菅首相が14日、突如「Go Toトラベル」の一時停止を表明したことに、二階氏が激怒したようです。「Go Toトラベル」が二階氏の利権に直結するものであることは知られていたことですが、何とも分かりやすい話です。
何しろ菅首相は13日まではまったく「Go To」を中止する考えがなく、14日のNHKの世論調査の結果を見て急遽中止を打ち出したのですから、二階氏に何も連絡しないで決めたのはその通りでしょう。
しかし本当に「Go To」がコロナ感染拡大と無関係だと考えて菅氏は走り出したのでしょうか。そうだとしたら愚かすぎるし、感染拡大を承知で走り出したのであれば犯罪的です。
週刊朝日オンライン記事を紹介します。
併せて日刊ゲンダイの「この政権は統治能力を失っている 無能政権に日本全国で反乱ののろし」とする記事を紹介します。
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菅首相に二階派が激怒「もう次はないぞ!」自民党内で根回しせず、Go To中止
週刊朝日オンライン限定記事 2020.12.15
「なんで急に中止なんだ。どうなっているんだ!」
こう声を荒げたのは、二階派の幹部だ。菅義偉首相は12月14日、官房長官時代から推進してきた新型コロナの経済対策新型コロナウイルスの感染拡大が急増。専門家の意見を尊重した結果の判断だという。
「菅首相は、12、13日まではまったくGo Toトラベルを止める意思はなかった。菅首相は頑固なところがあり、自分が旗振り役の政策を突然、止めるなんて考えは持っていなかった。だが、毎日新聞の世論調査で、支持40%、不支持49%と不支持が上回った。支持が17%も前月から急落し、昨日発表されたNHKの世論調査でも支持が42.2ポイントと、前月から14ポイントも激減。不支持が36ポイントで前月から17ポイントも急増し、決断せざるを得なかった」
自民党幹部は、Go Toトラベル一時停止の内幕を語る。
「菅首相は、コロナ急増でもさほど世論調査の数字は変わらないとみていた。それがNHKでも急落し、毎日新聞に至っては、不支持が支持を9%も上回った。コロナ対策については、毎日新聞では評価しないが、3倍以上も評価するより多かった。Go Toトラベルの中止を求める数字も高かった。まだ就任して3か月の菅首相は安倍前首相の時に、ここまで乱高下したことはなかった。『大変厳しい世論調査になっているな』『手を打たねば』といい、すぐに決断。頑固さを突き通せなかった。ただ、決断があまりに急だったので、各方面への十分な根回しができなかった。それが党の不満につながっている」
党内への根回しの不十分さが、冒頭に記述した二階派幹部の不満を招いたというのだ。二階俊博幹事長はGo Toトラベルで恩恵が多い、旅行業界の業界団体、全国旅行業協会の会長を務めている。菅首相ともに、Go Toトラベルの旗振り役だった。
「Go Toトラベルがどれだけ旅行業界に寄与していたのが、菅首相はわかっているのか。救われた旅行業界、ホテル、お土産店、交通関連の会社などがどれだけあるのか知っているのか。それも一番の稼ぎ時、年末年始には全国で停止。どれだけ多くの人が頭を抱えているのかわかっているのか。中止なら、業界への金銭的支援策とセットでやるべきだ。なんのバックアップも発表せずに、中止だなんて、二階幹事長の顔に泥を塗るようなものだ。『誰のおかげで総理になれたんだ』『もう次はないぞ』と派閥から強硬意見も飛び出した」(前出の二階派幹部)
一方、菅首相と“すきま風”もささやかれる、麻生派の衆院議員は冷ややかに党内の状況をこう話す。
「自衛隊まで出動してコロナは災害になっている。そんなときにGo Toトラベルで税金投入して、旅行してくれというのもおかしなこと。菅首相が二階幹事長の意向を気にしすぎて、ズルズルと先延ばしした結果、コロナ感染拡大、医療体制ひっ迫でしょう。おまけに菅首相は、記者会見も十分に開かず、説明も不十分だから、支持率激減は当然のことですよ。この状態があと1、2か月続けば、来年秋の自民党総裁選、衆院解散の期限まで菅首相は持たない。コロナ退陣となりかねない。『ポスト菅は誰か』などと模索する動きもあります。『やはり安倍さんがよかった』との声が聞かれますね」
