ブログ「マスコミに載らない海外記事」には日本に関する記事は殆ど載りません。
主宰者の好みもあるでしょうが、海外はほとんど日本に関心を持っていないというのが本当のところと思われます。
特に国際問題に関しては日本はアメリカの意向に沿った発言しかしないので、かつて国連の理事国に立候補したときには、アメリカの票が1つ増えるだけの話だと評しました。まことに言い得ています。
日本は海外からどう見られているかを示す記事が載りましたので紹介します。
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誰が安倍晋三を引き継ごうと日本の緩慢な衰退とアメリカ従属は続く可能性が高い
マスコミに載らない海外記事 2020年9月 2日
Andre Vltchek 2020年8月31日
安倍晋三の日本を、間もなく名古屋の工業中枢地域を首都と接続する東京大阪リニア・プロジェクトの輝くような新しいインフラで評価してはいけない。
日本で最も長期間勤めた首相が退任し、国民は衝撃を受けているように思われる。だが人々は、ただ慣習が破られた(たとえ気分がすぐれず、病気だとしても、日本の指導者は突然地位を捨てるはずがない)というだけの理由で、ぼう然としているので、大きな政治的、経済的、あるいは社会的大変動を恐れたり、予想したりしているからではない。日本は持続的に最近数十年間、漸進的に、非常に緩慢に凋落している国なのだ。
誰も革命や体制崩壊が起きるとは予想していない。日本は地球上最も安定した、最も予測可能な国だ。日本は、自前の外交政策を持たず、世界についての自身の意見も殆ど持たない、欧米の忠実な同盟国だ。数十年前には、日本は、資本主義や欧米の支配に対して反抗したが、小泉と安倍の政権が、静かに反乱の気骨を潰し、大多数の国民を、いささか硬直的ながら、快適な暮らしを保証する快適な羽根布団の中に包み込んだ。
安倍晋三は日本を理解する。それは自分の国で、彼は地元の生まれだ。彼は支配体制やアメリカへの対処のし方を理解している。彼はトランプよりも市場優先で、欧米がそうするより遥かに北朝鮮を嫌悪し、「丁寧」ながら断固、中国の反感を買っている。
中国は彼の大きな「心理的問題」だった。それは過去、ワシントンと日本の協力が、少なくとも生活の質に関して「利益をもたらしていた」からだ。日本は、かつて世界中で二番目に大きな経済で、生活水準は大半の西側諸国よりずっと高かったからだ。
ところが、中国経済は日本のそれを超えたのだ。そして間もなく、中華人民共和国への日本人旅行者が「恐ろしい物語」をもって帰国し始めた。中国の都市と田舎は栄えていた。中国の列車は新幹線より速く、中国の博物館やオペラ劇場が日本のものより遥かに豪華だったし、公共空間や社会プロジェクトは、益々資本主義日本のものを小さく見せていた。中国の貧困レベルは急速に下がり、他方日本ではそれらはゆっくり上昇している。
こんなはずではなかった、と日本人は叫んでいた! 反中国の感情が湧き上がり、安倍晋三はそれを止めるためには何もしなかった。その逆だ。
改革し、人々に投資する代わりに、地球上二つの最強の資本主義国、トランプのアメリカと安倍の日本は、想像を絶する武力と悪意で中国に敵対した。
だが、安倍の下で、日本は、もう一つの昔からの競争相手韓国にも後れをとり始めた。そして、その大敵、第二次世界大戦後に破壊するのを日本が手伝った国、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は不敗で、しっかり元気だ。
日本を再考する代わりに、安倍晋三は既に従順なメディアと日本の過去を検閲し始めた。
日本の国営放送局NHKで働いていた良い友人で、東京の高名な上智大学のアイルランド人教授デイビッド・マクニールがかつて私に説明してくれた。
「今日本のメディアでは、実に多くの自己検閲がある。政府は例えば「ガイドライン」、いわゆる「オレンジ本」を発行している。たとえば「広がりやすいもの」、歴史と関係がある何であれ、どのように扱うべきか」。著者や翻訳者に対する指示がある。例えば、決して南京虐殺のような単語は、外国人専門家の言葉を引用する時以外、使用してはならない。あるいは、靖国神社に関連して、決して‘物議をかもす’という単語を使ってはならない。我々は第二次世界大戦の「従軍慰安婦」については書くことができない。」
ロシアや中国やイランに関係する、どんな重要な世界的出来事についても、欧米刊行物やBBCやCNNのような放送局が指針を与えるまで、日本のマスメディアは、決して立場を示さないのはよく知られている事実だ。私は主要な日本の新聞社の一社で働いたことがあるが、「機密性の高い」国際話題を報じる時は、外務省に発表する許可を求めなければならなかった。
