2020年9月20日日曜日

20- はがれた仮面・ジャパンライフ事件(上)(東京新聞)

  東京新聞が、18日に約2000億円の詐欺容疑で逮捕されたジャパンライフの山口隆祥元会長に関する記事「はがれた仮面・ジャパンライフ事件」の連載を始めました。

 山口氏は1975年にジャパンライフを設立し、84年には脱税で懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決を受けました。彼は前年に同容疑で告発されると直ぐに社長を退き、後任に警察庁官僚を据えた他、10数人の警察官僚や署長を引き抜いてジャパンライフ代理店(営業所)の指導係に配置しまし。警察筋の捜査を抑えるためだったのは明らかです。それだけではなく中曽根康弘、亀井静香、石原慎太郎、森喜朗などの有力議員にも献金を続けることで、監督官庁の調査や介入を抑制することに努めました。それが功を奏して「いかがわしい」詐欺会社を今日まで存続させることが出来たわけで、実に周到というしかありません。

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<ジャパンライフ山口元会長>中曽根、森喜朗…献金リストに元首相の名 権威を笠に肥大化

東京新聞 2020年9月19日

<はがれた仮面・ジャパンライフ事件連載(上)>

◆それは羽毛布団販売から始まった

 厳格だった。神様みたいな人だった―。磁気治療器販売会社「ジャパンライフ」の創業者、山口隆祥(78)の印象を、消費者庁元課長補佐の男性はそんなふうに覚えている。男性は2015年7月に、同社に天下りした。夏でも白のワイシャツとネクタイが欠かせない社風で、山口の前では、社員は直立不動になったという。ジャパンライフは1975年、群馬県伊勢崎市で産声を上げた。山口は「健康革命」と称して羽毛布団販売を手掛けたが、83年に脱税の疑いで国税庁から告発され、翌年4月に起訴、同8月に懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた

◆脱税告発見越して?元警察官僚ら大勢引き抜き

 告発の数カ月前、自らは社長を退き、後任に警察庁で「ねずみ講」捜査の陣頭指揮を執っていた元警察官僚を迎えた。他に10数人の警察官僚や署長を引き抜き、ジャパンライフ代理店(営業所)の指導係に据えた。社史には「大組織を作り上げたプロを放っておく手はない」と記されている。だが、山口の幼なじみの男性(89)は「脱税もしていたし、捜査の追及のお目こぼしを受けるためではないか、と地元では言われていた」と明かす。それだけではない。山口は社長辞任の数日前に、政治団体「健康産業政治連盟」を設立。官報によると、83年度の収入は1億8100万円、84年度は2億2400万円で、元首相の田中角栄の政治団体「越山会」を上回った。

◆顧客から吸い上げた資金は政治家へ

 中曽根康弘や亀井静香、石原慎太郎、森喜朗…。当時影響力があった政治家の名が献金先として記載されており、顧客から得た資金の一部が流れていたとみられる。献金を受け取っていた元労働相の山口敏夫は「もしもの時に政治家を利用したかったのだろう」と語る。政治家人脈の1人には前首相の安倍晋三の父、晋太郎の名も残る。85年に日本武道館で開かれた創立10周年記念パーティーに祝電を送っていた

◆安倍前首相とのつながり押し出し集客

 それから30年後の2015年にあった前首相主催の「桜を見る会」。首相枠での招待状が山口に送られていたことが19年に発覚し、前首相とのつながりを強調して顧客の信用を深めていたことが問題視された。ジャパンライフ設立時から関わっていた、関東圏の代理店元店長の男性が振り返る。「最初はジャパンライフの商品の愛用者だった。だが、別の人を紹介すればお金がもらえて、気付いたら社員になっていた。入社式には官僚OBも来て、すごい企業だと信じた」。そして続けた。「誰もがだまされていたんです」(敬称略)

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 経営破綻した磁気治療器販売会社「ジャパンライフ」の山口元会長らが18日、詐欺容疑で警視庁などに逮捕された。全国の高齢者ら約1万人から約2100億円を集めた巨額預託商法事件。「神様」の仮面の下の素顔とは―。(この連載は木原育子、井上真典が担当します)