2020年12月11日金曜日

11- コロナ対策で支持率急落 菅内閣にチラつく「早期退陣」の影 

 今月に入ってからの菅内閣の支持率は平均55%で、発足当初の約75%から2か月余りで20ポイントも急落しました。コロナ対策の無為無策に不満が募ったと見られています。
 第3波のコロナの急拡大にもかかわらずGo Toを止めようとしないのは不可解で、「言い出したら聞かない」と官僚が怖れた「頑迷固陋」さが、いまや明確にマイナスに作用しています。そもそも国民の願いに反する政策を明確な根拠も示さず、説明もしないまま進めていい筈がないので、そんな政権が長続きするとはとても思えません。
 J-CASTニュースが、
・「菅内閣にチラつく早期退陣の影  」とする記事を、
 また東洋経済オンラインが
・「支持率急落、菅首相『鉄壁ガースー』戦略の限界  」とする記事をそれぞれ出しました。

 内閣府人事局を握ったことで官僚を牛耳った成功体験?にいまなお酔っているようでは、まさに「自滅の刃」を振るうもので確かに先は知れています。
 一刻も早く退陣してもらい、安倍政権・菅政権と二代続いた大災厄に終止符を打ちたいものです。
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菅内閣にチラつく「早期退陣」の影 コロナ対策で支持率急落、
 識者の見立ては?
                      J-CASTニュース 2020年12月8日
菅義偉内閣の支持率が各マスコミの世論調査で急落し、内閣が進めるGo Toキャンペーンに与党内からも批判が出たとも報じられている
新型コロナウイルスの感染対策を評価しないとの声が多く、支持率を下げているようだ。菅政権には、どんな国のかじ取りが求められているのだろうか。

■前月より10ポイント前後低い50~60%ぐらいの水準

「なんで下の原稿ばかり読んでいるのだろうか」「目に生気が感じられないし語り方に熱意を感じられない」「国会閉じてる場合じゃないぞ」

臨時国会が会期末を迎えた2020年12月4日、菅首相は、就任時の9月16日以来となる記者会見を夕方に行った。しかし、抜本的な感染対策が見られなかったとして、会見内容を伝えるネットニュースのコメント欄では、こんな手厳しい意見が支持を集めた。

菅首相は就任前後から、携帯電話料金の値下げや不妊治療への保険適用などの政策を打ち出し、4日の会見では、「ポストコロナの成長の軸となるのがグリーン、デジタルだ」として、温室効果ガスを30年後にゼロにする「脱炭素化」の政策も発表した。8日夜には、これらを盛り込んだ73兆円規模の追加経済対策を閣議決定している。
その一方、コロナ対策では、飲食店の時短営業を進めるとしたが、Go Toトラベルについては、高齢者の利用自粛などを呼びかけたものの、感染拡大との因果関係は認めず、キャンペーンの延長決定までした。重症者増加で医療体制がひっ迫し、大阪や北海道では自衛隊の出動要請までしているとあって、ネット上でも、不満が高まっているようだ。
こうした声を反映して、各マスコミが12月上旬に行った世論調査では、内閣支持率が軒並み下落している。読売新聞や共同通信などの結果を見ると、前月より10ポイント前後低い50~60%ぐらいの水準に留まっている。

■「早期退陣の可能性もあり、選挙で負ければ退陣論高まる」
菅政権は、発足からわずか3か月で、なぜ支持率の急落を招いてしまったのだろうか。
政治評論家の有馬晴海さんは、J-CASTニュースの取材に対し、こんな見方を示した。

「安倍晋三政権の末期は、支持率が50%を切って、菅さんが総理になると、20ポイントほども上がりました。それは、安倍さんが世襲政治家でアベノミクスなどのアドバルーンを上げていたのに対し、菅さんは、叩き上げとして実務で安倍さんを支えていたため、何をやってくれるのだろうかと期待があったのだと思います。しかし、アメリカの大統領のように、ハネムーンの100日間で具体的な成果が見えないと、今度は何をやっているんだと言われるようになります」

Go Toキャンペーンを中止にしていれば、感染拡大が収まった可能性があるが、ともに進める二階俊博幹事長に自民党内の調整を頼っているため、難しかったのではないかとみる。
このままでは、どんどん支持率が落ち込むといい、菅首相では選挙は戦えないと党内の声が高まれば、早期退陣の可能性もないとは言えないという。少なくとも選挙で負ければ、退陣論が高まるのではないかとしている。

