2020年12月14日月曜日

利権の利権による利権のためのGo To(植草一秀氏)

利権の利権による利権のためのGo To(植草一秀氏)

 日本は第1波の時からコロナ対策では世界の劣等国でした。ただ幸いなことに東アジアの人たちには「ファクターX」と言われるものがあったため欧米のような決定的破綻は来たしませんでした。安倍前首相がそれをあたかも自分の手柄の様に誇ったのはご承知の通りです。
 それを漫然と引き継いだ菅政権が第3波を迎える中で、対策上の無為無策に留まらずに分科会や医師会の指摘を無視して「Go To」に走った結果、いまや東アジアのなかでは突出してコロナが蔓延する事態となりました。
 なぜ専門家の意見や要望に耳を傾けられないのか、なぜいまだに「4千万泊に対してコロナ感染が数百例」などという世迷いごとを平気で口にできるのか。
 考えられるのはよほど頭が悪いかあるいは頑固なのかですが多分その両方でしょう。

 経済を回すことの必要性は国民の方がより切実に感じています。そのためには何よりもコロナの感染防止策が必要で、具体的な対策を講じないでひたすら「Go To」に走りコロナを蔓延させるのでは、国民から愛想をつかされるのは当たり前です
 植草一秀氏が「利権の利権による利権のためのGo To」とする記事を出し、菅・二階コンビの利権体質を批判しました。
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利権の利権による利権のためのGo To
                               植草一秀の「知られざる真実」 2020年12月13日
Go Toトラブルキャンペーンがコロナ感染拡大の主因になっていることは明白だ。
筆者はアップル社が公開している人の移動指数を用いて新規陽性者数との比較を示してきた。

 人の移動指数の変化と3週間後の新規陽性者数変化が連動している。 

人の移動によってウイルスが運ばれる。人の移動が拡大すれば、連動して会食等の機会も増加する。このことから、感染を抑止するには人の移動を抑止することが重要になる。
Go Toトラブルキャンペーンは政府が補助金を出して人の移動を促進するもの。その結果として、いま感染拡大が進行している
感染拡大、縮小に影響を与えるもうひとつの要因が季節性。
気温と湿度の高い夏期は感染が抑制されやすい。
逆に、気温と湿度が低い冬期に感染が拡大しやすい。この影響が加味される。

日本はいま本格的な冬に移行しつつある。今には強い寒波の到来も予想されている。
厳しい寒さが到来すれば、ドアや窓を開けての換気を行うことが難しくなる。
Go Toトラブルキャンペーンを一時停止することは当然の対応だ。
ところが菅義偉氏がGo Toトラブルキャンペーンに固執している。
ごく一部で運用の停止を行っているが、枝葉の部分だけ。
警戒されるのは感染が急拡大している大都市から人が全国各地に移動して感染が拡大すること。現に日本全国に感染が急激に拡大している。
したがって、Go Toを見直す場合に最重要になるのは、大都市を出発地とする旅行を一時停止することだ。
地方から大都市に人が移動してウイルスを持ち帰ることも考えられるから、大都市を目的地とする旅行も一時停止する必要がある

ところが、菅内閣はGo Toの一時停止に際して、大都市を目的地とする旅行のみを一時停止としている。大都市を出発地とする旅行は高齢者、基礎疾患を持つ人に限って「自粛を要請」しているだけだ。
「自粛を要請」では効果が限定される。
菅内閣が大都市を出発地とする旅行を一時停止しないのは、菅義偉氏が日本全国の観光地の有力観光事業者とつながっているから。これが利権の源泉になっている
感染拡大抑止よりも利権が優先されている。菅義偉内閣の利権体質が如実に表れている。

菅内閣の感染促進姿勢に対する批判が急速に高まっている。医療逼迫が叫ばれるなか、大多数の国民は、政府に対して、感染抑止を優先するべきと判断している。
日本での被害実態は、国際比較上は軽微である。被害が軽微である東アジアのなかで日本の実態は著しく悪いのは政府の対応のまずさが理由だ。
日本におけるコロナ対応は不安と恐怖を煽りすぎているものと判断されるが、その主因になっている事情が第2類相当プラスαの指定区分だ。
この指定区分を前提とする限り、最大の恐怖と不安を持つことが正当とされてしまう。
この対応を続けながらGo Toトラブル推進の方針を変えないことが国民不信の源泉になっている
このなかで、現行の感染症対策の下で医療逼迫が現実化しているのだから、政府が感染抑止を優先すべきことは当然だ。
こうした現実を背景に菅内閣の支持率が順当に急落している。
コロナ分科会はGo To一時停止を再三提言している。ところが菅義偉氏がこれを無視する。
菅内閣の支持率が急落するのは当然のこと。
それにもかかわらず、東京都を出発地とするGo Toの一時停止を菅義偉氏が決断できなければ、この内閣は超短期に終焉する可能性が高まるだろう。
それが最良のコロナ対策と言えなくもない。
            (以下は有料ブログのため非公開)