2020年9月24日木曜日

もう中毒から抜けられない アベノミクスの継承という麻薬

  異次元と呼ばれた超金融緩和政策アベノミクスは事の始まりから「出口のない道」と評されました。その実態は円安誘導と国自らの株購入による株価UPで、円安にすればドルベースの外国の投資家が割安になった日本株を買うので値上がりするのは当然のことです

 国による株価の買い支えは、日銀が年間12兆円もの株価指数連動型投資信託ETF)を購入し続けたことと年金積立金管理運用法人GPIFによる巨額な株式投資で行われましたが、ETFの購入を今後もずっと続けることは不可能だし、GPIFも年金積立金が原資なのですでに株の購入は限界です。 
 もしも日銀がETF購入額を減じれば、投資家たちは国による株価の買い支えが無くなると考えて売りに転じるので、株価は一挙に大暴落します(投じた年金資金は二束三文になります)。従ってアベノミクスはいつまでたっても止めることが出来ないもの、「止まると爆発するので走り続けるしかないバスに乗ったようなもの」と譬えられる所以です。こんな状況に陥った原因は、出口がない道に承知の上で踏み込んだことにあり、すべての責任は安倍前政権にあります。その中核を務めた上で今回安倍政権と継承するとして登場した菅首相にも勿論同じ責任があります。日刊ゲンダイが「国民は騙されているアベノミクスの継承という麻薬」という記事を出したので紹介します。
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<もう中毒から抜けられないのだ> 国民は騙されている「アベノミクスの継承」という麻薬 
                        日刊ゲンダイ 2020年9月20日(阿修羅より転載)
 前代未聞の2度目の政権ブン投げという安倍前首相の愚行によって棚ぼた的に誕生した菅政権。安倍なき「アベ政治」を引き継ぐという亜流で菅は総理大臣の座を射止めたわけだが、新政権に対する国民の高揚感や期待感が何も伝わってこないのは新型コロナウイルスの感染拡大による景気低迷だけが原因じゃない。おそらく、国民の多くは、安倍の“焼き直し”を訴えるだけの「居抜き政権」に内政や外交のかじ取りを担えるはずがないと気付いている。 とりわけ、国民の最大の関心、注目は新型コロナの直撃を受けてボロボロになっている経済の立て直しだが、菅が総裁選の所信表明演説などで金科玉条のごとく掲げていた政策が、よりによって「アベノミクスの継承」というのだから暗澹たる思いだ。

「(安倍)政権発足時は1ドル70円台、株価8000円台だった。現在は新型コロナウイルスの中にあっても、マーケットは安定した動きを見せている」 菅は総裁選の所信表明演説でこう言い、薄ら笑いを浮かべながらアベノミクスの「成果」を強調していたが、これはマヤカシに過ぎず、騙されてはいけない。約8年間に及ぶアベノミクスの実態をあらためて振り返れば、「成果」どころか「失敗」による副作用で、国民生活を破壊しただけだからだ。

「物価上昇2%」も「トリクルダウン」もナシ 
「バイ・マイ・アベノミクス」。ニューヨーク証券取引所に集まった約300人の投資家らを前に、安倍がこう切り出したのは2013年9月だった。第2次安倍政権は「デフレ脱却」と「円高是正」を目標に掲げ、金融緩和、財政出動、成長戦略という「3本の矢」のキャッチフレーズで景気の底上げを狙った。原動力に利用したのは日本銀行だ

 安倍政権をバックにした日銀の黒田総裁は、国債の爆買いによって市場に供給する資金量を増やし、「2年で2%の物価上昇率」を目途にした「異次元緩和」を宣言。この結果、金利低下が進行し、円安株高の流れがつくられたものの、結局は輸出企業が大儲けしただけ。大企業や株を持つ富裕層から富がしたたり落ちるという「トリクルダウン」も幻想に終わり、気が付けば大企業の内部留保は150兆円以上も増えたにもかかわらず、庶民の実質賃金は減少する一方で何の恩恵もなかった。