「長期政権にするには、評価されるような政策を自分で見つける必要があると思います。お金を使うところを考え、病院を離れた看護師に戻って来てもらうために、給料をアップするといったことも考えられるでしょう。自衛隊の看護師は、災害が起こったときに必要ですので、事前に看護師を用意できるようにしておくべきでした。この国の将来ビジョンも明確にし、収入が月3万円増えるような経済にするといった政策を打ち出すなど、首相としての発信力を付けないといけないと思いますね」

                   (J-CASTニュース編集部 野口博之)


支持率急落、菅首相「鉄壁ガースー」戦略の限界 会見はメモ棒読み、紋切り型答弁で説明を回避
                        泉 宏  東洋経済オンライン  2020/12/09
 12月5日の臨時国会閉幕を受けた各メディアの世論調査で、内閣支持率が急落し、菅義偉首相や与党首脳がいらだちを強めている。Go To事業の見直しに象徴されるようにコロナ対応は迷走。政権絡みの「政治と金」スキャンダルが加わり、菅首相による年末年始の政局運営が厳しさを増している。
 政権発足から間もなく3カ月が経過する。いわゆる「新政権のハネムーン期間」に開かれた前の臨時国会は、コロナ対策や日本学術会議会員任命拒否問題に加え、終盤で安倍晋三前首相の「桜」疑惑が再燃するなど、「攻め所満載」(立憲民主幹部)の国会攻防となった。
 これに対し、菅首相は「守り一辺倒で塹壕(ざんごう)にこもる」(同)という官房長官時代からの「鉄壁ガースー」戦略で野党の攻勢をかわし続けた。野党の内閣不信任案提出は「年明け解散説」という脅しで封じ込め、会期延長も拒否して国会を閉じた。

Go To継続に感染拡大批判
 ただ、菅首相が自らの肝いり政策として推進しているGo Toトラベル事業については、「全国的な人の移動を促進させたことで、11月以降のコロナ感染急拡大につながった」(医療専門家)との批判が噴出。与党内からも「いったん中止して、感染が下火になったら再開するほうが経済への打撃も少ない」(閣僚経験者)と軌道修正を求める意見が相次いでいる
 菅首相は「Go Toトラベルが感染拡大につながったというエビデンス(証拠)はない」の一点張りで、Go To事業の2021年6月末まで延長することを決断した。12月中旬に感染拡大傾向が続いていても事業を続行する構えだが、その時点で内閣支持率がさらに下がれば、年明け以降の政権危機につながる可能性もある
 各メディアが7日にかけて公表した世論調査によると、内閣支持率は平均で10ポイント以上急落した。菅内閣の支持率は発足時に歴代3位とされる平均70%だった。その後、学術会議問題への批判で7~10ポイント下落したものの、その後は回復傾向を示していた。
 今回の世論調査で支持率の平均は50%台半ばとなった。3カ月以内で支持率が20ポイント近く下落するのは異例のことだ。加えて、極めて低かった不支持率が急上昇しているのも不安材料となっている。もっとも、歴代内閣に比べれば支持率はなお高く、与党内でも「一喜一憂する必要はない」(自民幹部)と余裕の声も漏れる。
 しかし、世論調査結果を分析すると、いずれの調査でも政府のコロナ対応は「評価しない」が「評価する」を大きく上回り、菅首相が主張する「感染防止と経済活動の両立」についても感染防止優先が圧倒的多数となっている。
 さらに、前臨時国会終盤で再燃した桜を見る会をめぐる疑惑でも、当事者である安倍前首相の明確な説明を求める声が8割超となった。安倍前首相の国会招致や政府の再調査を求める声も6割前後となり、官房長官として安倍前首相の答弁内容をそのまま繰り返した菅首相への不信感もにじむ。

記者会見は棒読みに終始
 こうした状況について立憲民主党幹部は「コロナ対策はほぼ無為無策で、Go To事業(の見直し)対応も不十分なのが最大の理由」と指摘。共産党は「首相の指導力がないどころか、右往左往、迷走ばかり」(幹部)と酷評している。
 菅首相が感染防止策で国民の自衛ばかりを求め、Go Toの運用見直しも都道府県知事に丸投げしていることについて与党内でも不満が相次ぐ。しかし、菅首相はこうした声も無視する形で、具体策を講じずに「国民の命と暮らしを守るため、全力を尽くす」と繰り返すだけだ。
 こうした菅首相の「頑迷固陋(ころう)な姿勢」(閣僚経験者)を浮き彫りにしたのが、国会が事実上閉幕した4日夕の記者会見だった。首相官邸における本格記者会見は、就任時の9月16日以来、2度目となる。
 まず冒頭発言で約18分間、政権発足以来の内政・外交の成果を語ったが、安倍氏と違ってプロンプター(発言補助装置)を使わず、カメラ目線なしで手元の応答メモの棒読みに終始した。
 しかも、その内容は「3大スガ案件」とされる携帯電話料金値下げとデジタル庁の創設、不妊治療の保険適用ばかりを強調するもの。短期間での首脳外交の成果も自賛し、「自己宣伝オンリー」(立憲民主幹部)だった。
 その後の記者団との質疑も、幹事社の質問には菅首相のメモ棒読みが続き、自由質問になってようやく緊張したやり取りとなった。学術会議会員の任命拒否問題について、「これだけの反発を予想していたか」との質問にはメモを見ずに顔を上げ、「かなりなるんではないかと思っていた」と、やや得意そうに答えた
 会見時間は約50分間で質問者は12人。司会役の内閣広報官が指名したが、政治スキャンダルを取り上げたのはフランス人の特派員だけだったため、「事前に仕組まれた通りの首相会見」(有力地方紙幹部)との不満も相次いだ。

