2020年12月2日水曜日

02- コロナ対応に失敗し続ける自公政権/医療崩壊の瀬戸際 大阪で何が

  日本がコロナの第1波、第2波で欧米のような致命的な事態に至らなかったのは、山中伸弥教授が提唱した「ファクターX」の存在に由来しています。

 それにしても安倍内閣のコロナ対応は後手後手で、第1波の結果では日本は東アジアのなかでワースト3でした。安倍政権はこのことの反省もないままに7月下旬からGo Toトラルキャンペーンを強行したのですが、その中核人物こそ菅義偉氏でした。
 それによって第2波が起き、それが十分に鎮静しない中でいまや第3波を迎えコロナ感染者が急増し、重症者や死者がそれを追う形で推移しようとしています。
 そんな中、菅政権は微調整は行うものの「Go To」キャンペーンは来年のゴールデンウイークまで続行すると明言しました。
 植草一秀氏はGo Toトラルキャンペーンは一握りの事業者に法外な利益を供与し、少数の富裕層に利益を供与し、大多数の国民に大きな迷惑を提供し、この間、必死の思いで人命救助に尽力している医療関係者、介護関係者に法外な不利益を与えるもであると、痛烈に批判しました。このまま済まされていい筈がありません。

 それとは別に、共同通信が「『医療崩壊の瀬戸際』大阪で何が 吉村知事に高まる批判」とする記事を出しました。
 東京都のコロナ感染状況は悲惨な事態に向かっていますが、大阪府人口当たりの新規感染者数や療養者数などの指標は東京を上回り、「医療崩壊」の寸前まで行っています
 その状況が一段と進んだのが、やはり、識者がなぜ連休前にGo Toトラを止めさせないのかと指摘した21日からの3連休の後でした。
 大阪府の吉村知事は、第1波の後半段階でいち早く経済活動の停止・開始の目途を定める「大阪モデル」を作成し喝采を浴びましたが、その後は、「うがい薬」騒ぎやら「大阪都」住民投票騒ぎやらで、一向に評価できる活動が伝わってきませんでした。
 特に衆人が等しく批判する中を、コロナ対応に費やすべき準備期間での時ならぬ「住民投票」にうつつを抜かしたことの責めは重大です。
 植草一秀氏のブログと共同通信の記事を紹介します。
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コロナ対応に失敗し続ける自公政権
               植草一秀の「知られざる真実」 2020年12月 1日
2020年も残すところひと月となった。
日本でコロナ感染者が初めて確認されたのが1月16日。2月3日にはダイヤモンド・プリンセスが横浜港に帰港した。
安倍内閣のコロナ対応は後手、後手に回った。
日本のコロナ被害が相対的には軽微に抑制されたのは、東アジアの特殊性による。東アジアにはコロナ感染の被害を軽微にする「ファクターX」が存在すると見られている。
9月30日にネイチャー誌に発表された論文は、ネアンデルタール人の遺伝子多様体(バリアント)を保持する人はコロナが重篤化する確率が3倍であると指摘した。このバリアントを保持する人は欧州や南アジアに多く、東アジアではほとんど存在しないという。ファクターXは特定されていないが、東アジアのコロナ被害が相対的に軽微であることはたしかだ。
しかし、日本ではコロナ感染の収束が実現していない。安倍内閣、菅内閣がGo Toトラブルキャンペーンを推進し、ウィルス拡散を推進しているためだ。

コロナ被害は相対的に軽微だが、高齢者や基礎疾患を持つ人には重篤な影響を与える。
2000人を超す死者も確認されている。
重症者への対応は特別な機材と多数の労力を必要とする。
重篤な患者に対する設備と人員には限りがあり、重大なリスクを発生させる。

中国が武漢市を封鎖したのは1月23日。
台湾政府は1月23日に武漢市からの入境禁止措置を実施した。
これに対して、安倍首相は1月24日、在中国日本大使館HPから、春節の休暇を利用して訪日することを中国国民に呼びかけた。完全なお花畑対応だった。
2月3日に帰港したダイヤモンド・プリンセスがコロナウイルスに汚染されていることが判明したが、安倍内閣は3711人の乗員乗客のうち、273人にしか検査を実施せず、全員を船内に監禁した。その結果、ダイヤモンド・プリンセスは洋上培養皿と化して、極めて深刻な被害が生み出された。