菅首相誕生の最大の功労者、二階派だけでなく、支援した麻生派からも厳しい声が相次ぐ。コロナ禍で解散総選挙は極めて難しい情勢で四面楚歌に陥りつつある、菅首相。難局を切り抜けられるのか? (本誌取材班)
この政権は統治能力を失っている 無能政権に日本全国で反乱ののろし
日刊ゲンダイ 2020 年 12 月 14 日
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「下落は一時的なものだ。右往左往してはいけない」
首相に近い自民党幹部からこんな声が出るほど、支持率の急落に政権が動揺しているという。
毎日新聞が12日実施した世論調査は、菅内閣の支持率が40%となり、前回(11月7日)の57%から17ポイントもの大幅下落となった。一方、不支持率は49%で、前回の36%から13ポイントのアップ。支持と不支持も逆転した。新型コロナウイルス対策への無策が原因になったのは確実で、菅政権のコロナ対策を「評価する」はわずか14%。前回の34%から20ポイントも下がった。「評価しない」は62%で、前回27%から急上昇だ。
感染拡大に何の手も打たず、そのくせ「Go Toトラベル」継続には、「Go Toが感染原因となるエビデンスはない」とエビデンスを示さず非科学的な頑迷固陋。国民が苛立ち、呆れるのは当然で、支持率急落は、無能政権に対し日本全国で反乱ののろしが上がったということだ。幹部が今さら動揺とは、それこそ世論と政権の意識がいかに乖離しているかの証左である。
「政権発足3カ月で支持と不支持が逆転するのは異例のことです。支持率は30%台突入が視野に入ってきました。世論は『菅首相は叩き上げをアピールしていたけれど、庶民感覚を分かっていない』と落胆し、強い不信感を抱いている。時に『頑固に貫き通す』のは長所になることもありますが、失政となって逆回転すると、頑迷は欠点としか見られません」(政治評論家・野上忠興氏)
事実上、感染拡大を放置
「Go Toトラベル悪者論」が世論の多数派となる現状に、ようやく菅も焦ってきたのか、週末、東京都と名古屋市もトラベル事業の一時停止対象とすることを検討し始めた。
13日の日曜、菅、西村経済再生相、田村厚労相が官邸に集まり、都や愛知県との調整が行われた。14日、政府は対策本部を開き、最終的な対応を決定する。
焦点は「Go To」の“主役”である東京都の扱いだが、札幌市と大阪市同様に、東京都や名古屋市を目的地とすることを一時停止し、出発については自粛で調整されているようだ。
しかし、全国一斉の停止ではないし、あくまで自粛。飲食店などの営業時間短縮もそうだが、政府や自治体の呼びかけが、果たしてどれほど効果があるものなのか。それは、ここまでの菅政権のコロナ対策が支離滅裂だからだ。
「勝負の3週間」として集中的な感染防止を国民に要請しながら、その一方で「Go Toトラベル」の6月末までの延長を決め、予備費から3000億円超を支出するのが菅政権なのである。旅行を推奨しているのだから、感染防止要請に説得力はなく、「自粛だし、外出したっていいよね」となっておかしくない。
実際、この2週間、都市部の人出はちっとも減っていない。東京の新宿・歌舞伎町や札幌・すすきのなど、「勝負の3週間」の最初の週末の人出こそ微減だったものの、次の週末は微増に転じてしまった。12日は全国主要駅や繁華街の全95地点のうち約7割で前週より増加していた。国民がまともに政府の警告に耳を貸さなくなっているのだ。
経済評論家の斎藤満氏がこう話す。
