2日夜、菅官房長官が生出演した『news zero』(日本テレビ)でメインキャスターの有働由美子氏が、
「(安倍首相の)ピンチヒッターですか? 残りの1年だけやるという」
と質問したことが、失礼だ、ケシカランとSNSで炎上しているということです。一体何が問題だというのでしょうか。LITERAは、
「ごくごく当たり前の感想として多くの人が感じているであろう『ピンチヒッター』という言葉を出しただけで、『失礼だ!』の大合唱が起こるとは……」と絶句しています。
2日の菅氏総裁選出馬表明の場で東京新聞の望月記者が、
「この3年間長官会見を見てきたなかで、不都合な真実にかんして追及が続くとその記者に対する質問妨害や制限というのが長期間にわたって続きました。総裁になったときに今日の会見のように記者の厳しい追及に応じるつもりはあるのか。長官自身の言葉、生の言葉でしっかりと会見時間をとって答えいただけるのか、その点をお願いいたします(要旨)」
と質問した際に、菅氏は何と、
「限られた時間のなかでルールに基づいて記者会見というのはおこなっております。ですから早く結論を質問すれば、それだけ時間が浮くわけであります」
と答えたのでした。一体このどこが質問に対する答えになっているというのでしょうか。
失礼なのは気に入らない相手を平然と見下す菅氏の方です。
そもそも彼の得意なセリフは「その指摘は当たらない」「問題はない」ですが、それを聞いても一体何故その指摘が「当たらないのか」「問題はない」のかさっぱりわかりません。
それを具体的に話さなければ回答にはならないのにそれで済ませてしまう、これ程失礼で人を喰った話もありません。この8年近く(あるいはそれ以上?)続けてきたのであればその人間の人格が分かるというものです。
もともと菅官房長官こそが、NHKのクローズアップ現代の国谷裕子氏の質問や『報道ステーション』(テレビ朝日)での古賀茂明氏のコメントが気に入らないからとして降板させた張本人だと言われています。
そんな人間に早くも応援団がついた(というよりも安倍応援団が回った)ことは驚きですし、そうした異常性はやはり脅威です。
LITERAと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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有働由美子が菅官房長官に「安倍首相のピンチヒッターですか」と訊いただけで大炎上! 異様すぎる「菅批判は許すまじ」の空気の背景には…
LITERA 2020.09.03 10:58
昨日2日におこなわれた自民党総裁選への出馬会見で、森友・加計や「桜を見る会」などの問題について「結論が出ている」「現在のまま」と再調査を拒否した上、東京新聞・望月衣塑子記者の質問の最中に“妨害”をおこなうなど、驕り高ぶった態度を見せつけた菅義偉官房長官。まさしく「史上最悪の出馬会見」と呼ぶにふさわしいシロモノだったのだが、その菅官房長官をめぐって、SNS上で炎上が起こっている。
しかも、それは菅官房長官が木で鼻をくくったような回答を連発したことに対して批判が巻き起こったのではなく、「質問が失礼すぎる」というものだ。
問題となっているのは、昨晩、菅官房長官が生出演した『news zero』(日本テレビ)での一幕。メインキャスターの有働由美子が、菅官房長官に投げかけたこの一言が問題になっているのだ。
「(安倍首相の)ピンチヒッターですか? 残りの1年だけやるという」
この問いかけに菅官房長官は少しムッとしたように「ピンチヒッターの意味がわかりませんが」などと答えたのだが、なぜか、この有働キャスターの「ピンチヒッター」という一言に「失礼だ!」というコメントが殺到したのだ。
〈有働アナのピンチヒッターですかの一言は失礼過ぎるだろ!!〉
〈1年近く国の顔になる人にピンチヒッター呼ばわりか〉
〈ピンチヒッター?質問になめてる感じが丸出し。〉
〈有働は愚問しか言わないなぁ 総裁候補に対して、『ピンチヒッターか?』って。馬鹿じゃねぇの。失礼すぎるわ。胸糞悪りぃ。〉
