2020年12月24日木曜日

アベノミクス真相と超巨大財政出動(植草一秀氏)

  政治・経済学者の植草一秀氏が「アベノミクス真相と超巨大財政出動」とする文書を発表しました。有料ブログのため後半の「超巨大財政出動」の部分を詠めないのは残念なことですが、前半の「アベノミクス真相」の部分ではアベノミクスが完膚なきまでに批判されています。

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アベノミクス真相と超巨大財政出動
               植草一秀の「知られざる真実」 2020年12月23日
読者のみなさんは日本政府がどのような経済政策を実施しているのか正しくご存じだろうか。
とてつもない政策運営が行われている。
もちろん、背景にコロナがある。コロナの影響で世界経済は極めて深刻な影響を受けた。いまなお受け続けている。
年率換算で表示した日本の実質GDPは消費税の税率が8%から10%に引き上げられる前の昨年7-9月期には559兆円だった。これが本年4-6月期には501兆円に激減した。経済の大崩落と言って過言でない。
しかし、日本経済の悪化はコロナによって引き起こされたものではない
昨年10-12月期の実質GDPは549兆円に急減した。消費税増税によって不況が始動したのだ。1-3月期には546兆円にさらに減少した。

消費税増税不況が日本を襲った。政府が1年半遅れでようやく認めたように、日本経済は2018年10月を起点に景気後退期に移行していた。
安倍元首相が消費税増税を具体的に指示したのが2018年10月。ここから日本経済は景気後退期に突入した。その消費税増税不況を一気に加速させたのがコロナなのだ

第2次安倍内閣が発足したのが2012年12月。安倍内閣はアベノミクスを提唱した。
アベノミクス出発点の2013年1-3月期の実質GDPが503兆円。2020年4-6月期の実質GDPの水準はこれを下回った。
第2次安倍内閣が発足してから7年半の時間が経過して、日本の経済活動水準は元の木阿弥、出発地点以下に落ちてしまった。
11月11日に安倍元首相は「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」を発足させて会長に就任した。
この日の会合には元日銀副総裁の岩田規久男氏が講師として出席した。
安倍氏は「マクロ政策の目標は雇用なので達成したのではないか」と述べてアベノミクスが成功したと発言したが、これも虚偽発言。ウソが服をまとっているのが安倍晋三氏と言える。

コロナ対策で失態が続いて内閣支持率が急落。
二度目の政権投げ出しを演じた安倍氏がぬけぬけと議員連盟会長に就任する面の皮の厚さには脱帽するしかない。
「自分だったら1月に衆院を解散する」「敵基地攻撃能力整備は後継政権の課題」
政権運営を無神経に土足で踏み荒らし、二度目の再登板をよもや本気で考えているのではとの憶測を生む厚顔無恥ぶりを市民は奇異な目で見ている。

しかし、第2次安倍内閣発足後の日本経済の客観的評価では、落第点以外を付けようがない。
経済成長率の平均値はわずか0.4%(前期比年率実質GDP成長率の単純平均値)
日本経済が真っ暗だと言われた民主党政権時代の期間でさえ、実質GDP成長率平均値は1.6%だった。
民主党政権時代を「暗がり経済」と表現するなら、アベノミクス下の日本経済は「暗闇経済」だった。

岩田規久男氏は2013年春に日銀副総裁に就任する際に行われた国会同意人事審議で、2年以内にインフレ率を2%以上に引き上げることができなければ辞職して責任を明らかにすることが一番わかりやすいと述べた
インフレ率がもっとも上昇した局面でも1%強の水準にとどまり、前年比2%を超えたことはただの一度もない
現在もインフレ率は前年比マイナスの「デフレ」の状態に位置している。それでも岩田氏は副総裁を辞職せず、5年間も副総裁の椅子に居座った

国民にとって最重要の経済指標は一人当たり実質賃金の推移。これが庶民の暮らしぶりそのものを示す
本給、時間外賃金、ボーナスをすべて合計した「現金給与総額」の実質指数推移を見ると、2013年夏から2020年夏までの7年間に、なんと8%も減った。
世界最悪の賃金下落率と言って過言でない。
日本経済と庶民の生活をボロボロにしたのがアベノミクス。
そのアベノミクスを指揮した安倍首相が「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」会長に就任したというのは驚きを超えて喜劇である。

本題に話を戻す。
このなかで今、日本政府はとてつもない経済政策を実施しているが、これまた利権の塊で庶民の生活を支えるものになっていない。
こんな政治が続くのでは圧倒的多数の国民は不幸のどん底に落とされる。
この事実を正確に認識しなければならない。
            (以下は有料ブログのため非公開)