3月24日に東京五輪延期が正式に決定されるまで、安倍内閣は東京五輪の7月実施を本気で考えていた。恐るべき状況判断能力だった。
感染がまだ収束もしていない7月下旬、安倍内閣はGo Toトラブルキャンペーンの実施を強行した。その中核人物が菅義偉氏だ。
東京都は感染拡大が続いていることから、Go Toトラブルキャンペーンの始動に疑問を投げかけていた。すると、菅氏はGo Toキャンペーンに批判的な東京都を除外してGo Toトラブルキャンペーン始動を強行した。
Go Toトラベルの一時停止を誰が判断するのかについて議論が提示されているが、この事業で国が決定権をもって運営を仕切ってきたことは明白だ。
東京都を再度除外するなら、その判断は国が行うべきだろう。

人の移動変化と感染者数変動の間には約3週間のタイムラグがある。また、コロナ感染拡大には季節性もある。
7月下旬にGo Toトラブルキャンペーンを始動させたが8月は新規陽性者が減ったから因果関係がないと主張する者がいるが、あまりにも浅はかだ。Go Toトラブルキャンペーンによる人の移動拡大が3週間後の新規陽性者数拡大につながっていることは統計の検証から明白である。
10月からは東京都がGo Toトラブルキャンペーンに組み込まれた。この影響で10月下旬以降の新規陽性者数が急増したのである。

2020年はコロナに明けてコロナで幕を閉じるが、鮮明なのは、日本政府の失態だ。コロナの初期対応に完全に失敗した。東アジアの特殊性で悲劇が拡大することは回避されたが、感染収束を誘導することもできていない。
被害が軽微であっても、政府が積極的に感染を拡大させることは妥当でない。
2000人を超す死者が発生している。失わずに済む命が失われることになる。
Go Toトラブルキャンペーンは一握りの事業者に法外な利益を供与し、少数の富裕層に利益を供与し、大多数の国民に大きな迷惑を提供し、この間、必死の思いで人命救助に尽力している医療関係者、介護関係者に法外な不利益を与えるもの。
菅義偉氏は利権のことしか考えない。国民の幸福を考えずに利権拡大しか考えない者には内閣総理大臣職を務めてもらいたくない。
日本政治の大掃除が必要不可欠だ。
            (以下は有料ブログのため非公開)


「医療崩壊の瀬戸際」大阪で何が 吉村知事に高まる批判
                   47NEWS (共同通信) 2020年12月1日
 大阪府で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。人口当たりの新規感染者数や療養者数などの指標は東京を上回り、「医療崩壊」の懸念が高まる
 春の緊急事態宣言時には、全国に先駆けた対応で評価を上げた吉村洋文知事だが、今回はなぜ抑え込むことができていないのか。医療現場の声に耳を傾けると、瀬戸際に追い込まれている状況が浮かび上がった。(共同通信=大野雅仁、山本大樹)

▽「至る所でクラスター」
 「病床はほぼ埋まり、重症用は一杯の状況が続く。医療崩壊の一歩手前だ」。大阪市立総合医療センター(同市都島区)の白野倫徳医長は危機感をあらわにする。大阪府の感染症指定医療機関である同センターは、府内で感染が広がり始めた春先から感染者対応の中核を担ってきた。
 7~8月の「第2波」では、あらかじめ病床を多めに確保していたが、秋からの「第3波」は「準備をする間もなく、急激に患者が増えた」と語る。今後は一部の病棟を閉鎖してマンパワーを新型コロナ対応に集中させる方針で、綱渡りの運営が続いている状況だ。
 命に関わる重篤な疾患や外傷の患者を受け入れる3次救急医療機関でもあるが、白野医長は「新型コロナ以外の救急患者の受け入れや、急ぎでない手術は制限せざるを得ない」と苦しい内情を明かす。
 大阪府病院協会の佐々木洋会長は「介護施設など重症化リスクが高い場所だけでなく、至る所でクラスター(感染者集団)が発生している。ウイルスが持ち込まれた経路も特定できていない」と現状の危うさを指摘する。

