2020年12月24日木曜日

公設秘書は前首相を騙し、国会で虚偽答弁をさせた「大悪人」なのか

  東京地検特捜部は21日に安倍晋三氏の聴取を行ったものの、安倍氏は不起訴公設第一秘書が略式起訴の見通しであるマスコミが伝えました。

 立民党川内博史議員の要求で衆院調査局が行った調査によれば、1911月~203月までの計33回の衆参本会議や委員会において、安倍氏は事実と異なる答弁を少なくとも118回繰り返していたことが明らかにされました。
「『ホテルから領収書は貰っていない』『費用の補填はしていない』と秘書から聞いていた」などという子供じみた弁解が虚偽であることは、まともな特捜検事であればたやすく見抜ける筈なのに、安倍氏の「何も知らなかった」という虚偽説明を丸呑みしたのは、最初からそういう「事情聴取」にするよう「調整」が行われたのではないかと、郷原信郎弁護士は見ています
 そうでなければ毎年「桜」の前夜祭で費用を独断で補填し政治資金収支報告書に記載しないという「犯罪」を独断で行、それについて安倍氏から説明を求められても虚偽説明をし総理大臣に国会で数えきれない程の回数の虚偽答弁をさせたことになる公設秘書が、罰金刑で済まされるわけがないとも述べています
 特捜部の姿勢は不可解というしかありません。
 ブログ「郷原信郎が斬る」を紹介します。
 併せてしんぶん赤旗の記事「繰り返された虚偽答弁 安倍氏の証人喚問を 『桜』前夜祭問題 小池氏会見」および「安倍氏虚偽答弁118回 『桜』前夜祭問題 衆院調査局明らかに」を紹介します。
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安倍氏公設秘書は、虚偽説明をして首相に「虚偽答弁」をさせた「大悪人」なのか
                         郷原信郎が斬る 2020/12/23
「桜を見る会」前夜祭における費用補填をめぐる問題で、東京地検特捜部が安倍晋三前首相本人から事情聴取する方向で「調整している」と報じられ、安倍氏が、衆院議員会館の事務所前で記者団に「聞いていない」と語ったと伝えられた時点で【「安倍前首相聴取」が“被疑者取調べ”でなければならない理由】と題する記事を投稿した。そこでは、その「調整」が、単なる時期の問題だけではなく、「被疑者としての取調べ」なのか、「参考人」としての事実確認」なのかが、聴取を行うことの意味自体に関わる重大な問題であることを指摘した。
12月21日に安倍氏の聴取が行われたこと、安倍氏の公設第一秘書が略式起訴の見通し、安倍氏は不起訴の見通しであることが、昨日、マスコミ各社で報じられた。
この報道では、
「政治資金規正法違反(不記載)容疑などで告発された安倍氏本人から任意で事情聴
取した」
とされ、刑事処分についての「不起訴」という言葉も使われており、それらからすれば、「被疑者としての取調べ」のように思われる。
しかし、安倍氏に対して、黙秘権を告知した上で、その嫌疑について問い質すという本来の意味の「被疑者としての取調べ」が行われたのかどうか、この点は、検察への国民の信頼に関わる問題であるだけに、マスコミ各社は、検察当局からの十分な確認を行う必要がある。

前記記事でも述べたように、安倍氏が、国会で数限りなく吐き続けてきた「虚言」は、誰が考えてもウソだとわかる、子供じみたものだ。被疑者の取調べにおいて、安倍氏が、「費用の補填は知らなかった」などと弁解をしても、その不合理性、矛盾点を衝く「追及」を行って、「嘘」であることを認めさせることは、まともな特捜検事であれば、「いともたやすいこと」のように思える。
そこで、改めて確認する必要があるのは、安倍氏の聴取に関して行われていたとされる「調整」の中身だ。安倍氏を、単独で「特捜検事による追及」にさらすということであれば、真実を供述させられるリスクが極めて大きい。そこで、最初から、リスクをなくした上での「事情聴取」にするよう「調整」が行われたのではないか
前首相だから、不合理な弁解に対しても、最初から追及すらしないという「大甘な」取扱いをしたとすれば、国民は到底納得しないであろう。

いずれにせよ、この「桜を見る会」前夜祭問題についての検察の捜査が終結し、刑事処分が決着すれば、安倍氏は、これまで、国会で「虚偽答弁」を重ねてきたことについて、国会で説明を行うことになる。
自民党内には、それを「非公開での安倍氏からの一方的な説明」で終わらせようとする動きがあるようだが、全く論外だ。国会の公開の場で、野党の質問に対して堂々と虚偽答弁をしていたのであるから、同様に、国会の公開の場で、野党の質問に対して、虚偽答弁についての弁明を行うのが当然だ。

しかし、安倍氏の説明が、たちどころに破綻することは必至だ。
もし、安倍氏が、費用補填を知らなかったとすると、実際には費用補填をしていたのに、安倍氏に対しては費用補填していないとの虚偽説明が行われていたことになる。それを、公設第一秘書が独断で行ったというのだろうか。
もし、そうだとすれば、毎年、「桜を見る会」の前夜祭で費用を補填していたのに、政治資金収支報告書に記載しないという「犯罪」を独断で行っていた秘書が、それについて安倍氏から説明を求められ、自己の犯罪発覚を免れるために虚偽説明をし、総理大臣に国会で数えきれない程の回数の虚偽答弁をさせたことになる。国会議員の公設秘書としてあるまじき行いをした大悪人であり、「憲政史上、最低・最悪の公設秘書」だったことになる
そうであれば、その秘書を、国会で証人喚問、最低でも、参考人招致をして、なぜ、そのような、総理大臣に虚偽答弁させるという、秘書にあるまじき行為に及んだのかを説明させるのが当然だ(一般的には、議員秘書には直接説明を求めないというのがルールのようだが、それは、秘書が議員の指示に忠実に従うことが前提であり、独断で総理大臣に虚偽説明をして国会で虚偽答弁をさせた秘書の場合には、そのようなルールは適用されない)。

