安倍前首相は25日、衆参両院の議院運営委員会で、「桜」前夜祭を巡る首相在任中の国会答弁について「事実に反するものがあった。国民の信頼を傷つけた」と陳謝しました。
参加者の費用を補填していたことは認めましたが、自分が不起訴になったことを理由に地元有権者への利益供与(公職選挙法違反)は否定しました。
費用補填の原資に関しては、事務所が管理する自身の私費だったが、一時的な立て替え払いにすぎず、夕食会の会費収入を上回る部分は会場使用料などに充てたとして、「会場費は利益供与に当たらないという総務省の見解がある」と強弁しました。それに対して共産党の田村智子参院議員は「会場費は限定的だ」と反論しました(東京新聞)。
ホテルの明細書については「隠す理由は何もない」としながら、ホテルへの再発行依頼は拒否しました。明細書が提出されれば疑惑の大半は解決するのに、それを拒むのは不思議なことで疚しいことがあるからとしか考えられません。
安倍氏は議員辞職の考えがないことを明言し、委員会後に記者団に「説明責任を果たすことができた」、「次期衆院選に出馬して国民の信を問いたい」と述べました。全てを秘書のせいにすることで乗り切れると考えているようです。
野党は疑惑がさらに深まったとして、来年1月召集の通常国会で安倍氏の証人喚問を求める方針です。
共産党からは宮本徹衆院議員、田村智子参院議員が質問にたちました。別掲記事の通りLITERAは田村氏の質問は今委員会の「ハイライト」であったと称賛しています。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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都合により28日・29日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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前夜祭 疑惑深まる 安倍前首相 秘書に責任押し付け 衆参議運委 野党「喚問必要」
しんぶん赤旗 2020年12月26日
安倍晋三前首相は25日、衆参両議院運営委員会に出席し、「桜を見る会」前夜祭の費用補填(ほてん)をめぐる自身の国会答弁について「結果として事実に反するものがあった」と虚偽であったことを認めました。安倍氏は「改めて事実関係を説明し、答弁を正したい」と述べましたが、自身に都合よく秘書に責任を押し付けました。野党は「疑念は晴れるどころか、ますます深まった」として安倍氏の証人喚問を求めました。
宮本・田村氏が追及
安倍氏は「開催費用の一部を後援会として支出していたにもかかわらず、それを(政治資金収支報告書に)記載しなかったとの事実が判明した」と述べ、前夜祭の費用負担を否定してきた自身の国会答弁が虚偽であったことを認めました。しかし、「会計処理は私が知らない中で行われていたことだ」として自身の関与は全否定し、秘書に全責任を押し付けました。
日本共産党からは宮本徹衆院議員、田村智子参院議員が質問にたちました。
宮本氏は、「桜を見る会」前夜祭の安倍氏側の費用補填について、2013年は政治資金収支報告書に記載があるのに14年分以降は記載がないことをあげ、「多額の補填は『不適切な支出』と指摘されるのはまずいと考え、隠蔽(いんぺい)のために不記載にしたのではないか」と追及。「有権者への利益供与は政治家として許されない行為だ」とただしました。
安倍氏は「(秘書と)接触し、話を聞くことができない」と答弁を拒否。「総理大臣だから利益供与して選挙で当選しなければならない立場ではない」などと開き直りました。
田村氏は、前夜祭は「桜を見る会」とセットで地元有権者をもてなしするものではなかったのかと追及。安倍氏側の前夜祭の費用補填は、政治資金収支報告書では“宴会料”となっており、地元の後援会員らを接待した寄付行為に当たるとして、その原資を明らかにするよう迫りました。
安倍氏は「(ホテルとの契約)主体は安倍晋三後援会」としながら、「私が預ける共有資金の中から立て替えた」と答弁。田村氏は原資がわかる資料を提示するよう求めましたが、安倍氏は答弁に立たず、答えませんでした。田村氏は「何一つ事実は明らかになっていない」と厳しく批判し、安倍氏の証人喚問を求めました。
訂正・謝罪 形だけ 安倍前首相答弁 田村政策委員長が会見
しんぶん赤旗 2020年12月26日
日本共産党の田村智子政策委員長は25日、国会内で記者会見し、自身も質問に立った衆参両院の議院運営委員会での安倍晋三前首相の答弁について、「検察の捜査の結果、安倍晋三後援会の政治資金収支報告書を訂正しなければならなくなり、それに合わせて形だけの答弁の訂正と形だけの謝罪を行ったにすぎない。あんな説明で誰が納得できるのか」と批判しました。
田村氏は、「事実と異なる答弁」を「訂正したい」との安倍氏の申し出による質疑だったが、「答弁のどこが事実と異なり、何が事実で、どう訂正するのかはほとんど何も語られていないに等しい」と批判しました。
その上で、安倍氏がホテルの領収書は「晋和会」(安倍氏の資金管理団体)宛てだったと認めたことについて、安倍氏は従来、「個々の参加者」が契約者だと言い張っていたが、「実態としては安倍氏が代表者たる晋和会が主催者・契約者そのものだった」と強調。これにより「資金の出どころが新たな疑問点になった」と語りました。
安倍氏が24日の会見では補填(ほてん)の原資は「自分の預金」と述べながら、質疑では「立て替え」だと言い換えたことについて、田村氏は「誰が負担すべきものを立て替えたのかと質問したが、このシンプルな質問に即答できなかった」と強調。私費による支出なら、有権者への利益供与になると指摘しました。
その上で、前夜祭の疑惑は「桜を見る会」とセットだと指摘。招待者決定への安倍氏側の関与も含めた全貌解明のために、予算委員会で再質問すべきだと主張しました。