2020年9月17日木曜日

「公費不倫出張」の和泉洋人氏が“官邸官僚”のトップに!

  安倍元首相が今井尚哉・首相補佐官兼秘書官に心酔し、何でも彼に言うとおりにしていたため、今井氏が「陰の首相」と称されていたことは有名な話です。しかしそれが結局安倍政治を破綻させた原因になりました。いわば今井氏の能力の限界であったのですが、彼に関しては不正や横暴などの疚しい噂は一切聞かれませんでした。その意味で清潔感はありました。

 菅政権で官邸官僚のトップに座るのは、菅氏の最側近和泉洋人首相補佐官(再任)だということです。和泉氏は加計学園獣医学部の強引な新設に於いて、前川喜平・文科事務次官(当時)を「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」と恫喝するなど、安倍首相「私物化」の実行部隊として動いていた人物でした。彼は前川氏の退任後も、菅氏と組んで読売新聞に「出会い系バー通い」を報じさせるなどしました(まことに陰湿な手口でしたが、前川氏には疚しいことは何もありませんでした)。

 今年2月、逆に和泉氏こそが疚しい人物であることが明らかにされました。和泉氏と大坪寛子・大臣官房審議官の二人が出張したインドミャンマー、中国、フィリピンなどの滞在先ホテルで。二人の部屋が隣同士で自由に行き来できるコネクティングルームだったことが発覚し、それらの出張大坪氏が参加する必要性があったのかどうかも疑問視され、公費を使った「不倫出張」だったのではないかと批判されまし

 二人は醜聞発覚後も極めて平然としていて人々を驚かせました。大坪氏は和泉氏を後ろ盾にして感染症対策に使われる予算約80億円を無理に自分の担当するプロジェクトに回すなど、かなり横暴な振る舞いをしていました。彼女は4月の人事で内閣府の全ての役職を解任されましたが、和泉氏は首相補佐官の地位に留まりました。それどころか今度は今井氏に代わって「官邸官僚のトップ」として権勢を欲しいままにすることになるわけです。

 安倍氏と同様に菅氏も、官邸ポリスの効用に絶大なる信頼を寄せているので、今後大いに活用することでしょう。和泉氏のことといい、官邸ポリスのことといい、いずれも菅政権の陰湿さといかがわしさを示しています。LITERAの記事を紹介します。

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菅政権で「公費不倫出張」の和泉洋人首相補佐官が再任、“官邸官僚”のトップに! 虎の威を借る恫喝と行政の私物化が再び

LITERA 2020.09.16

 本日、菅義偉・自民党新総裁が衆参両院の本会議で第99代首相に指名され、菅内閣が発表された。しかし、その顔ぶれは麻生太郎財務相や萩生田光一文科相をはじめ安倍内閣から続投が8名、3名が横滑りという代わり映えのなさ。発足前から「居抜き内閣」「第三次安倍政権」と呼ばれる始末だが、こうした組閣の一方で注目すべき人事がある。それは安倍政権を象徴する「官邸官僚」たちの人事だ。

 まず、安倍政権では「影の総理」と言われ、絶大な権力をふるってきた今井尚哉・首相補佐官兼秘書官は、菅政権では内閣参与に。他方、菅氏の最側近である和泉洋人首相補佐官はそのまま再任し、さらに元エリート警察官僚である杉田和博官房副長官と、内閣情報室(内調)のトップから国家安全保障局局長に登り詰めた北村滋氏も再任となった。

 安倍政権下で菅氏が“官僚の監視”を担わせた杉田官房副長官や、“野党やマスコミの監視、謀略情報の仕掛け人”として暗躍させてきた北村氏をそのまま再任させたことからも、官僚の人事を掌握して忖度を引き出す「官邸主導」がさらに進められてゆくことがはっきりとしたが、問題は今井氏と和泉氏の処遇だ。安倍首相は菅氏を後継に決めた際、今井氏を官邸に残すことを菅氏に迫ったとも言われているが、内閣参与は言うなれば“顧問”にすぎない。その一方、菅氏の最側近として陰に陽に動いてきた和泉氏が、首相となった菅氏を引きつづき補佐官として支える──。しかも、これまで和泉氏は〈国土強靱化及び復興等の社会資本整備、地方創生、健康・医療に関する成長戦略並びに科学技術イノベーション政策担当〉とされてきたが、本日公表された補佐官名簿ではこれらに加えて〈その他特命事項担当〉と追加されている。つまり、今井氏に代わって、今度は和泉氏が「官邸官僚のトップ」として権勢をほしいままにすることになる、ということだ。

 そもそも、和泉首相補佐官は国土交通省出身で、政府が名護市辺野古で進めている埋め立て工事で関係省庁を統括し、新国立競技場の管轄を文科省から取り上げ“やり直しコンペ”を仕切ったのも和泉首相補佐官だと言われる。もともとは民主党・野田政権時代に内閣官房参与として官邸入り、そのまま安倍首相が留任させるという異例の人事がおこなわれたが、その背景には和泉氏と付き合いが長かった菅官房長官の後押しがあったとされる。そして、和泉氏といえば、加計学園問題では菅氏の命を受けて前川喜平・元文科事務次官に「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」と“恫喝”したり、前川氏の告発を潰すべく読売新聞に「出会い系バー通い」を報じさせた件で、記事が出る前日に前川氏に揺さぶりをかけるなど、安倍首相による「私物化」の実行部隊として動いてきた人物だ。

