2020年12月3日木曜日

医療崩壊一歩手前でも「Go To」に固執する菅首相の異常!(LITERA)

 注目された1日の菅首相と小池都知事の会談の結論は、「高齢者、基礎疾患のある人への『Go Toトラベル』利用自粛を呼びかける」ということのみ、という何とも信じがたいものでした。
 いまの感染拡大は主として「活動的な無症状者」によって起きているもので、高齢者、基礎疾患者の行動を抑制することで阻止できるものではありません。大いなるピント外れです。首相(と都知事)がそんな認識ではとても第3波の拡大を収めることなど出来ません。

 LITERAが「医療崩壊一歩手前でも『Go To』に固執する菅首相の異常! 分科会の見直し提言にも『マスクをつければ大丈夫なんだ』」とする記事を出しました。
 記事は、「自分が旗を振る政策の間違いを、この男は絶対に認めないらしい」と書き出されています。まさにその通りに思われます。
 かつて菅官房長官に「ふるさと納税制度」の改変に反対意見をあげたため、自治大学校長に左遷させられた元総務省官僚の平嶋彰英氏は、菅氏のことを「「とにかく言い出したら聞かない。~ 極端な人で・・・」と評しました。
       ⇒(11月13日)元総務官僚・平嶋彰英氏が語った恐怖支配の実態
 要するに有識者の意見を正確に受け止めることが出来ず、自分の思い込みは譲らないという人間だということです。

 分科会が20日、〈人の動きというのが感染の状況に影響する一つの重要な要素〉とごく当たり前のことを指摘したのに対して、首相は苛立ちを隠さず、側近たちの前で「なんでそんなことを言うんだ。専門家なのに、エビデンスがない。だいたい富岳(スパコン)の計算でもマスクをつければ大丈夫なんだ」と言い放ったということです。
 これまで「行動の変容」が強調され「営業の自粛」などが行われたのは、すべて人間が移動し接触することで感染が拡大するという「前提」が合意されていたからです。それを「エビデンスがない」「マスクをすれば防げる」と否定するのは暴論です。
 どこかのへそ曲がりが言っているのであれば聞き流せばいいのですが、問題なのはそれが首相だという点です。
 富岳の計算結果は、咳をしたときの室内の気流の様子を、ある仮定のもとに計算するとそうなるというもので、勿論それ自体は貴重なデータですが、「だからマスクをしていれば大丈夫だ」と、政治的な結論に結びつけられるようなものではありません。
 菅首相は、30日の国会答弁でもまたまた、「延べ4000万泊超の利用に対し、感染者は202人」に過ぎないと述べたようです。しかしその数字は保健所や利用者本人から宿泊施設に入った連絡を集計したものに過ぎず、首相の理系ブレーンである岡部信彦氏さえも「分析できるデータがないとの意味だ」と説明しているものです。
 要するに「202人」は、感染しても告知されなかった分や膨大な無症者たちからの感染分は全て除外されている数字であり、そんなものを振り回すことの愚を菅氏はいまだに認識できていないということです。
 この首相の下でコロナ第3波は本当の収まるのでしょうか。
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医療崩壊一歩手前でも「Go To」に固執する菅首相の異常! 分科会の見直し提言にも「マスクをつければ大丈夫なんだ」
                              LITERA 2020.12.02
 自分が旗を振る政策の間違いを、この男は絶対に認めないらしい。全国の死者が41人と過去最多を更新した昨日1日、菅義偉首相は「Go Toトラベル」の東京都の扱いについて、「小池都知事から『Go Toトラベル』について65歳を超える高齢者、基礎疾患をお持ちの方々の利用の自粛を呼びかけたいと要請があった」「国と東京都がしっかり連携し、感染拡大を阻止することで一致した」とコメント。「高齢者、基礎疾患のある人への利用自粛呼びかけ」という信じがたい対応を打ち出したのだ。
 これまで当の政府が「若者が感染を広げている」とさんざん言ってきたのに、東京「Go To」では高齢者と基礎疾患がある人に「自粛の呼びかけ」をするだけ──。「東京除外」を求めようとしない小池百合子・東京都知事の態度も酷いが、それ以上に下劣なのは菅首相だ。
 無論、「高齢者、基礎疾患のある人への利用自粛呼びかけ」などで状況が変わるはずがない。たとえば、国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は1日放送『報道ステーション』(テレビ朝日)で「東京都では、高齢者は家庭内感染や高齢者施設への持ち込みによって感染しているということが分かっています。そうした感染は、もともとは家族や若い世代から起こっているので、高齢者や基礎疾患がある人だけの行動制限をしても感染を防ぐことは難しいです。もっと広い層を対象にすべきではないかなと思います」と指摘。
 しかも、重大なのは、今回の「高齢者・基礎疾患のある人の利用自粛」のアナウンスによって、かえって感染拡大の危機感が薄れてしまうことだ。菅首相は「勝負の3週間」と言いながら、これでは感染拡大地の「Go To」にお墨付きを与えたも同然だ。
 そもそも、政府の分科会は「ステージ3」相当と判断された地域は「Go Toトラベル」を一時停止するよう提言しており、分科会の尾身茂会長も札幌市や大阪市、名古屋市とともに東京23区は「ステージ3」相当という見解を示している。
 それどころか、東京都の現状はすでに「ステージ4」に近づきつつある。7つの指標のうち「重症者用病床使用率」と「感染経路不明割合」では「ステージ4」に達しており、とりわけ重症者用に受け入れが可能となっている病床数は11月29日時点で81床で、すでに87.7%が埋まっている状態。さらに、大阪府と同様、重症患者の増加で看護師不足が深刻化しており、医療関係者からは「もう看護師は限界状態だ」「病床が確保できても看護師の手立てがつかない」という声があがっている(2日放送『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』CBCテレビ)。