首相失格の菅流答弁術
 しかも、多くの記者が挙手を続ける中、次の日程を理由に会見を打ち切ったあたりは、安倍前首相の記者会見対応とまったく同じで、「前例打破どころか、悪しき前例踏襲」(大手紙幹部)とも見える。
 安倍氏は記者団の追及に時折感情的な言葉で反論する場面もあったが、菅首相の場合は学術会議問題を薄笑いでかわした以外は、表情も変えずに応答メモを読み続ける姿勢に徹していた。このため、会見全体も平板だった。
 こうした「菅流答弁術」は、7年8カ月にわたった官房長官時代の定例会見で、批判的な質問を「指摘は当たらない」「問題ない」との紋切り型で否定してきた手法をそのまま継続しているように見える。
 ただ、首相就任後も「鉄壁ガースー」の答弁スタイルのままでは、「国民への説明責任を果たしていない。トップリーダーとしては失格」(自民長老)との批判は避けられない。
 学術会議問題で最大のポイントの任命拒否の理由については、国会答弁と記者会見で「人事のことは答えられない」と繰り返すだけだ。「桜」と共に浮上した吉川貴盛元農水相への鶏卵業者からの現金供与疑惑についても、「捜査中の問題はコメントを控える」の一点張りで、政治家としての説明責任も「議員個人の問題」と素知らぬ顔だ。
 菅首相自身は、国会が閉会した5日夜の側近議員らとの会食で「(国会論戦には)徐々に落ち着いて対応できるようになった」と胸を張ったとされる。これに対し、野党第1党のリーダーとして論戦を挑んだ立憲民主党の枝野幸男代表は7日のインターネット番組で、「一貫して塹壕の中で、守り一辺倒だった。これではまったく議論が深まらない」と、菅首相の答弁スタイルを厳しく指弾した。

菅首相の強気を支える野党の弱体ぶり
 国会閉幕を受けて政府は2020年度第3次補正予算案と2021年度予算案の編成作業に全力を挙げる構えだ。菅首相は両予算案を一体化した15カ月予算とする考えで、菅首相は8日午前の政府・与党政策懇談会において、事業規模を73・6兆円とし、財政支出は40兆円とする追加経済対策の策定を表明した。政府与党はこれを踏まえて、12月中旬にも第3次補正案を、続いて22日に2021年度予算案を閣議決定する段取りだ。
 前臨時国会の会期末に立憲民主など野党側が内閣不信任案提出を見送ったのは、「菅首相に衆院解散のきっかけを与えたくなかった」(立憲民主幹部)というのが理由とされる。与党内では、こうした野党の弱体ぶりが、「菅政権の強気を支えており、年末年始も政局混乱はありえない」(公明幹部)との声も広がる。
 しかし、12月第3週になっても感染拡大が続いていれば、菅首相の無策への国民的批判はさらに拡大するのは確実だ。その際、Go Toトラベルをいったん中止することになれば、菅首相が自ら失敗を認めたことになる。逆に強引に事業を続ければ、国民の恐怖感も拡大し、大規模な年末年始の旅行キャンセルなどが経済を痛撃する。年明け以降も「出口の見えない闇」(財界幹部)が続くことになりかねない。

 菅首相は6日に72歳の誕生日を迎えた。そして24日のクリスマスイブには政権発足100日という節目の日を迎える。今春、4コマ連載漫画「100日後に死ぬワニ」(100ワニ)が大人気となったが、菅首相は「イブの100日目」をどんな状況で迎えるのか。「菅サンタの国民へのクリスマスプレゼントがコロナ感染拡大だったら、支持率はさらに急落して『100ワニ』ならぬ、『100スガ』にもなりかねない」(閣僚経験者)との意地悪な声も聞こえてくる。