2020年12月10日木曜日

10- 『逃げる政権 迫る野党 臨時国会40日』(3)・(4)(しんぶん赤旗)

  しんぶん赤旗の連載記事『逃げる政権 迫る野党 臨時国会40日』の(3)と(4)を紹介します。

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逃げる政権 迫る野党 臨時国会40日(3)
   ネットでヒット 給付金相談
                        しんぶん赤旗 2020年12月8日
「国会議員にこんなこと直接聞いていいのか」―。戸惑いながら日本共産党の笠井亮衆院議員事務所に電話してきた農家の男性は、「持糖化給付金が給付されない」と訴えました。
 新型コロナウイルス感染拡大による自粛の影響で事業が立ち行かなくなった事業者からSNSなども通して、党議員に連日連絡が寄せられています。「持糖化給付金のことで困ってネット検索したら、国会質問や『しんぶん赤旗』の記事にヒットした」と、これまで党と縁のなかった人たちからの連絡も。
「持続化給付金を9月24日に申請したが、確認メールが一度来ただけで放置されている」「申請要件を満たしているのに、ネットで申請するとはじかれる」。党国議員団は全国商工団体連合や地域の民主商工会、党の地方議員などを通じて寄せられる案件について案件について、一つひとつ中小企業庁に問い合わせます。「放置されていた」いう事業者には、笠井事務所が同庁に確認した後に入金されました
 最近の相談で多いのは、開業届の提出がないと「書類不備」になる問題や、法人登録していない「みなし法人」には給付されない問題です。
 ある建設業者は開業届の代わりに労災の書類を出しても受理されず、申請を取り下げるよう指示されました。笠井氏が衆院経済産業委員会で「一方的な打ち切りを撤回し、個別に状況を確認せよ」と迫ると、梶山弘志経産相は「不備は解消する」と約束しました
 農産品の直売所や付属レストラン、観光地の「ガイドの会」などのみなし法人は法人登記がないため申請できません。岩淵友参院議員は経産委員会で「生死がかかっている。事業実態を見て確認せよ」と迫りました。
 持続化給付金を受けた事業者も「使い果たした」「年を越せない」と悲鳴を上げています。
 日本共産党は持続化給付金の制度改善と2回目の支給、雇用調整助成金のコロナ特例の延長、休業支援金の制度改善などを求めてきました。政府は雇用調整助成金のコロナ特例を来年2月まで延長することを決め、学生支援給付金の追加配分、生活福祉資金や住宅確保給付金の延長も実現する方向です。
 清水忠史議員衆院財務金融委で、景気が大きく落ち込む中消費税率5への引き下げは、コロナ禍のもとで国民生活を下支えするとともに中小企業を支援することになると指摘。大門実紀史議員は参院財政金融委で、すでに37カ国で消費税や付加価値税が減税されているとして減税を検討するよう迫りした。 (つづく)


逃げる政権 迫る野党 臨時国会40日(4)
   学術会議  拒んだ論拠崩壊
                        しんぶん赤旗 2020年12月9日
 臨時国会が事実上、閉会した4日、官邸で2カ月半ぶりに記者会見に臨んだ菅義偉首相。記者から日本学術会議の会員任命拒否への反発を予想していたのかを問われる
と、溥笑いを浮かべながら、「かなり(反発が大きく)なると思っていた」などと開き直りました。しかし、臨時国会の論戦で明らかになったのは、菅首相の任命拒否が違憲・違法であり、答弁に立つことすらできないほどの追い詰められぶりです。
 10月1付の「しんぶん赤旗」報道で発覚した任命拒否問題。野党は同月2日、ただちに合同ヒアリングを開き、この問題での共闘体制をかためました。合同ヒアリングには、任命を拒否された会員候補の3氏のほか、日本学術会議の元会長らが出席し、任命拒否が違憲・違法であることを証言しました。
 これに対し、菅首相は「一部の大学に偏っている」「私立大が少ない」「民間、若手が少ない」などと学術会議を攻撃。しかし、任命拒否した研究者との矛盾や、日本学術会議の会員構成が男女比、地域分布、特定大学への集中是正で大きく前進している事実を突きつけられると、まともに答えられなくなりました
 追い詰められた菅首粗は「以前は」推薦名簿提出前に、内開府と日本学術会議との間で「一定の調整が行われていた」などうその説明まで持ち出しましたが、これも日本学術会議の大西隆元会長がただちに「推薦前調整(=推薦者の差し替え)」はなかったと証言し、決着がついています。
「一つうそをつき、それが通じなくなると、また次のうそをつく。うその自転車操業″ともいうべきみじめな状態に陥っている」(日本共産党の志位和夫委員長、12月4日)。これが菅首相の実態です
 菅首相は「憲法15条に基づいて、必ず推薦通り任命しなけれぱならないわけではない。これは内閣法制局の了解を経た一貫した考え方だ」といまだ言い続けていますが、この詭弁(きべん)が通用しないことも論戦で明らかになっています。
 志位氏は11月4日の衆院予算委員会でこ「政府が行うのは形式的任命」(中曽根康弘首相、当時)という1983年の法改正の際の国会答弁は内閣法制局とも十分に詰めた法解釈であったことを確認。その一貫した法解釈を、政府が国民に隠れ、勝手に覆したのが2018年11月であることを明らかにし、「クーデター的な法解釈の改ざんというほかない」と厳しく批判しました。
 こうしたなか、菅首相や目民党は、日本学術会議の努力を無視して攻撃・批判することで、任命拒否問題からの論点そらしに躍起になっています。井上信治科学技術担当相は、日本学術会議に「デュアルユース」(民生技術を軍事転用)の検討や国の機関から切り離しを伝えるなど介入を強めています。
 無法を合理化、隠ぺいするために、さらなる無法を重ねるやり方は通用しません。この問題の唯一の解決方法は6人の任命拒否を撤回する他ありません。 (つづく)