2020年9月20日日曜日

戦争法強行成立5年 安倍政治最大の「負の遺産」

  19日は、安倍政権が憲法違反の安保法制=戦争法強行成立させてから5年に当たります。それは、日本が攻撃されていなくとも他国への武力攻撃武力で排除する集団的自衛権の行使を容認するものなので、米政府に「もはや9条の改憲は不要」とまで言わせました。安倍政治最大の「負の遺産」です。

 この5年間、安倍政権は自衛隊による米艦・米機の防護を32回以上も重ねてきました。安倍前首相は「非常時に韓国から邦人引き揚げてくれる米艦を護衛しなくていいのか」ということを口実にしましが、今確認できるのは自衛隊と米軍の軍事的な一体化が進んでいるという姿です。この先もしも米中間に紛争が起きれば日本は直ちに巻き込まれます。それこそが「集団的自衛権行使」の招来するものです。

 エスパー米国防長官は16日、国内の講演、中国やロシアとの競争に備え日本を含む全同盟国に対し防衛費を国内総生産(GDP)比2%以上に引き上げるよう要請しました。要するに日本の防衛費をさらに年間5兆円以上増やせということで、米国の軍需産業は大いに潤うことになります。年間5兆円があれば日本の社会保障費は豊かになり生活保護費その他が大いに改善します。幸いにこれまでは憲法9条の制約があるということで米国からの防衛費の増大要求を断ることが出来ました。これからはどういう理由をつけて拒否するのでしょうか。菅首相は安倍氏と共に対米従属を貫いた結果今日の事態を招きました。彼には、いずれ具体的に要求が来た時に断固拒否する責任があります。

 しんぶん赤旗と東京新聞の記事を紹介します。

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きょう 戦争法強行成立5年 安倍政治最大の「負の遺産」

しんぶん赤旗 2020年9月19日

 きょう9月19日で安保法制=戦争法が強行成立させられてから5年。同時に、日本共産党が国民連合政府構想を提案してから5年です。戦争法は、日本が攻撃されていないのに、他国への武力攻撃を武力で排除する集団的自衛権の行使を容認し、無制限の海外での武力行使に道をひらくものです。「集団的自衛権の行使は許されない」という長年の政府解釈をも百八十度覆し、憲法9条を正面から破壊するものでした。

 違憲の戦争法の強行は、国会の多数でも憲法に反することはできないという立憲主義の原理を根本から踏みにじるクーデターであり、安倍政治の最大の「負の遺産」です。戦争法の廃止は、日本の政治に立憲主義を回復するための根本問題であり、「安倍政治の継承」を掲げる菅義偉内閣のもとでも変わりはありません。それどころか菅内閣は、敵基地攻撃能力の保有推進を安倍内閣から引き継ぎ、戦争法体制の強化を狙っています。

 安倍政権による戦争法の強行は、その対極に、立憲主義擁護の市民と野党の共闘を生み出しました。3度の国政選挙と国会内外での共闘を通じて、信頼関係と政策的一致点を広げ、野党連合政権の実現を目指す段階に発展しています。戦争法の廃止、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」撤回へ向け、そのたたかいをさらに大きく広げるときです。

共闘が「新しい日常」に 市民連合呼びかけ人・法政大学教授の山口二郎さんの話 

 安保法制反対の運動から5年たって、安倍首相の退陣を受けた今回の首相指名で共産党も含めて野党がまとまったことは、5年間の政治の歩みの一つの到達点です。よくここまできたなと思い、率直に喜んでいます。もちろんゴールではありません。ここからの政権交代に向けてのプレーボールです。

 2015年の安保法制反対の運動に、当時の民主党、共産党、社民党、自由党が参加し、安倍晋三首相(当時)が進める改憲に反対する、立憲主義を守るという共通の理念で野党と市民が大同団結するという大きな流れが始まりました。さらに、16年の参院選の1人区での候補者一本化につながりました。野党と市民の共闘は「新しい日常」となりました。2回の参院選で1人区の候補者一本化を実現してきた大きな経験を生かし衆院選挙でも実現していくことが必要です。1年以内にある次の総選挙では、小選挙区の候補者一本化が実現するはずです。

 コロナ危機で生活が立ち行かなくなる人が多数出てきました。危機感をもった野党政治家は多いと思います。立憲民主党が新自由主義と決別する姿勢をはっきりさせたのはその影響が大きいと思います。政策面でも野党の重なる部分が大きくなってきました。協力することは“必然”になっています。

 

自衛隊による米艦・米機の防護が常態化 内容非公表で検証できず

東京新聞 2020年9月18日

 安全保障関連法の成立から5年間、安倍政権は米艦・米機の防護や燃料補給などの安保法に基づく任務を積み重ねてきた。いずれも国会承認の手続きが不要で、内容の公表も限定的だ。国民が詳しく検証できない形で、日米の軍事的一体化が進んでいる。(上野実輝彦)

 この間の最も象徴的な任務が、自衛隊による米艦・米機の防護だ。日米共同で弾道ミサイル発射などの警戒監視や訓練を行う際に、第三国による妨害行為から米艦・米機を守る活動だ。米軍の要請を受け、防衛相が実施の可否を判断する。2017年5月に、海自護衛艦が米補給艦への防護を初めて実施。同年は計2件だったが、18年には16件に急増。19年も14件で、米軍への防護活動が常態化した。17年6月ごろからは、海自艦による米イージス艦への給油も実施されている。

 いずれも平時を想定した「実践しやすい任務」(幹部自衛官)で、活動を重ねるのが政府の狙い。日米の連携を示すことで、軍拡や海洋進出を続ける中国をけん制する思惑もある。 ただ、政府は具体的な活動内容を明らかにしていない。米艦・米機の防護は防衛省が年に一度、件数と大まかな活動のみを発表し、実施した場所や対象の兵器は非公表。集団的自衛権が行使されたことはない。

 米中間の軍事的緊張が高まる南シナ海などの海空域で防護活動をした場合、偶発的な衝突に巻き込まれる事態も懸念されるが、こうしたリスクの有無を国民が確かめることはできない。

 安保法全体の初任務が付与されたのは16年11月、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊の部隊への「駆けつけ警護」だった。現地で武装勢力に襲われた国連職員らを自衛官が助けに向かう任務だったが、1度も実施されず、陸自PKO部隊は翌17年5月に南スーダンでの活動を終えた。

 国際貢献活動を継続する観点から、19年4月からは、国連が統括しないエジプト・シナイ半島の「多国籍軍・監視団」(MFO)への陸上自衛官の派遣が開始された。

 

米、GDP2%超の防衛費要請 対中ロで同盟国に、日本0・9%

東京新聞 2020年9月18日

【ワシントン共同】エスパー米国防長官は16日、米ランド研究所で講演し、中国やロシアとの競争に備え、日本を含む全同盟国に対し防衛費を国内総生産(GDP)比2%以上に引き上げるよう要請した。

 今年の防衛白書によると、19年度の日本の防衛費はGDP比0・9%。エスパー氏は「われわれの互いの利益を保護し、安全を維持して共通の価値観を守るという目標を達成するため、防衛費を少なくともGDPの2%に引き上げるよう求める」と述べた。

 北大西洋条約機構(NATO)は米国の負担軽減へ、24年までに加盟国の防衛費をGDP比2%超にする目標を設定。達成を繰り返し要求してきた。