2020年12月20日日曜日

代替イージス艦 閣議決定 違憲の敵基地攻撃ミサイルも(しんぶん赤旗)

 政府は18日の閣議で、「イージス・アショア」の代替策として、イージス艦2隻の新造を明記した文書を閣議決定しました。日米が共同開発している弾道ミサイル迎撃弾・SM3ブロック2Aに加え、巡航ミサイルなどにも対応する「SM6」を新たに搭載する方針です。
 違憲の「敵基地攻撃能力」保有は明記しませんでしたが、「抑止力の強化について、引き続き政府において検討を行う」として、検討を続ける方針を示しました。
 イージス艦2隻の初期費用は5千億円を超えると見られ、イージス・アショア2割以上も高くなります。このほか実射試験の費用や人材育成経費、維持整備費などが必要で、総経費はさらに膨らみます
 そもそもイージス・アショアの導入は防衛省の意向ではなく、安倍前首相がトランプに言われて決めたものでした。それがキャンセルできなかったのは、既に1700億円以上が契約済みで、違約金として全額請求される可能性もあるためと言われています。
 イージス艦に取り付けられるレーダーSPY7はロッキード・マーチン社製の「開発途上」のもので、そんなものが採用されている背景には、「ロッキード社側から防衛省側や自民党国防族側に激しい営業があった」第二のロッキード事件?)からと言われています。
 「イージス」の最大の欠点は肝心のミサイル迎撃能力が殆どないことで、機関銃の弾丸をピストルで撃ち落とそうとするに等しいものと評されています。不要でかつ無能力の超高額兵器の購入を独断で決めた安倍前首相が国に与えた損害は計り知れません。
    ⇒(12月13日)断念したはずの陸上イージスが5000億円で洋上に復活
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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代替イージス艦 閣議決定 違憲の敵基地攻撃ミサイルも
                      しんぶん赤旗 2020年12月19日
 政府は18日の閣議で、秋田・山口両県への配備を断念した陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替策として、イージス艦2隻の新造を明記した文書を閣議決定しました。日米が共同開発している弾道ミサイル迎撃弾・SM3ブロック2Aに加え、巡航ミサイルなどにも対応する「SM6」を新たに搭載する方針です。
 違憲の「敵基地攻撃能力」保有は明記しませんでしたが、「抑止力の強化について、引き続き政府において検討を行う」として、検討を続ける方針を示しました。一方、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾(SSM)の射程を大幅に延ばし、事実上の敵基地攻撃能力である「スタンド・オフ・ミサイル」として開発する方針も盛り込みました。
 文書は、安倍晋三前首相が辞任直前の9月11日、陸上イージス代替策や「敵基地攻撃能力」保有について、年内に「あるべき方策」を定めるよう求めた談話に基づくもの。陸上イージス破綻という大失策を逆手に取り、「ミサイル阻止」を口実に大軍拡と憲法破壊に突き進むものです。
 文書は、新たに導入する2隻の呼称を「イージス・システム搭載艦」と記載。海上自衛隊が運用を担うとしました。防衛省は最新鋭のSPY7レーダー搭載で艦体が大型化するのに伴い、建造費は2隻で約4800億円~5000億円になるとの見通しを説明していましたが、運用構想や付加する機能や設計などは「引き続き詳細な検討を行う」としており、金額や全長などは明記していません。
 スタンド・オフ・ミサイルについては、「自衛官の安全を確保しつつ、日本への侵攻を試みる艦艇を効果的に阻止するために必要」だと強調。地上や戦闘機、護衛艦といった「多様なプラットフォームからの運用を前提」にするとしました。政府はすでに、射程500~900キロに達する複数のスタンド・オフ・ミサイルの導入を決めています


イージス艦2隻新造 「専守防衛」捨てるもの 田村政策委員長が表明
                      しんぶん赤旗 2020年12月19日
 日本共産党の田村智子政策委員長は18日、国会内で記者会見し、政府が「イージス・アショア」代替策を閣議決定したことについて、「『専守防衛』をかなぐり捨て、敵基地攻撃能力の保有に本格的に踏み出し、青天井ともいえる軍事費の負担を強いるものだ。絶対に許すわけにはいかない」と表明しました。
 田村氏は、敵基地攻撃能力保有の結論を「先送り」したとされていることについて、「国民だましだ」と指摘。スタンド・オフ・ミサイルは、地対艦誘導弾の飛距離を伸ばすもので、敵基地攻撃に転用できるとして、「実質的に、その能力を保有することを意味する」と批判しました。
 2018年決定の防衛大綱・中期防衛力整備計画で、スタンド・オフ・ミサイルの数種類の導入を進めているとして、「際限なき、敵基地攻撃能力の保有に突き進むことになる」と指摘。イージス艦2隻の建造費について白紙撤回を強く求めました。

 中国の尖閣諸島をめぐる行為や北朝鮮の核開発などは外交問題であり、軍事的挑発をやめさせることが必要だと指摘。「軍事に対して軍事とすれば、日本が際限のない軍拡競争に突入し、北東アジアの平和と安全を脅かしかねない」と語りました。