 しかも、強調しておかなければならないのは、和泉氏は自身の私利私欲のために首相補佐官という立場を利用して、行政を「私物化」してきた人物である、ということだ。その最たる例が、厚労省の大坪寛子・大臣官房審議官との“公費不倫問題”だろう。たとえば、今年2月に大きな話題となった「コネクティングルーム」問題では、ふたりが出張したインドやミャンマー、中国、フィリピンの滞在先ホテルでふたりの部屋が隣同士でコネクティングルームだったことが発覚。これらの出張は大坪氏が参加する必要性があったのかどうかも疑問視され、公費を使った「不倫出張」だったのではないかと批判された。首相補佐官が国民の税金を使って出張を“不倫旅行”に利用したのではないかという疑惑だけでも大きな問題だが、さらに重大なのは、2人の不倫関係が人事や国策にまで影響を及ぼしていたということだ。

不倫相手の大坪寛子・厚労審議官といっしょに山中教授を恫喝、独立行政法人に圧力

 実際、最初に「不倫疑惑」が持ち上がった京都への不倫デートを楽しんだ出張では、和泉氏と大坪氏の2人が京都大学iPS細胞研究所に赴き、ノーベル賞受賞者の山中伸弥所長に対して、来年から山中所長の取り組むプロジェクトに「国費は出さない」と言い放ち、大坪氏が「iPS細胞への補助金なんて、私の一存でどうにでもなる」と恫喝していたことがわかっている。この予算カットは、文科省が反対していたものを和泉氏が後ろ盾となるかたちで大坪氏が強硬に主張したものだ。

 オープンな場で決めるべき予算の問題を密室で恫喝する。これだけでも2人とも辞職モノだが、問題はもっと根深い。こうした予算配分じたいが、行政内部でなんの手続きも踏んでいない大坪氏の独断専行であったことが内部の公式の会議で明らかに。さらに、本サイトがいち早く取り上げたように、和泉氏が室長、大坪氏が次長を兼任した内閣官房の「健康・医療戦略室」を舞台に、和泉氏の後ろ盾によって大坪氏が緊急的な感染症対策に使われるような予算約80億円を無理やり自分の担当するプロジェクトにつけていたことが、AMED(独立行政法人日本医療研究開発機構)理事長による告発で明らかになっている(詳しくは過去記事参照→ https://lite-ra.com/2020/02/post-5254.html)。

 しかも、AMEDの方針にことごとく介入する大坪氏の高圧的なやり方に対してAMED側が反発すると、和泉氏が直々に乗り出し、2019年7月にはAMEDの幹部職員3人に対し、こんなセリフを吐いていたことも暴露されている。「大坪次長もさ、激しくてみなさんとうまくいっていないかもしれないけど、彼は健康・医療戦略……彼女か、健康・医療戦略室次長に残すし、AMED担当室長は彼女になるから。そういうつもりでちゃんと付き合ってもらわないと困るよ」「ちゃんとできていないようだったら、もともとの出身省庁からこのポストを置くのはまずいってことになる」「財務省は全面的に、皆さん方の頭を飛び越えて、本省の各原課も飛び越えて、各々会計課と直接やるから。あなた方がどういうつもりか知らないけど、そんな生易しい話じゃないからさ」(「週刊文春」2月27日号/文藝春秋)

不倫で退任確実と言われながら、菅政権で復活した和泉補佐官 すでにコロナ対策を一手に

 山中教授への恫喝、コネクティングルーム出張、さらには愛人が思い通りに動かせる組織にすべく人事や予算をちらつかせて圧力をかける──。まさに私利私欲によって行政を歪める「政治の私物化」にほかならないが、こうした問題が噴出していた今年2月、政府は大坪氏を「ダイヤモンド・プリンセス号」に派遣。大坪氏が感染対策で飲食が禁止になっている作業エリアにスイーツやコーヒーを持ち込んだり、マスクをしていない姿をしょっちゅう目撃され、注意を受けていると報じられ、さらなる批判を浴びることになった。批判が巻き起こるのは火を見るより明らかだったのに、こんな人物を「ダイヤモンド・プリンセス号」に派遣する──。当初はこの配置は、安倍首相とのあいだにすきま風が吹いていた菅氏を牽制するための“厄介払い”と見られ、「サンデー毎日」(毎日新聞出版)9月27日号に掲載されているジャーナリスト・森功氏のレポートによると、ふたりは不倫問題の再燃によってコロナ対応から外され、このころには和泉氏は〈夏の人事で補佐官から退く〉とも噂されていたという。

 しかし、この和泉氏のピンチも菅氏の“復権”によって様変わりする。今井氏ら経産官僚が主導した「アベノマスク」や「Go Toキャンペーン」、星野源に乗っかった「コラボ動画」などに国民の批判が集中し、代わりに菅氏が息を吹き返したからだ。そして、「サンデー毎日」によると、この菅氏の“復権”によって〈和泉・大坪コンビがコロナ対応の現場に復帰〉。大坪氏は8月の人事で厚労省子ども家庭局担当の審議官へ異動となったものの、〈今もなおコロナ対策に首を突っ込んでいる〉とし、和泉氏についても官邸関係者がこう証言している。「和泉さんは現在、PCR検査の拡充とワクチン開発、それに特効薬の承認の推進を一手に引き受けています。クルーズ船で信用が失墜するどころか、むしろコロナ対策の要となっている

“公費不倫”があれだけ問題になったというのに、何事もなかったように重要政策を取り仕切る立場に舞い戻っていた和泉首相補佐官……。無論、菅政権の誕生により、和泉氏の権限はさらに増大することになる。今回の「官邸官僚」人事で今井氏の影響力が削がれたとしても、それはたんに今井氏から和泉氏に首が挿げ替わったにすぎない。これからは、菅−和泉首相補佐官体制によって、より強く官僚を支配下に置いた「恐怖政治」がはじまるだけなのだ。 (編集部)