2020年12月25日金曜日

25- 選挙イヤーの自民に打撃「安倍前首相を起訴に」の無間地獄(日刊ゲンダイ)

 東京地検が「桜」前夜祭問題で、安倍前首相は公設秘書に騙されたとして不起訴処分(嫌疑不十分)とする一方で、秘書は微罪に当たる罰金100万円の略式起訴にしました。検察が、弱者に対しては「人質司法」で無理やり有罪を作り上げながら、強者に対しては何もしないことはこれまで良く知られてきたところです。
 鳩山由紀夫元首相がツイッターで24日、「安倍前首相と東京地検特捜部の馴れ合い桜捜査はネズミ1匹安倍不起訴でシャンシャンの幕引きのようだ」「しかしこれは記載漏れの話で終わりではない。多くの後援者に安いサービスを与えたのだから、公職選挙法違反であることは間違いない。これを許したらこの種の政治家の犯罪が蔓延するに違いない」と強く批判しました。
 こうして検察も、安倍氏らと同様に国を大いに汚しているわけです。
 安倍氏を告発した弁護士ら21日、刑事告発の対象を安倍氏の資金管理団体『晋和会』の昨年までの5年間の記載を対象に広げ、新たな告発状を東京地検に提出しました
 日刊ゲンダイによれば「#安倍前首相の起訴を求めます」というハッシュタグがSNSで出回るほど国民の反発は強まっています
 安倍氏を告発した1000人近い弁護士らは当然検審に不服申し立てを行います。そこで起訴相当決議と検察による不起訴が繰り返されればいずれ「強制起訴」に至ります。そうなれば、来年秋には総選挙が行われる状況の中で自民党には打撃になり「無間地獄」に陥ることになるとしています。当然の成り行きです。
 併せて日刊ゲンダイの巻頭特集「安倍氏不起訴に国民の怒り これじゃ嘘をついたもん勝ち」を紹介します。
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選挙イヤーの自民に打撃「安倍前首相を起訴に」の無間地獄
                          日刊ゲンダイ 2020/12/24
「#安倍前首相の起訴を求めます」――。そんな「ハッシュタグ」がSNS上で出回るほど国民の反発は強まっている。
 安倍氏本人が任意聴取を受けた報道に必ず付きまとうのが「特捜部は近く、安倍氏本人を不起訴とする公算が大きい」。だが、東京地検が安倍前首相を不起訴にしても、検察審査会(検審)が待っている。“桜事件”で安倍前首相を告発した1000人近い弁護士らは検審に不服申し立てを行うだろう。
 しかも検審の構成員は無作為で選ばれた11人の有権者だ。政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏が言う。
「安倍氏は『不正は知らなかった』と、秘書に前夜祭の費用補填の全責任を押し付けようとしていますが、一般の感覚とはかけ離れています。高級ホテルのあれだけ立派な宴会場で飲み食いさせれば、会費5000円で賄い切れないと誰もが気づくはず。そもそも補填の原資はどこから捻出したのかも不明です。たとえ特捜部の捜査が手抜きでも、検審の構成員が普通の感覚なら、公判で真実を明らかにすべきと『起訴相当』の議決を出す可能性はあり得ます

 衆院議員の任期満了まで10カ月を切り、来年は必ず総選挙が行われる。安倍前首相と同じく陸山会事件で政治資金規正法違反の「共謀」に問われた民主党の小沢一郎幹事長(当時)は2010年2月に不起訴。小沢氏を告発した市民団体が検審に不服を訴え、同年4月には「起訴相当」の議決が出た。検察の再捜査後、同年5月に再び不起訴となると、同年10月には検審が2度目の起訴相当の議決を出し、翌年1月に小沢氏は強制起訴された。
 このスケジュール感にならうと、自民党にとって来年は国民の「安倍前首相の起訴を求めます」の声が延々と喉に刺さったままとなりかねない。まるで無間地獄だ。
「弁護士らの刑事告発の対象は、安倍氏の地元・山口県が所在地の政治団体『安倍晋三後援会』の一昨年分の収支報告書の記載のみ。そのため、21日には安倍氏が代表かつ議員会館の事務所が所在地の資金管理団体『晋和会』の昨年までの5年間の記載を対象に広げ、新たな告発状を東京地検に提出しました。これで特捜部も安倍氏の会館事務所を強制捜査しやすくなったと思います」(上脇博之氏)
 選挙イヤーを控える自民党議員にすれば「安倍さんもサッサと議員辞職して欲しい」が本音ではないか。


