2020年12月25日金曜日

「学術会議法の解釈18年の文書で転換」 説明文書 修文を重ねA4判1000枚超に

 24日付の記事「日本学術会議の問題は終わっていない/ ~ 」で明らかにされたように、「日本学術会議会員を首相が任命拒否できるという法的根拠」を「政府は一貫して持っていた」というのは真っ赤なウソで、18年に内閣府と内閣法制局が「日本学術会議法第17」を無理やり捻じ曲げて作り上げたものでした。
 たった1つの条文の解釈に関する文書が「A4判1000以上に及ぶ」というのが何よりの証拠です。それほどまでに「修文作業を繰り返し」て、無理矢理でっち上げたということです。
 共産党の田村智子政策委員長は22日夜、インターネット番組「ポリタスTV」に出演し、菅首相が日本学術会議の会員候補6人を任命拒否した問題について、ジャーナリストの津田大介氏とこの問題で議論しました。

 この「膨大な修文作業」が明らかにされたのは17日の参院内閣委員会で、田村氏が、「首相が任命拒否できるとの法解釈は任命制の導入以来一貫していると説明してきたが、『任命拒否ができる』という『一貫した法解釈』などなかったから、内閣府が法制局と協議したのではないか」と糾したことに始まります。
 18日付と24日付の「しんぶん赤旗」の記事を紹介します。
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学術会議介入 法解釈「一貫」せず 18年補充人事で法制局と協議 田村氏追及
                       しんぶん赤旗 2020年12月18日
 日本学術会議が2018年に示した会員補充人事に官邸側が介入しようとしたことがきっかけとなって、内閣府と法制局が20回以上の協議を重ねて「首相が任命拒否できる」という法解釈をつくりあげていたことが、17日の参院内閣委員会でわかりました。日本共産党の田村智子議員が内閣府提出の新資料を示し、明らかにしたものです。
 同資料は、内閣府の学術会議事務局が法制局に「学術会議の推薦の通りに首相が会員を任命すべき義務があるかどうか」を相談した18年9月5日以降の協議経過に関する一連の文書。任命拒否の法的根拠とされる18年11月13日付の「内閣府日本学術会議事務局」名の文書をつくりあげるまで修文作業を繰り返していたことがわかります。
 田村氏は、“首相が任命拒否できる”との法解釈は任命制の導入以来、一貫していると説明してきたが、「『任命拒否ができる』という『一貫した法解釈』などなかったから、内閣府が法制局と協議したのではないか」とただしました。内閣府の福井仁史学術会議事務局長は「推薦と任命の関係を確認するために行った」としか答えませんでした。

 田村氏は、一連の文書で肝心の結論部分が黒塗りになっていることについて、政府が「任命権者の考え方につき誤解を招きうる記述なので黒塗りにしている」と弁明したと指摘。法の解釈・運用にかかわる部分を隠すのは許されないと批判し、黒塗り部分を外すよう要求しました。また、18年9月の日本学術会議の会員補充人事で、杉田和博官房副長官が推薦順位の入れ替えを要求したことが問いあわせのきっかけとなったことも記されているとして、杉田氏の参考人招致を求めました。


学術会議法の解釈 18年の文書で転換 ポリタスTV 田村政策委員長が語る
                       しんぶん赤旗  2020年12月24日
 日本共産党の田村智子政策委員長は22日夜、インターネット番組「ポリタスTV」に出演し、菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人を任命拒否した問題について、ジャーナリストの津田大介氏と議論しました。
 冒頭、田村氏の17日の参院内閣委員会での質疑が紹介されました。田村氏は、政府が従来の法解釈を覆して「学術会議の推薦の通りに任命しなければならないわけではない」とした2018年の文書が内閣府と法制局の協議で作りあげられた経過を、内閣府提出の資料で明らかにしました。
 番組で田村氏は質疑を解説し、“任命拒否できる”という法解釈が「『一貫した考え』ではないと示す資料が出てきたことを知らしめる必要があるとの思いで質問した」と述べました。2018年の補欠人事では官邸側の介入で推薦が見送りになったことも指摘。介入したい官邸側と学術会議側の緊張関係が高まるなかで「人事介入を是とするための作文がやられたことが今回分かった」と強調し、介入したのが杉田和博官房副長官であることを学術会議事務局長が認めたことも紹介しました。
 田村氏は、18年文書作成にあたり内閣府と法制局が「任命拒否が許容されるのか否か」と何度も協議し書き直した経過も分かったと指摘。作成過程で何度も出てくる「学問の自由」の文言は最終的に本文からは削られ、“任命拒否できる”という「結論ありき」で作成されたことも推定できると述べました。
 津田氏は、安倍政権下で内閣法制局長官の首をすげかえて集団的自衛権行使の法解釈が覆されたことに触れ、「全部つながっている」と発言。「法治主義や民主主義のプロセスが前政権から現政権に至るまでいろんな形で破壊されてしまった問題」と述べました。また、自民党は学術会議のあり方の問題にすりかえて逃げ切ろうとしていると述べ、今後どう追及していくかと質問しました。
 田村氏は「新しい資料が出てきたところであり、ここから人事介入に対する追及が始まる」と発言。「学問の自由、言論の自由に対する弾圧の側に自民党が立っての介入だと明らかになっている。こんな自民党が支える政権でいいのかということも含めて問いかける運動にしていきたい」と語りました。