大阪を本拠とする土木技師たけもと・たいら氏が、この記事のために書いてくれた。
「率直に言って、安倍は、日本をアメリカに売るため、オバマ大統領やトランプ大統領と多大な努力をした。1960年の日米安全保障条約以来、無数のアメリカ基地の問題や、貿易、日本とアメリカの中国に対する敵意の増大や、朝鮮民主主義人民共和国など、解決すべき多くの懸案事項がある。国際的な舞台で、私は安倍が、日本を、欧米、特にアメリカに従属させたと思う。」
当面、東京のことを忘れよう。現代日本を理解するため、中部の都市や田舎を訪問しよう。そうすれば、安倍の下での腐食がどれほど深刻か理解できるだろう。三重県の鈴鹿や四日市のような都市の郊外で、田んぼや竹林は、自動車の朽ちた残骸でいっぱいだ。多くの家が荒廃している。バス路線は廃止されている。幹線道路は、アメリカ郊外のように、健康に良くないファーストフード店が林立している。子供用の多くの公共遊び場は整備不良か、なくなっている。
かつて輝かしかった文化的生活はCovid-19流行の前でさえ衰退していた。かつての日本の誇り、巨大なカルチャーセンターは丈が高い雑草が建物の間に伸び、大半空だ。
ホームレスの青いテントが東京や名古屋や大阪や他の大都市のほとんど全ての公園に張られている。
楽天主義に遭遇するのは困難だ。
名古屋に住むソーシャルワーカーの青木みきこさんは安倍晋三には複雑な思いがある。
「首相辞職のニュースは、予想していなかったので我々全員驚いた。我々は彼に慣れていたのだと思う。
2011年の大地震からの回復や、延期された東京オリンピック主催の準備まで、彼はいくつか重要な国内の仕事を取り仕切ったと思う。だが日本の社会状況は前と変わらない。実際、私は悪化していると思う。老人が増え、公共サービスや困窮している家族支援への国家投資が減少している。新首相で何かが変わると私は思わない。結局、彼は同じ党の人だ! 何も変わらない。」
一流のオーストラリア人歴史学者で長崎大学名誉教授のジェフリー・ガンは、この地域における日本のますます攻撃的な役割に関心を持っている。
「安倍政権が尖閣/釣魚[島]を国有化した時、全てが変化した。今、これらいわゆる係争中の島々に実際は論争がないと日本が宣言したために現状は変化した。そのために、東京の政府は中国を怒らせた。中国は現状のこの変化に憤慨している。」
今後どうなるかは、次が誰なのかより、ずっと重要なはずだ。
不幸にして、日本では、不可欠な政治的変化に対する期待や希望はない。政治党派が領域を分割し、驚くようなことは、まずありそうにない。日本共産党には多くの党員がいるが、選挙の話になると常に弱い。
日本は衰退し続けるだろう、極めてゆっくり、「優雅に」とさえ言えよう。生活水準はまだ極めて高い。老人人口は、多くの年金や恩恵を享受し続けるだろうが、若い世代は生活を切り詰めている。終身雇用時代は終わっている。保障がないパートタイム仕事が何百万人もの若い卒業生にとって唯一の未来だ。
中国、朝鮮と、ある程度ロシアとの対決は、このあと何年もの間、あるいは少なくともアメリカが、それらを燃え立たせている限りずっと続くだろう。
71歳で、しばしば安倍氏の「副官」と描写された菅義偉は、自由民主党総裁指名「競争に参加する」と期待されている。もし彼が「勝てば」、彼がCovid-19に関し、さほど用心深くないかもしれないこと以外、余り多くは変化するまい。いくつかのヨーロッパ諸国のそれと違わないシナリオで、日本の密封された国境は開く可能性があり、外国人観光客や出張者が歓迎される。それ以上は、ほとんど変化するまい。
会話中に、デイビッド・マクニールが、安倍時代に、お世辞抜きの評価をした。
「安倍は、おそらく彼が、そうなるつもりだった保守的急進論者というより、政治的管理人と見なされるだろう。嫌われていた憲法改訂を、彼がし損ねた事実は、彼がおそらくこれまでの七年半を失敗と見るだろうことを意味する。」
そして菅は? デイビッドは、ためらわずに答えた:
「これに関しては、ニューヨーク・タイムズの中野晃一記事に同意する。「菅はサッチャー後のジョン・メージャーのように、安倍なしで安倍政治を続けようと試みるだろう。」」
私としては、私の家の一つ日本から六カ月丸々締め出されているのは悲劇だ。
首相は来ては去っていく。占領軍も、いつの日か姿を消すだろう。自動車の朽ちた残骸は完全に腐食するだろう。だが、美しさ同様、日本の深さは決して消えるまい。いらだった親日家たちは、日本に、うるさく文句を言っているが、留まるのだ。
Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査のジャーナリスト。彼はウェブサイトとツイッターで連絡できる。
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