巻頭特集
安倍氏不起訴に国民の怒り これじゃ嘘をついたもん勝ち
                       日刊ゲンダイ 2020年12月23
                      (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 形ばかりの「捜査」で終わらせて、国民が納得すると思っているのか。
 安倍前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の費用を補填していた問題で、東京地検特捜部が安倍本人を任意で事情聴取したことが分かった。安倍は自らの関与を否定したという。
 これを受け、特捜部は政治資金規正法違反(不記載)の罪で後援会代表の公設第1秘書を略式起訴し、安倍本人については実態を知らなかったとして、週内にも不起訴処分とする見込みだと報じられている。それで年内にも捜査を終結させるというのだが、冗談じゃない。
 衆院調査局の調べによれば、安倍は「桜を見る会」前夜祭の問題に関し、昨年11月から今年3月の衆参本会議や委員会で少なくとも118回の虚偽答弁をしていたことが判明している。「事務所は関与していない」の類いが70回、「明細書はない」が20回、「差額は補填していない」が28回だ。これらすべて事実とは異なっていた。こんな首相は前代未聞だ。
 大嘘つきが「秘書が勝手にやった」「自分は知らなかった」と語るのを真に受けて、特捜部が不起訴処分にするとしたらお笑いだ。ガキの使いなのか。
 19日から地元の山口県入りしていた安倍は、講演会に出席して「憲法改正に皆さんと共に取り組んでいきたい」とかエラソーに話していた。桜疑惑に関しての発言はなかったという。21日午後に羽田空港に到着してから都内の自宅に戻るまでの約5時間の間に聴取を受けた可能性がある。
 国会で嘘をつきまくり、法に触れる疑いを持たれたら秘書のせいにして逃げる政治家が憲法改正を語るのもどうかしているし、コロナ感染拡大で政府が年末年始の帰省は「慎重な判断を」と呼び掛けている時に、地元に帰って講演会に出席というのも、疑惑の渦中にある人物の行動とは思えない。桜疑惑はまるで他人事のようだ。

証拠隠滅でもガサ入れかけない茶番
最初から安倍前首相は不起訴ということで検察と握った出来レースなのでしょう。そうでなければ、平然としていられるわけがない。秘書がやったにしても、収支報告書に書かなかったのは、前夜祭の費用補填が法に触れる行為だと分かっていたからです。あれだけ国会で騒動になって、前夜祭会場のホテルに明細を再発行してもらうなど、ちょっと調べれば済むことなのに、安倍氏はそれをかたくなに拒否して、『総理大臣の言うことだから信じろ』と居丈高に答弁していた。今ごろになって、『秘書にだまされていた』なんて言い訳は通りません。今回は不起訴になっても、検察審査会に申し立てられるのは間違いないし、この事件を不問に付した検事総長らが検察官適格審査会にかけられる可能性もある。安倍事務所側は前夜祭の会場ホテルの領収書を廃棄していたことも分かっています。悪質な証拠隠滅が行われているのに、特捜部はなぜ家宅捜索をしないのか。こんな茶番で終わらせたら、国民の怒りが爆発しますよ」(政治評論家・本澤二郎氏)

 法的責任を免れても、行政府のトップが国会で嘘をつき続けてきた罪は重い。野党から追及されてもマトモに答えず、ペラペラ嘘をまくし立てる。それでどれだけの審議時間が無駄になったことか。どれだけ政治が停滞したのか。国民に対する背信行為というほかない。
 野党議員も国民の代表だ。国会に呼ばれた政府の代表者が嘘を言えば国会は機能しなくなる。審議が成り立たないのだ。大嘘つきに立法府を冒涜されて黙っている与党議員も情けない。国会議員は総理大臣の部下ではない。主権者の代表として行政を監視し、ただすのが役割だ。国会は国権の最高機関なのである。安倍の嘘で民主主義の根幹が脅かされた。それを不問に付す国会で、国民の負託に応えられるのか。