 そもそも「2%」の物価上昇率はいまだに一度も達成されていないのだから、誰が見ても「異次元緩和」が行き詰まったのは明らか。経済ジャーナリストの荻原博子氏も「アベノミクスは世界的にも期待されたが、既に失敗だったとの評価だ」と言い、さらに「一丁目一番地としていたデフレ脱却は7年やってもできなかった。株価は上がっても給料は下がり、実体経済と乖離している」と語ったが、これが常識的な見方なのだ。

この8年間、国民はひらすら貧しくなっただけだ 
 ところが菅はアベノミクスがとっくに「失敗」していたことを認めない。総裁選の演説でも、「バブル崩壊後、最高の経済状態を実現したところでコロナウイルスが発生した」と強調。まるで「コロナ禍」が全て悪いかのような物言いだったが、そうじゃない。内閣府が発表した7月の景気動向指数に基づく景気判断は、12カ月連続で「悪化」。つまり、悪化判断の起点は昨年の夏であり、「コロナ禍」が国内景気を直撃する前から低迷期に入っていたのだ。そんな景気後退局面の真っただ中に安倍政権は世論の反対を押し切って消費増税10%を強行。景気悪化に向けたアクセルを目いっぱい踏み込んだ。「コロナ禍」はそこに追い打ちをかけたのだ。

 大体、安倍政権が大風呂敷を広げていた「名目GDP(国内総生産)600兆円」はどこに消えたのか。内閣府が公表した4~6月期のGDPの2次速報によると、物価の影響を除いた実質(季節調整値)で前期(1~3月)比7・9%減、年率換算でナント(!)28・1%減だ。どう逆立ちしても「600兆円」なんて達成できるはずがない。

禁じ手の「公的マネー」で株高維持を装う 
 「アベノミクス」の正体とはしょせん、政府による官製相場のイカサマ。国民に消費増税や社会保障費の削減などの痛みを押し付けてもごまかせるよう、経済がうまく回っていると見せかけるための「麻薬」と言っていい。 そのためには何が何でも株高を維持する必要がある。そこで政府は日銀にETF(株価指数連動型投資信託)を年間6兆円(今年3月からは12兆円)も購入させたり、14年からはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式運用比率を倍増させたりしながら、本来は“禁じ手”である「公的マネー」をどんどんつぎ込んできたのだ。

 だが、その結果、今や「日経平均」採用銘柄225社中、日銀やGPIFが事実上の筆頭株主となる企業が8割余りを占めるという「異次元マーケット」に突入。「公的マネー」が資本主義市場の動向を左右しかねない状況なんて、明らかに異常だし、市場が歪められている証左だろう。恐ろしいのは今後だ。大株主の日銀やGPIFが少しでも株式売却に動く気配を見せたら、あっという間に株価が急落するのは間違いないからだ。そうなったら売りが売りを呼ぶ展開になり、国民の虎の子の年金資金もたちまち吹き飛ぶだろう。

 菅が「アベノミクスの継承」を口にするのは、今さら止められないガンジガラメを逆手に取っただけ。そして国民をさらなる「麻薬中毒」にして痛みを押し付けるつもりだ。「アベノミクスの継承」によって、ますます日本経済は泥沼の深みにはまるのは間違いないだろう。 経済評論家の斎藤満氏がこう言う。「アベノミクスは金融緩和に頼り過ぎたこと、大企業を優先したことなど、いろいろな失敗原因がありますが、最大の問題は個人消費を冷え込ませてしまったことでしょう。非正規労働者を大量に生み出し、格差を拡大させ、この8年間、賃金は下がり続ける一方。アベノミクスによって、国民はひたすら貧しくなっただけなのです。そんな愚策を能天気に継承する、なんてとんでもない話で、国民が許すはずがありません。アベノミクスを続けても早晩行き詰まるのは間違いないのです」いい加減、「道半ば」が国民を騙すための言葉だと気付くべきだ。