2020年12月6日日曜日

PCR検査を断られた男性、死後に陽性判明…妻「入院できたら夫は助かった」

  単身赴任していた金沢大学の准教授の男性が、自宅療養中に39度台の発熱があっため21日に医療機関を受診したところ、インフルエンザの検査は陰性でコロナではないと言われました(処方されました)。男性にはぜんそくの疾患があったのでそのことは医師に伝えられていたと思います

 男性はそれでも不安だったため同日、石川発熱患者等受診相談センターに電話してPCR検査を受けたいと伝えましたが、「かかりつけ医の判断がなければ検査は受けられない」と告げられまし
 通院後熱は37度台に下がったもののせきやのどの痛みが出たため、3連休明けの24日に同じ医療機関を再受診しました。
 ところが25日以降 奥さんがメールなどを送っても返信がなくなり、26日に大学の職員が自宅を訪れると既に死亡していました。死後、コロナに感染していたことが分かりました。
 21日の時点で、医療機関側が(従って保健所側が)コロナの疑いを持っていたら違った展開になっていた可能性があります。奥さんが「検査が間に合い入院できたら、夫は助かった」と悲しんだのは当然のことです。
 男性は生物工学専門で、遺伝情報など膨大な数値データを解析する分野で優秀な若手に研究費を助成する文部科学省の「卓越研究員」に選ばれていまし
 東京新聞が報じました。

 第1波の時もそうでしたが、亡くなった人たちの中にはこの男性の様に、コロナの検査が受けられないことに起因して亡くなった人も多いことと思われます。国がいまだにPCR検査規模を諸外国に比べて桁外れに絞っている結果が、この悲劇を生み出したのは明らかです。
 これでは人非人の政権と恨まれても仕方がありません。
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PCR検査を断られた男性、死後に陽性判明…妻「入院できたら夫は助かった」
                          東京新聞 2020年12月5日
 死後に新型コロナウイルス感染が確認されたとして、石川県が11月27日に発表した金沢市の男性は、県発熱患者等受診相談センターに電話してPCR検査を希望したが受けられなかったことが、本紙の取材で分かった。男性には、ぜんそくの疾患があったという。(堀井聡子)
 この男性は金沢大薬学系准教授の高橋広夫さん=享年42。妻(43)や知人の話では、高橋さんの自宅は県外にあり、金沢市内に単身赴任していた。11月16日に強い倦怠感があり、自宅療養中の20日には39度台の発熱があった。21日に医療機関を受診したところ、インフルエンザの検査は陰性で、薬を処方された。
 本人は「近くの医院」と話していたという。妻や知人とのメール記録によると、高橋さんは21日、県発熱患者等受診相談センターに電話してPCR検査を受けたいと伝えたが、「かかりつけ医の判断がなければ検査は受けられない」と告げられたという。
 通院後、熱は37度台に下がったが、せきやのどの痛みが出たため、3連休明けの24日に同じ医療機関を再受診した。25日朝、妻がチャットでメッセージを送ったが返信がなかった。何度電話してもつながらなかったため、知人を通じて金沢大に連絡。26日に職員が自宅を訪れると、既に死亡していた
 その後、保健所によるPCR検査で陽性が判明した。死亡を証明する死体検案書によると、死因は「不詳の内因死(病死)」。直接死因に関係しないが、影響を及ぼした傷病名として「COVID―19(新型コロナ)陽性」と記されていた。
 妻は本紙の取材に、高橋さんがPCR検査を受けられなかったことに「検査が間に合い入院できたら、夫は助かった」と悔やんだ。さらに「検査するかどうかの判断が、医師に限られていることは良くない。ちょっとでも具合が悪いと思ったら、すぐ検査を受けられるようにしてほしい」と訴えた。高橋さんは24日、妻に「自宅近くの医院で、コロナではないと言われた」とのメッセージを残していたが、医療機関名は告げていなかった。
 厚生労働省はぜんそくについて、コロナの重症化リスク因子に入れていないが、医師によると、コロナでぜんそくが悪化する可能性があるため、一般の人より慎重な診察が求められるという。
 高橋さんは生物工学が専門。中でも遺伝情報など膨大な数値データを解析する分野で、優秀な若手に研究費を助成する文部科学省の「卓越研究員」に選ばれていた。妻は「とても明るく、いつも全力で頑張る前向きな人。家族のことも大好きでした」としのんだ。

◆石川県「検査は医師の判断必要」
 高橋さんが受診相談センターにPCR検査を希望していたことについて、県健康推進課の相川広一課長は「個別の案件は把握していない」とし、「センターは通常通り対応した。検査するかは患者を診た医師が判断することだ」と話した。