〈これから総理になろうと立候補する人に、そんなこと聞く?〉
〈とりあえず、有働アナへの評価がだだ下がりでした。もはや辞めてくれ。〉
〈有働さん、菅さんに対してひどい!残念がっかり。先週の石破さんと比べて随分と対応違うよ偏向報道やめてほしい。〉
「安倍首相のピンチヒッターか?」という質問が「失礼」って、まったく意味がわからない。実際、今回の総裁選は安倍首相が任期途中で辞任したことによるもので今回総裁に選ばれても任期は安倍首相が残した約1年しかなく、事実上の「代打選び」だ。しかも、菅官房長官の「次期総裁・首相」というのは安倍首相の既定路線であり、同時に菅官房長官は安倍首相が辞意を表明する前から有力派閥を抱え込む多数派工作に暗躍してきた。「ピンチヒッター」どころか、密室政治ですべてが決まった「出来レース」そのものだ。
しかし、そのような「出来レース」について批判したわけでもなく、ごくごく当たり前の感想として多くの人が感じているであろう「ピンチヒッター」という言葉を出しただけで、「失礼だ!」の大合唱が起こるとは……。世も末とはこのことだ。
しかも、この日の『news zero』で有働キャスターは、取り立てて厳しい質問をおこなったわけでもない。
失礼なのは菅官房長官 解散総選挙の質問に「有働さんは選挙わからないと思うけど」と上から目線
実際、菅官房長官をスタジオに迎えると、有働キャスターは「いまの心境を、と言っても、ほぼ支持固めて、もう余裕のよっちゃんみたいな感じですかね」と軽い調子で質問し、その後も「(総裁選への出馬を)奥様には、いつどういうかたちで伝えたんですか?」だの「菅さんは粘り強い政治の交渉が持ち味でいらっしゃいますけど奥様にはどういう交渉をしてイエスと言わせたんですか?」だの、どうでもいい夫婦仲の話題を掘り下げる始末。
その一方、肝心の森友公文書改ざんの再調査問題については、「安倍政権は再調査に否定的でしたけど、これも安倍政権の継承を?」「再調査ということは考えていらっしゃらない?」などと言及した程度だった。出馬会見では同じNHK出身のフリーアナウンサーである膳場貴子がこの問題を菅官房長官にぶつけたが、膳場が「国民が納得しない事案」と言い切った上、「再調査を求める声に菅さんはどう対応されますか」と厳しく追及したことを考えれば、有働の質問はぬるいと言わざるを得ない。
あえて有働キャスターの質問で評価する点があったとすれば、菅官房長官が「脱派閥」という信条を掲げてきたというのに派閥主導の選挙戦となっている点について、「理念には沿ってないっていうことですね。反しているということですねえ」とツッコんだこと、新型コロナ対応をめぐってマスク不足解消のために動いたことをアピールする菅官房長官に「アベノマスクですか?」と割って入ったことくらいだろう。
だいたい、「失礼だ!」と言うべきは、菅官房長官の回答のほうだ。たとえば、有働キャスターが解散総選挙について質問をつづけていた際、菅官房長官は「選挙とは何があるかわからない。有働さんは選挙わからないと思うけど」などと言い出したのだ。
言うまでもなく解散総選挙は国民が政治に意思を示す重要なものだが、それを菅官房長官は「選挙とは何があるかわからない」「有働さんは選挙わからないと思うけど」などと国民を無視した党利党略で動くものだと肯定するかのように語ったのである。菅官房長官は「有働さんは」と述べたが、これは当然「国民」にも置き換えられる話であり、「選挙がわからないくせに訊くな」などと突っぱねることは国民に対する冒涜と言ってもいい。「失礼だ!」と言うなら、この菅官房長官の発言こそ失礼、いや、暴言にほかならないだろう。
それが、SNS上では有働キャスターの「ピンチヒッター」発言が炎上し、国民を冒涜した「選挙わからないと思うけど」という菅官房長官の発言は大きく問題視されず、むしろ〈正論すぎる〉などと評価する向きまであるのだ。
安倍政権時代よりも異常な批判報道への攻撃と報道圧力 もしかして菅官房長官が例の“裏部隊”を…