もちろん、虚偽説明をされたことを知った、「被害者」の安倍氏は、総理大臣としての重大な汚点となる虚偽答弁をさせた秘書に対して、「激怒」するのが当然だ。厳正な対応をすることになるはずだ。
公設秘書の身分はもともと極めて不安定なもので、当該国会議員が「解職届」を議長に提出するだけで、ただちに解雇される。公務員でありながら、公務員一般に適用される「懲戒免職」もない。それだけに、もし、独断で「虚偽説明」をして総理大臣に国会で虚偽答弁させたのであれば、そのような重大な職務義務違反をした公設秘書に対して、安倍氏はどのような対応をするのであろうか。
しかし、以上のことは、すべて「公設秘書が独断で安倍氏に虚偽説明をして国会で虚偽答弁させた」ということが前提だ。
問題は、果たして、その前提自体が正しいのかどうかだ。
そういう前提であれば、そもそも、公設秘書の処分も、略式起訴・罰金で済まされるはずはない。前夜祭の費用補填を独断で行い、それについて収支報告書不記載の罪を犯し、費用補填について安倍氏から質問されても虚偽説明をして安倍首相に国会で虚偽答弁させ、その後に、今年春に、安倍晋三後援会の収支報告書を提出に当たって、独断で、重ねて不記載の報告書を、安倍氏に無断で提出したということであり、犯罪の情状として最悪である。犯罪の隠蔽のために重ねて不記載罪を犯したのであれば、その総額が3000万円程度であっても、罰金刑で済まされるわけがない。
逆に言えば、もし、略式起訴で罰金刑で済まされるのであれば、検察も、収支報告書の不記載罪は、秘書の独断の「単独犯」ではないと判断していると見ることもできる

私は、昨年11月の記事【「桜を見る会」前夜祭、安倍首相説明の「詰み」を盤面解説】で、「桜を見る会」問題に関して、違法行為を否定する説明が「詰んでいる」として、安倍首相が「説明不能」の状況に陥っていることを指摘した。それ以降、安倍首相は、「詰み」に「詰み」に、「詰み」を重ねてきた。検察を巻き込み、公設秘書を「大悪人」に仕立て上げ、さらに嘘を重ねるのであろうか。


繰り返された虚偽答弁 安倍氏の証人喚問を 「桜」前夜祭問題 小池氏会見
                      しんぶん赤旗 2020年12月23日
 日本共産党の小池晃書記局長は22日、国会内で記者会見し、「桜を見る会」前夜祭問題にかかわって、安倍晋三前首相が東京地検特捜部から任意の事情聴取を受けたとの報道について、「7年8カ月にわたって首相を務めてきた人物が捜査当局から聴取を受けたという事実は極めて重大だ」として、安倍氏の証人喚問を求めました。
 小池氏は、衆院調査局の調べで、安倍氏が国会で「事務所は関与していない」「明細書はない」「差額は補填(ほてん)していない」など事実と異なる答弁を118回繰り返していたことが明らかになったと指摘。「証人喚問で虚偽答弁問題を明らかにする必要性がいよいよ強まった」と主張しました。
 小池氏は与党が非公開の議院運営委員会理事会での招致を主張していることについて、「言語道断だ。証人喚問に反対するのであれば自民党も安倍氏の虚偽答弁を是認したことになる」と批判。「うそをついたら偽証罪に問われる証人喚問で真実を語るのが、政治家として安倍氏が取る態度だ」と主張しました。

 小池氏は安倍氏が補填の事実について秘書から聞いていなかったと述べていることについて、野党が国会でANAインターコンチネンタルホテルが明細書を発行した事実など、安倍事務所側の補填について繰り返し問いただしてきたことをあげ、「解明する責任は安倍氏に間違いなくある」と指摘。秘書に責任を押し付けることは許されないとして、「一問一答の公開の場で問いただしていく必要がある」と強調しました。


安倍氏虚偽答弁118回 「桜」前夜祭問題 衆院調査局明らかに
                       しんぶん赤旗 2020年12月23日
 「桜を見る会」の前夜祭の費用を安倍晋三前首相側が補填(ほてん)していた問題をめぐり、安倍氏が国会で事実と異なる答弁を少なくとも118回繰り返していたことが、衆院調査局の調査(21日発表)で明らかになりました。
 調査は立憲民主党が同局に依頼し、結果を公表したものです。2019年11月~20年3月までの計33回の衆参本会議や委員会での答弁を対象としています。
 内訳は、「事務所は関与していない」との趣旨の答弁が70回、「明細書はない」との趣旨が20回、「差額は補てんしていない」との趣旨が28回で、計118回に上りました。
 「桜を見る会」前夜祭問題をめぐっては、東京地検特捜部が22日までに、政治資金規正法違反容疑などで告発された安倍氏本人から任意で事情聴取をしたと報じられています。
 野党は、安倍氏のこれまでの答弁は虚偽であり、安倍氏本人が国会で説明する責任があるとして衆参予算委員会での証人喚問を求めています。