Go To見直し提言の分科会に菅首相は「専門家なのにエビデンスがない」「スパコンの計算でもマスクをつければ大丈夫なんだ」
 菅首相はこうした状況を目の当たりにしても、科学者や医療関係者の声、そして「医療崩壊」一歩手前であることを示す数字といった「エビデンス」を突きつけられても、いまだ無視しているのである。これは国民を殺しにかかっているようなものではないか。
 実際、分科会は20日に「私たちの考え」と題する提言で〈人の動きというのが感染の状況に影響する一つの重要な要素〉と指摘し、菅首相は21日に渋々「『Go To』見直し」を口にしたが、その舞台裏で何があったかを「週刊文春」(文藝春秋)12月3日号が報道。そのなかで分科会メンバーの経済学者・小林慶一郎氏は、このときは通常はおこなわれる官僚の事前レクもなく、前日には分科会メンバーに届くはずの提言の文案も会議直前まで届かなかったとし、「尾身会長も文案を“骨抜き”にされる時間を官邸に与えないよう、水面下で一気に事を進めたのだろうと思います」と語っている。
 分科会の提言に介入して骨抜きにしようとすることも酷いが、しかし、この分科会の提言に菅首相は苛立ちを隠さず、側近たちの前でこう言い放ったという。
なんでそんなことを言うんだ。専門家なのに、エビデンスがない。だいたい(スーパーコンピューターの)富岳の計算でもマスクをつければ大丈夫なんだ
「マスクをつければ大丈夫」って、「Go To」利用者が24時間どうマスクを着用できているのか、そのエビデンスもないのに何を言っているのだか。菅首相といえば、11月18日に国内の1日の新規感染者数が2000人をはじめて超えた翌朝19日、ぶら下がり取材で「静かなマスク会食」という噴飯ものの呼びかけをおこない、記者から飛び出した「Go To」見直しの質問も無視して立ち去ったが、「週刊文春」によると〈「マスク」と「会食」という二つの単語を繋げたのは首相自らのアイデアで、「キャッチーだ」と自賛していたという〉から呆れてものも言えない。

日本は東アジアのなかでダントツのマイナス経済成長率 感染拡大でさらに
 菅首相は「Go To」を「地域経済の下支えになっている」と主張しつづけているが、Go Toに固執し続けるその姿勢こそが逆に日本経済の復活の妨げになっていることがわからないのか。前出の分科会メンバーで経済学者である小林氏も「感染者が増えれば経済も止まってしまう」と、感染拡大を防ぐことの重要性を指摘していたが、いくら経済対策に血税をつぎ込んだところで、その結果、感染が広がってしまったら経済を止めてしまうことになるというのは、子どもでもわかる話ではないか。
 実際、日本の中途半端な感染対策が経済を逆にダメにしていることは、各種データからも明らかだ。
 たとえば、1日に発表された経済協力開発機構(OECD)の世界経済予測では、〈来年の終わりまでに感染拡大前の水準に戻るのは中国や韓国など一部に限られていて、日本を含む多くの国では回復に時間がかかる見通し〉と予想(NHKニュース2日付)。OECDの予測では、中国は今年がプラス1.8%。韓国は今年がマイナス1.1%だが、対して日本の今年の成長率はマイナス5.3%にのぼっている。
 ここに通常の医療が機能しなくなる「医療崩壊」が加われば、さらに悲惨なことになるのは必至だろう。

 ところが、「医療崩壊」の足音がすでに聞こえてきているというのに、それでもなお菅首相は抜本的対策を打ち出すこともなく、むしろ政府は「Go Toトラベル」の来年半ばごろまでの延長や、「Go Toイート」食事券事業の延長の検討をはじめる始末。国民の健康と安全を置き去りにした菅首相の姿勢を見れば、この冬、想像をはるかに超えた状況に陥ることは間違いないだろう。(編集部)