2020年9月3日木曜日

安倍政権追い詰めた7年8カ月(2)PCR拡大へ一歩(しんぶん赤旗)

 しんぶん赤旗の連載記事安倍政権追い詰めた7年8カ月」の第2弾は、PCR検査を大幅拡大させる要求と政府の医療機関統合縮小政策を取り上げました。
 日本は海外に比べると桁外れに小規模のPCR検査体制でしかなく、このところ野党や医師団からの要求を受けて徐々に拡大はしましたがまだまだ不十分です。その一方で政府は医療・介護の自己負担増や病床削減、公立・公的病院の統廃合を進める方針は変えようとしません。

 ところで日本は新型コロナによる死者数を5月時点で約900人としていますが、厚生労働省研究班によると、今年1~5月の国内死者数は、統計学的な予測値を最大約6500人超過していたことが分かりました。この超過数がすべて新型コロナによるものとは言えませんが、この間PCR検査を濃厚接触者等に限定していたことから新型コロナ起因の死亡が大量に見逃されていた可能性は大です。東京新聞の記事を併せて紹介します。
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安倍政権追い詰めた7年8カ月(2)PCR拡大へ一歩
しんぶん赤旗 2020年9月2日
 安倍政権が新型コロナウイルス感染症への対応で有効な対策を打てず迷走を続ける中、感染拡大抑止に不可欠なPCR検査の積極的拡大へと、野党と国民の要求で一歩一歩前進させてきました。

コロナ対策
 コロナ対策の最も重要な点は、感染ケースの4割を占める無症状感染者からの感染をいかに防ぐかです。検査数を増やし、感染者を見つけ出し、保護、隔離、治療をできなければ、無症状感染者が感染リンクをつなげ、感染がくすぶり続け、社会・経済活動の再開とともに感染拡大が再燃します
 日本共産党の志位和夫委員長は7月28日、安倍晋三首相にPCR検査を大規模に拡大するよう緊急申し入れをしました。日本医師会の有識者会議や超党派の「医師国会議員の会」も、政府に対し感染震源地のPCR検査の拡充をそれぞれ提言しました。
 これらを受けて、厚労省は8月7日の「事務連絡」で、点でとらえていた検査対象を面でとらえる方向を打ち出し、同月18日には「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関するQ&A」で感染リスクの高い施設での定期的検査につながる方向を示しました。安倍首相が辞任表明会見(同月28日)で触れた政府の「対策方針」では、それまで自治体と施設の判断としていた方針から政府として「実施を要請する」と一歩踏み込みました

迷走の原因
 安倍政権がコロナ対応で迷走する大きな原因の一つは、新自由主義との決別ができないためです。
 小原隆治早稲田大学教授(政治学)は「本来新自由主義的傾向の強いイギリスのボリス・ジョンソン首相はコロナに対して、自己責任ではなく国家が雇用を確保し、所得を補償する政策をとっています。それと比較すると安倍政権には、新自由主義への反省がありません」と指摘します。
 安倍政権は、さまざまな自粛要請を効果的に行うための感染対策として国民や野党が求めた「自粛と一体の補償」に、一貫して背を向けました
 また、各地で感染症対策の中核的な役割を果たしている公立・公的病院に再編・統合を迫る424病院のリストの撤回を拒否。7月17日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)は、これまでの方針を引き継いで、医療・介護の自己負担増や病床削減、公立・公的病院の統廃合を進めるとしています。
 小原氏は「安倍政権の閣僚は、自分たちが悪いことをやってきたとは思っていません。選挙で惨敗することで責任をとってもらうしかありません」と語ります。(つづく)


死者数、予測を6500人超過か 1~5月、厚労省研究班まとめ
東京新聞 2020/8/31
 今年1~5月の国内死者数は、統計学的な予測値を最大約6500人超過していた可能性があることが31日、国立感染症研究所などの厚生労働省研究班のまとめで分かった。超過死亡にはさまざまな原因での死者が含まれており、新型コロナ感染症の影響で死亡した人がどれくらい含まれていたか引き続き分析する。

 厚労省の人口動態統計によれば1~5月の死者は国内で約59万人。この間に発表された、新型コロナウイルス感染症の死者は約900人だった。
 研究班が米国と欧州の2種類の手法で計算したところ、超過死亡は「313~6547人」「208~4322人」との結果が得られた。