「政府は言っていることとやっていることが違うので、誰も言うことを聞かなくなりますよ。医師会などが示す強い危機感を共有すると言いながら、積極的な感染防止対策を取っていない。20~50代の移動が感染拡大の要因になっている可能性が高いというのに、トラベル事業を続けているのは、事実上、感染拡大を放置しているようなものです。自粛にとどめていることも、多少ならば動いてもいいという誤ったメッセージになっています」
命を軽視し、税金を死に金にして浪費
菅は11日に出演したニコニコ生放送の番組で、コロナ対策で経済を回すことにこだわる理由を「命と暮らしを守る」「経済が悪くなると、暮らしも雇用も守れなくなる」と強調していた。
確かに自殺者の増加が止まらない。11月まで前年同月比で5カ月連続して増えていて、コロナ禍での生活苦や将来不安などが影響していると推測される。
菅が国民の命と暮らしを守りたいならば、なおさら、大手旅行代理店ばかりが潤い、金持ちの物見遊山に利用される「Go To」より、困っている人に給付金を出すなどの直接支援の方が意味があるのではないか。「Go To」をやめたら経済が冷え込むと言うなら、大手だけじゃなく中小・零細にも行き渡る給付金を手当てすればいい。7兆円も残っている予備費をどうして使わないのか。
「Go Toイート」にしても登録しているのは飲食店全体の3分の1に過ぎない“欠陥事業”だ。オンライン予約には10社を超える予約サイトが参加していたから、登録店が重複しているのは確実で、恩恵を受けられない飲食店が山ほどあったのは間違いない
そのうえ飲食店は時短要請を受け入れても、40万円や50万円ぽっきりの協力金しかもらえず、後は自助でよろしく。それも自治体に責任丸投げで、政府は涼しい顔をしているのだから、たちが悪い。
「菅政権が『Go To』に固執するのは、観光業界のためだけでなく、二階幹事長や利権に群がる連中に忖度しているからなのではないですか。そう疑いたくなるほど、命を軽視した政策が継続され、本当に困っている人が救済されない。“死に金”が浪費されている状況です。こんな無能力政権には、早く辞めてもらうしかありません。これから年末にかけ、一番怖いのは医療崩壊です。いざという時に病院で何とかしてもらえる、という安心感が大事なのに、通常でも医者が少なくなる年末年始に、ここまで重症者が増えれば、命の不安に陥れられる人が増えかねません」(斎藤満氏=前出)
届かない医療支援にも他人事
医療従事者も限界だ。春以降、休む間もなく第2波、第3波と続き、差別にさらされながらも使命感で働き続けてきた。むろん、「Go To」などとは無縁の生活を送っている。それなのに、日本医労連によれば、今冬のボーナスは4割超の医療機関で、昨年よりも今夏よりも減額。医療従事者の心中察するにあまりある。
ボーナスカットは受診控えなどで病院経営が悪化しているからだが、政府が緊急包括支援交付金として3兆円を支出済みの医療支援は、まだ6000億円分しか医療機関に届いていない。あまりに遅い。遅すぎる。
この問題について、菅は11日の番組で質問されると、「1日でも早くお届けできるようにしたい」と、反省なく他人事のような回答だったからア然だ。
一般企業でも冬のボーナスカットは、2008年のリーマン・ショック以来の減額幅。もはや錯乱としか言いようがない政府のコロナ対策の無策無能には、医療従事者だけでなく、庶民の怒りもふつふつと湧き上がってきている。
「自民党議員が地元のシニアクラブに挨拶に行ったら、『コロナで命の危険にさらされているうえに医療費は2倍なんて、俺たちに死ねということなのか』と叱られたそうです。身近な問題には世論は敏感です。デジタル化や携帯料金値下げは小手先の手法だと、すっかり国民に見破られた。内閣支持率はもっと下がるでしょう。来年10月までに必ず衆院選が行われますから、『菅首相では選挙を戦えない』という空気が自民党内に広がる可能性もあります」(野上忠興氏=前出)
この政権に統治能力がないことはハッキリした。このままコロナ対策を任せていたら未曽有の混乱になりかねない。菅政権に退陣要求を突きつける国民が、ますます増えていくだろう。