しんぶん赤旗の連載記事「安倍政権追い詰めた7年8カ月」の第3弾は、『森友・加計』・『桜を見る会』問題、河井案里参院議員にからむ「買収目的交付罪」疑惑、黒川弘務東京高検検事長(当時)の勤務延長に向けた無理な閣議決定や検察庁法の改悪志向等々のいわゆる「国政私物化」問題です。
そうしたあまりにも常軌を逸した「私物化」に対する国民の怒りが安倍氏の退陣に大きく影響しました。
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安倍政権追い詰めた7年8カ月(3)疑惑の真相解明を
しんぶん赤旗 2020年9月3日
「安倍政権は、『森友・加計』、『桜を見る会』の問題で国民から厳しい批判にさらされてきた。共通するのは『政権の私物化』という批判だ」。8月28日の記者会見で地方紙の記者からこう迫られた安倍晋三首相。目を泳がせながら、「私物化したつもりは全くありません」と居直りました。しかし、言葉とは裏腹に、どの疑惑も現在進行形で、安倍首相は追い詰められています。
例えば、妻・昭恵氏が名誉校長を務め、安倍首相自身の思想に近い教育を進める小学校のために、国有地を不当な安価で払い下げたとされる「森友学園」問題。この問題をめぐり、公文書の改ざんなどを強いられて自死した財務省近畿財務局の元職員・赤木俊夫さんの妻・雅子さんが再調査を呼びかけた署名は、35万人を超えて賛同が広がりました。現在、真相解明を求めて裁判が行われています。
前法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員が公職選挙法違反で逮捕・起訴された大規模買収事件も公判が進行中です。
安倍首相は昨年7月の参院選で、自らの秘書を案里被告の陣営に送りこみ支援。首相自身が克行被告と、案里氏の出馬表明直前からの克行被告の法相辞任まで、12回も首相官邸で面会を重ねました。
「買収」疑い
同事件では、自民党本部から交付された1億5千万円もの巨額資金が買収の原資になったのではないかとの疑いがもたれています。安倍氏自身に「買収目的交付罪」の疑いが浮上しているのです。
神戸学院大学の上脇博之教授は今回の退陣表明について、「退陣にいたるまで自身にとって不都合な事件や情報しかなく、安倍氏は相当追い込まれていた」とみています。
公的行事である「桜を見る会」では、安倍首相が自身の後援会員多数を招待し接遇。総裁選を有利に進める思惑があったのではと取り沙汰されています。
上脇教授は、「公金を“私物化”し“お友だち”に報いる政治で、自民党の激減した党員数を少しでも回復させ、選挙での勝利につなげようとしたのではないか」と指摘します。
そして安倍氏は、自身への疑惑が深まるなかで、ついに検察幹部の人事に介入します。
怒り猛然と
「官邸の守護神」と呼ばれた黒川弘務東京高検検事長(当時)の勤務延長を、法解釈をねじまげて閣議決定し、それを後付けるために、検察庁法の改悪まで狙ったのです。
多くの国民が増税や経済格差の拡大に苦しむもと、安倍氏の“お友だち”だけが優遇される政治に、国民の中から怒りが猛然と湧き起こりました。
「#検察庁法改正案に抗議します」。インターネット上に広がった投稿は1千万件を超えました。共感の輪は多くの著名人らにも広がりました。
日本共産党や立憲民主党、国民民主党などの野党は国会で、一致結束して安倍政権の数々の「国政私物化」を追及してきました。
上脇教授は語ります。「当然、安倍氏の退陣には、国民の批判の声も大きく影響しました。しかし、退陣で安倍政権のマイナスは終わりになるわけではない。安倍氏の説明責任は消えない。引き続き、次の政権に安倍政治の病理をただし、真相を解明させ、ふさわしい責任をとらせることが必要です」(つづく)