しんぶん赤旗の連載記事『逃げる政権 迫る野党 臨時国会40日』(7)「種苗法 不安に答えず成立」を紹介します。
臨時国会は、学術会議会員任命拒否問題で明け、文字通りの売国政策=種苗法の改悪で暮れました。まことに菅政権は安倍前政権に勝るとも劣らない恐るべき政権です。
このシリーズは今回で終了です。
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逃げる政権 迫る野党 臨時国会40日(7)
種苗法 不安に答えず成立
しんぶん赤旗 2020年12月13日
「農民が育ててきた種や苗が企業に支配されるのではないか」
種苗法改定に対する農民の不安に政府が答えを示さないまま、自民、公明両党などの賛成多数で改定種苗法が成立しました。
政府は「改定の目的は優良品種の不正な海外持ち出しの防止」だとし、国に登録された品種を農家が自家増殖すれば、許諾料が求められるようにしました。
自家増殖を許諾制にすれば海外流出を防げるのか。日本共産党の田村貴昭議員が衆院農林水産委員会で、「税関で荷物をすべてチェックするのか。持ち出し防止は無理ではないか」と指摘すると、農水省の太田豊彦食料産業局長は「完全に止めることは難しい」と認めました。田村氏は、農水省が知財戦略本部の会合で「自家増殖を認めるとビジネスの対象になりにくい」と述べたことを告発。「改定は農家の負担を増やし、多国籍企業の参入を許して食の安全を脅かす」と指摘しました。
日本共産党の紙智子議員は参院農林水産委員会で、「育成権者(種苗の開発者)と農家の利益バランスを取らなければならない。育成権者のみが強杞され、種苗会社の力が強くなれば、企業による種苗の支配につながる」と指摘しました。
自家増殖が事実上禁止されれば、農家が種を取る権利が奪われ、農家には許諾料という新たな負担が発生します。紙氏は、民間企業の方が、国の種苗研究機関や各県の農業試験場よりもはるかに許諾料が高い実態を示し、許諾料上昇の歯止め規定があるのかただしましたが、政府は示しませんでした。,
政府は「コメの登録品,種は17%しかないので影響ない」と説明。紙氏は「日本の種子を守る会」アドバイザーの印麹(いんやく)智哉氏の調査を示し、「生産量に占める登録品種は33%、北海道は88%。農水省のデータで算出したものだ」と批判。政府の説明が実際に生産されている登録品種の割合を調査したものではないことを明らかにしました。
改定種苗法は成立しましたが、紙氏は「ここで終わるわけではありません。政権交代で国民の願いに沿う政治をつくる」とフェイスブックで訴えています。ツイッターでの紙氏の投稿には、「今日の国会中継で紙さんを初めて知りました。すごく悔しい結果でしたが、本当にこんな政権イヤだと思った」などのメッセージが寄せられ、田村氏の事務所にも「菅政権には疑問と不信しかありません」「政権交代後に再改正しましょう」とのコメントが届いています。 (おわり)
(この連載は伊藤幸、小梶花恵、佐藤高志、土屋知紀、林信誠が担当しました)