が生まれつつあるので、このチャンスを生かさない手はない。新・立憲も冴えないが、現実のなかからしか活路を見出すことはできない。チャンスを最大限に生かす工夫と行動が何よりも重要だ」とする記事を出しました。
関連記事 (9月5日)合流新党 産別御用組合除去は画期的(植草一秀氏)
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欠点をあげつらうより美点を凝視
植草一秀の「知られざる真実」 2020年9月18日
自民の支持者は17%しかいない。自公を合わせてようやく25%に届く。主権者全体の25%の支持で日本政治が支配されてしまっている。選挙に足を運ぶ国民が半分しかいない。選挙に足を運ぶ国民の半分は反自公だ。本来は自公と反自公が国会議席を半分ずつ占有するのが適正だ。しかし、小選挙区制度が採用されており、反自公の陣営が複数候補を擁立すると自公の候補者が勝利して議席を占有してしまう。この図式で自公が国会議席多数を占有し続けている。
自公が選挙で勝つために用いている三つの方法がある。動員・妨害・分断だ。
第一は動員。主権者の25%を占める自公の支持者を確実に選挙に動員する。車での送迎まで行う。
第二は妨害。反自公の国民が選挙に行くのを妨害する。選挙に行く意欲を削ぐのだ。メディアを総動員する。芸能やスポーツ情報に人々の関心を呼び寄せて政治への関心を引き下げる。
選挙になると「与党圧勝の見通し」の情報を流布する。勝ち馬に乗って自公に投票する行動と諦めて反自公に投票するのをやめてしまう行動を誘発するためのもの。
第三は分断。これが決定的に重要だ。反自公陣営が二つに割れれば自公が勝つ。反自公を二つに割ることに全精力が注がれる。反自公を二つに割るための方策は「共産党と共闘する勢力」と「共産党とは共闘しない勢力」とに分断すること。この「動員・妨害・分断」が確実に実行されてきた。
焦点は「分断」だ。分断の中核的役割を担うのが「連合」である。「連合」は「総評」と「同盟」などが統合されて創設されたものだが「水と油の混合体」だ。結局、「同盟」側の組合が主導権を握った。この「同盟」系の組合こそ、「分断」の主力部隊だ。
1960年、CIAは「民社党」を創設した。日本の社会主義化を阻止するために、反自民勢力の陣営のなかに自民党と通じる政党を創設した。反自民が一つにまとまることを防ぐためだ。「分断」工作の元祖である。民社党の支持母体が「同盟」。今回の立民・国民合流新党支援に6産別が加わらなかった。6産別とは、電力総連、電機連合、UAゼンセン、自動車総連、JAM、基幹労連のこと。このうち、電力と電機の2産別は玉木氏の国民支援に回った。
玉木氏の国民は「立憲主義の深化」、「原発ゼロ」を受け入れることができなかった。電力と電機は原発推進であり、立憲には合流せず、新・国民支持に回った。UAゼンセン、自動車総連、JAM、基幹労連は「御用組合」で合流新党支持に回らなかった。
この結果、初めて反自公陣営が一つにまとまれる環境が生まれつつある。CIAの誤算が生じている。このチャンスを生かさない手はない。新・立憲も冴えないが、現実のなかからしか活路を見出すことはできない。チャンスを最大限に生かす工夫と行動が何よりも重要だ。
(以下は有料ブログのため非公開)
首相指名選挙で野党各党 そろって枝野氏に投票 共産党22年ぶり他党党首に投票
しんぶん赤旗 2020年9月17日
安倍内閣の総辞職を受けた首相指名選挙が16日、衆参両院の本会議で行われ、自民党の菅義偉(すが・よしひで)総裁が首相に指名されました。新・立憲民主党、日本共産党、新・国民民主党、社民党の野党各党は、そろって立民の枝野幸男代表に投票しました。日本共産党が衆参両院の首相指名選挙で1回目から他党の党首に投票するのは1998年以来、22年ぶりです。
衆院本会議での首相指名選挙は投票総数462票で、菅総裁314票、立民の枝野代表134票でした。参院は、投票総数240票で、菅氏142票、立民の枝野氏78票。参院会派の「沖縄の風」「碧水会」「れいわ新選組」も枝野氏に投票しました。また、同日の衆参両院本会議は臨時国会の会期を18日までの3日間と決めました。日本共産党と立憲民主党など野党は、十分な審議が必要だとして反対しました。
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神津連合が「共産党排除」宣言! 解散・総選挙に備え「6産別」再合流の布石
https://facta.co.jp/article/202010040.html
FACTA ONLINE 号外速報 2020年9月18日
2020年10月号 EXPRESS
攻めの手を緩めない連合の神津里季生会長
「連合は共産党を含む野党共闘には与(くみ)しない」――。
連合は9月17日の中央執行委員会で正式決定した「次期衆院選に向けた基本方針」に、こう明記し、旧立憲民主と旧国民民主の合流新党「立憲民主党」に対して、共産党との関係見直しを迫った。
紆余曲折を経た合流協議の過程で、連合の神津里季生会長が最も重視したのは「合流新党と共産党の距離感」(連合幹部)だった。神津連合は自公政権に対峙する「大きな塊」をつくるため、攻めの布石を打ち続ける構えだ。
「共産党の排除」こそが共有理念
首班指名の投票を共産党に頼んだ立憲民主党の枝野幸男代表
連合が基本方針を決定した前日の16日、共産党は首班指名選挙で立憲民主党の枝野幸男代表へ投票した。共産が他党の党首名を書くのは決選投票を除くと22年ぶり。志位和夫委員長は「野党連合政権を共につくっていく意思表示だ」と、野党共闘による連立政権樹立に意欲を隠さなかった。党幹部も「政権協定を含む『本気の共闘』で戦わなければ、組織力で自公には勝てない」と、野党共闘以外に選択肢はないと言わんばかりだ。
枝野氏が首班指名での共産の協力に「大変光栄だ」と応じると、翌17日付の党機関紙「赤旗」は、1面トップに「そろって枝野氏に投票」との見出しを掲げ、「野党共闘」を猛アピールした。そこへ、あえて楔を打ち込んだのが「不退転の覚悟で合流協議の背中を押してきた神津氏だ」と、連合OBは言う。
連合は1989年の設立以前から、共産党系労組と激しく対立してきた経緯があり、8月末に旧立憲民主・旧国民民主両党との間で合意した共有理念にも「左右の全体主義の排除」というキーワードが盛り込まれていた。ところが、排除の対象である「左右の全体主義」とは「何を指すのかわからない」との批判を受け、17日に決定した基本方針には「共産党を含む野党共闘には与(くみ)しない」と書き込むことになった。「共産党の排除」こそが共有理念と、明示したに等しい。