病気を理由に首相を辞した安倍は議員辞職しかない
 安倍政権は民主主義を破壊し、それを自民党は黙認し、安倍の疑惑を封じ込めるための継承者として菅首相が選ばれた。虫唾が走るような暗黒政治には絶望しかない。
 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が言う。
「本来、司法が機能していれば訴追されるべき案件です。桜疑惑は公選法違反や政治資金規正法違反にあたり、これが許されるのであれば、国会議員の身分も大臣の地位もカネで買えることになる。法的にも問題があると思いますが、それとは別に、道義的責任だけでもきっちり取らせる必要があります。自民党はこれまで、疑惑を持たれた閣僚は辞任することで責任を取ってきた。大臣を辞めれば、社会的制裁を受けたとみなして検察側も訴追しないという不文律がありました。安倍氏の場合、疑惑ではなく病気を理由に首相を辞任しています。ヒラ議員の今は、政治責任を取るのであれば議員辞職するしかないでしょう。これだけ国会を混乱させ、モラルを崩壊させた罪は万死に値する。モリカケ問題だって真相は明らかになっていないのです。その場しのぎの嘘を繰り返して国会を空転させ、財務官僚や秘書に責任を押し付けて逃げ切れるのであれば、もはや法治国家とは言えません。法の下の平等が目の前で踏みにじられるのを看過していたら、社会の底が抜けてしまいます」
 われわれ日本人の多くは、親から「嘘をついてはいけない」と言われて育ってきた。それが、安倍のような「嘘をついたもん勝ち」がまかり通れば、モラルが完全崩壊してしまう
 安倍は国民に道徳教育を押し付けることに熱心だったが、オマエが道徳の教科書を読んで出直せという話だろう。
 安倍が不起訴なら、子供に説明のしようがない。「嘘をついてでも自己正当化して厚顔無恥に生きろ」と教育しろというのか。それが「美しい国」なのか。

「潔白なら公開の場で説明すべき」
 桜疑惑の捜査終結後に安倍が国会招致に応じるというが、そんなアリバイ作りで許してはいけない。安倍サイドと自民党は非公開の議院運営委員会で一方的に説明して終わりにしようとしている。
「92年の佐川急便事件で金丸信が略式起訴で20万円の罰金刑でシャンシャンとなった際には、国民の怒りが沸騰し、検察庁の表札に黄色いペンキがブチまけられました。桜疑惑がこれで幕引きになれば、ペンキどころでは済まないと思います。特捜部不要論が再び盛り上がる。あくまで安倍氏を守ろうとすれば、自民党にも批判が向く。安倍政権で、女房役の官房長官として安倍氏をかばってきた菅首相は、疑惑もみ消しの実行役で共犯者です。『知らなかった』では済まされない。野党はどんどん追及するべきだし、国民も声を上げて後押ししなければいけない。そうしないと、大金持ちの特権階級は嘘をついて罪を逃れられるという前例を作り、この国の民主主義が本当に壊されてしまいます」(本澤二郎氏=前出) 
 菅は野党時代、民主党政権を厳しく非難していた。
 小沢一郎が「陸山会事件」について国会の政治倫理審査会で説明すると表明したことについては、2010年5月15日のブログでこう書いていたものだ。
<国会で行うとはいえ、政治倫理審査会は原則非公開で議事録も公開されず、虚偽の答弁をしても偽証罪にも問われません>
<潔白を主張するのであれば、私達が要求している偽証罪を問われる証人喚問に応え、公開の場で説明すべきです>
 桜疑惑に関して、野党は安倍の証人喚問を求めている。世論調査でも国民の多くが国会での説明は「国民が見られる公開の場でやるべきだ」と答えている。しかも、安倍は希代の嘘つきなのだ。コトここに及んでも、平気な顔して嘘の説明をしかねない。
 菅は今こそ、「潔白を主張するのであれば、公開の場で説明すべきです」と言ったらどうなのか。