安倍政権時代から、安倍応援団やネトウヨが露骨な政権擁護をし、政権批判を寄ってたかって攻撃する光景が繰り広げられてきたが、「ピンチヒッター」と言ったくらいで炎上するというのは、いくらなんでも異常すぎるだろう。
それだけではない。ネットニュースなどでも、菅官房長官に批判的な記事はもちろん、石破茂氏や岸田文雄氏の主張を紹介だけで、攻撃や抗議コメントが殺到している状態だ。
もしかすると、安倍政権でゲッペルスの異名をとった菅官房長官やその周辺がネトサポや、内閣情報調査室、公安など“裏部隊”を使って「次期首相である菅官房長官の批判は許すまじ」「批判を攻撃しろ」などという号令をかけているのか、と疑いたくなるほどだ。
いずれにしても、こうした状況を見ていると、今後の“菅総理”体制ではこれまで以上にメディアが萎縮・忖度し、厳しい追及はなくなっていくのは確実だ。そうならないためにも、総裁選報道でのメディアの姿勢にもチェックの目を光らせなければならない。(編集部)
“排除”再来?菅氏スカスカ会見の一部始終…記者の怒号飛ぶ
日刊ゲンダイ 2020/09/03
「フリーランスにも指名してください!出来レースじゃないですか」――。既にテレビの生中継は終わっていたが、1人の記者の怒号から「横浜をカジノ業者に売り渡すんですか」「公文書を改竄しないでください」との声が堰を切ったように飛び交った。2日夕、総裁選の真打ち登場とばかりに出馬会見を開いた菅官房長官。大新聞・テレビが報じないスカスカ会見の一部始終は、多難な前途を象徴している。
◇ ◇ ◇
「秋田の農家で育った」と会見で繰り返し、“純朴な苦労人おじさん”を前面に打ち出そうとした菅氏だが、やはり地金の冷酷さは隠し切れない。
「逃げないでください」と不満爆発の記者に押し切られるように時間を延長した途端、司会の坂井学衆院議員が指名したのは菅氏の天敵、東京新聞の望月衣塑子記者だった。
「(官房長官会見では)不都合な真実に関する追及が続くと、その記者への質問妨害が長期間にわたって続きました」
彼女の問いかけに菅氏は視線を合わせず、こわばった表情。司会から「質問は簡潔にお願いします」と邪魔が入るのは、長官会見と同じだ。
「(首相になっても)官僚が作ったような答弁書を読み上げるだけでなく、自身の言葉でしっかりと会見時間を取って答えていただけるのか」
質問が終わると、菅氏はあざけるように、こう言い放った。
「限られた時間の中で、ルールに基づいて記者会見というのは行っております。ですから、早く結論を質問してくれれば、それだけ時間は浮くのであります」
小池都知事の「排除」発言をほうふつ
他の記者からも失笑が漏れたが、この人をさげすんだ対応には既視感がある。3年前に小池都知事が口にした「排除」発言だ。当時の小池氏も、新党代表として一時は総理目前かと思われたが、総選挙直前の「排除します」のひと言で失墜。菅氏の態度は小池氏のたどった道をほうふつさせる。
ただ、菅氏の肩を持つ気はないが、フリーを「排除」せずに質問を受け付け、むしろ大手メディアの質問回数が少なかったくらいだ。望月記者も「これまでと違って、いろんな記者さんを指されているな」と指摘したほど。会見時間も「30分程度」と事前通告し、終了時間は予定時刻を約15分オーバーしていた。
それでも菅氏が記者から「逃げた」印象を持たれたのは何を聞かれても、のれんに腕押しだから。アベノミクス、北方領土、拉致、沖縄基地、敵基地攻撃能力など「安倍路線継承」から踏み出さず安全運転。森友問題の再調査も「既に結論が出ている」と従来通りの答えだ。
あまりの菅カラーゼロに、毎日新聞の記者から「安倍総理の発言を聞いているよう。“菅総理”として目指す政治は安倍政権の単なる延長なのか。違うのであれば、何がどう違うのか」と突っ込まれる始末。ぶ然とした表情で菅氏は「縦割りの弊害をぶち破って新しいモノをつくっていく」と返すのがやっとだった。
「これから“天下人”になって何をしたいのか、さっぱり分かりません。新たな政治テーマを具体的に掲げもせず、何もしゃべっていないに等しい会見でした。何ひとつ志は感じられず、期待が持てないことだけは、ひしひしと感じます」(政治評論家・本澤二郎氏)
こんなスカスカの菅氏が総理になっていいのか。