▽後手に回った行政
 府内の新規感染者数は10月下旬から増加傾向に転じたが、府の対策には遅れが目立つ。吉村知事は11月中旬まで「一人一人が感染対策の意識を高めることが最も有効な手段」と強調し、特別な対策を取ってこなかった
 府は1日の新規感染者が370人に上った11月20日に開いた対策本部会議で、府民に対し「宴会や会食は4人以下、2時間以内」とするよう呼び掛けることを決定。ただ、北海道で始まっていた時短営業の再要請については「重症病床の使用率が50%になれば考える」(吉村氏)と慎重姿勢を崩さなかった。
 背景にあったのは経済的な影響の懸念だ。府庁内では部局間で温度差があった。医療機関との調整に当たる健康医療部は「地域や世代を問わず、感染が広がっている」と強く警鐘を鳴らしたが、政府の「Go Toキャンペーン」などで回復基調にある経済状況に冷や水を浴びさせる時短や休業の要請は「そう簡単にはできない」(府幹部)との意見に押し戻された。
 事態が急変したのは11月21日からの3連休だ。同日の新規感染者は415人、翌22日は490人と、ハイペースで過去最多の更新が続いた。吉村氏が時短営業要請の目安とした重症病床使用率は23日時点で47・6%まで上昇。府は急きょ連休明けの24日にも対策本部会議を開き、大阪市北区と中央区の飲食店などを対象に午後9時までの時短営業を要請する方針を決めた。
 記者団の取材に「病床の積み上げより重症者が増えるペースが速かった」と焦りの色を見せた吉村氏。もっと早い段階で対策を打てなかったのかと問われると「感染がどれくらい増えるかは誰にも予測できない。(判断は)難しかった」と釈明した。医療関係者からは「対応が遅すぎる」と強い批判が上がった。

▽病床使用率86・7%
 大阪府が新型コロナの重症者向けに確保している病床は最大206床。毎日公表する使用率はこれを分母にして算出している。ただ、206床の中には現在、別の傷病の患者が使っている病床も含まれており、これらを除き実際に使える病床に限定すると、11月末時点の使用率は86・7%に跳ね上がる
 とりわけ心筋梗塞や脳卒中の患者が増える冬場は、感染者向けの病床を確保するのが難しくなる。府の担当者は「重症者は新規感染者のピークより遅れて増えてくる」と語り、年末年始にかけて予断を許さない状況が続く。
 医療提供体制の逼迫を受け、府は11月下旬に吉村知事名で医療機関向けの緊急要請を出した。①新型コロナの受け入れ病院で入院・治療後、他人にうつす心配がなくなれば、最初にかかった病院に戻す ②回復傾向にある高齢者には積極的に療養病院に移ってもらう ―ことなどを呼び掛ける内容だ。それでも重症病床が足りなくなった場合は、緊急避難的に中等症の受け入れ病院で重症者を診てもらうことを検討している。

▽看護師が足りない
 府が「最後の切り札」とするのが「大阪コロナ重症センター」だ。府立病院機構が運営する「大阪急性期・総合医療センター」の敷地内にプレハブ施設を建て、新型コロナの重症者だけを受け入れる。計画している全60床のうち、第1期分の30床が11月30日に完成した。
 ただ、設備は整ったものの、患者の受け入れに必要な医療従事者は確保のめどが立っていない。重症者への対応は専門知識や経験が求められるが、全国的な感染拡大で「人材の取り合いになっている」(松井一郎大阪市長)ためだ。
 人手不足が特に深刻なのが看護師だ。大阪府看護協会の高橋弘枝会長は「元々、慢性的に不足していたところへコロナ対応が重なった。業務の激増で休職者や退職者が相次ぎ、現場の負担がさらに増す悪循環に陥っている」と説明する。
 何としてでも看護師をかき集めたい大阪府は、他府県への協力要請や、自衛隊への災害派遣要請も検討しているが、大阪府医師会の茂松茂人会長は「前から、病床は余っていても運営するスタッフが足りていないと言ってきた。ずっと議論してきたのに、慌てて対策を講じても遅い」と府の対応を批判する。

▽13%が「うつ症状」 
 現場の負担は限界を迎えている。府が5~7月、新型コロナ対応に当たる医療従事者約1200人を対象に実施した調査では、13%が「中等度以上のうつ症状」とされた。担当者は「第2波、第3波の対応を経て、もっと増えている可能性もある」と推察する。感染者対応の最前線では、多忙な業務に加え自身の感染リスクもつきまとう。府内の医療機関に勤めるある女性看護師は「一度でも院内感染が起きれば大問題になる。緊張感がずっと続いている」とため息をつく。
 看護協会の高橋会長は「防護具を着用しての活動は過酷。今なお、子どもが保育園で別室にされるといった差別に遭う人もいる」と話す。医師会の茂松会長も現場の窮状をこう訴えた。「人手がぎりぎりで夜間や休日もない。長期の対応で疲れ切っていて限界だ。このままでは救える命も救えなくなる