2015年5月10日日曜日

無用の長物に3600億円!| 欧米の学者「70年談話」に注文

 5日、日本がオスプレイ17機を3600億円で購入することが明らかになりました。
 危険でバカ高く、超低空で敵地の奥深くに侵入するのが目的のオスプレイは日本にとっては無用の長物ですが、先に訪米して『何でもあり』と誓約してきた以上、断る口実がなくなりました。
 オスプレイは砲撃設備のない単なる輸送機なので、同規模の国産ヘリコプターなら20億円で済み、特殊な機能を勘案してもせいぜい1機30~50億円程度といわれます。それを1機当たり211億円で17機も売ればアメリカはオスプレイの開発費の全額を軽く回収できます。
 アメリカにとってこんな旨い話しはなく、これは安倍首相の訪米に伴って拍車がかかったアメリカの兵器『押し売り』の始まりと見られます。たとえ不要であろうとも購入させられた以上、やがて国内での超低空飛行訓練が始まることになります。
 
 それとは別に欧米を中心とする日本研究者や歴史学者187人が、「日本の歴史家を支持する声明」を5日公表しました。安倍官邸にも英語と日本語の文書を送付し、そのなかで、戦後日本の歩み「世界から祝福を受けるには」「慰安婦」問題正しく歴史解釈する必要があると述べているということです。
 
 安倍氏の訪米・議会演説等が終わるのを待って、『70年談話』について注文をつけたものと思われます。他ならぬアメリカの絡んだハナシなので、安倍首相がどう対応するのか注目されます。
 
 日刊ゲンダイの二つの記事を紹介します。
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オスプレイ3600億円は序章…安倍首相「隷属演説」の高い代償 
日刊ゲンダイ 2015年5月9日 
 安倍首相が米連邦議会で行った「隷属演説」の“代償”は極めて高くつきそうだ。
 
  米国防安全保障協力局(DSCA)が5日、垂直離着陸輸送機V22オスプレイ17機と関連装備を推計30億ドル約3600億円)で日本に売却する方針を米議会に通知した。
  米国がオスプレイを他国に売却した例はなく、日本側は「初の輸出先」なんて浮かれているが冗談じゃない。オスプレイは米国内でも“お荷物”の存在で、日本は単に高値で押し付けられただけだからだ。
  日本政府は14年度から5年間の目標を示す「中期防衛力整備計画」で、18年度までにオスプレイ17機を陸上自衛隊に配備する計画を示している。DSCAの売却方針は、この日本の“要望”に沿った形を取っているが、とにかく驚くのは売却価格だ。1機当たり、実に211億円。いくら何でも高過ぎやしないか。
 軍事ジャーナリストの神浦元彰氏はこう言う。
 「オスプレイは機関砲もない単なる輸送機で、通常は輸送機なら1機30億~50億円ほどが相場です。それに大型の輸送ヘリが必要なら、警視庁や海上自衛隊も使っている国産の『CH-101』(約20億円)で十分ですよ。メンテナンス費用も安く、使い勝手もいい。オスプレイ購入は日本にとってかなり高い買い物です」
  やっぱりだ。そもそも、オスプレイは、米国の陸海空の3軍と海兵隊の合同で開発に着手したが、コスト高や安全性の問題から「海軍が早々と降りた」(神浦氏=前出)といういわく付きのシロモノ。防衛省は垂直離着陸ができ、離島への部隊展開が可能――などと説明しているらしいが、それほど性能が優れたヘリなら、なぜ、他国はこれまでに1機も買っていないのか。
  6機購入を計画していたイスラエルだって、昨年10月に計画を中止している。つまり、米国でも世界でも“お荷物扱い”の「バカ高いヘリ」を日本は売りつけられたワケだ。
「米国にとって高値でオスプレイを日本に売ることができれば、これまでの開発コストを回収できる上、東アジアや西太平洋なども日本がカバーすることになり、国防費も抑えられる。くしくも安倍首相は連邦議会演説で『隷属化』を強調していました。米国側は『それなら誠意を見せてもらおうじゃないか』というところでしょう」(神浦氏=前出)
  確かにDSCAが安倍の帰国直後を狙ったかのようなタイミングでオスプレイ売却方針を公表したのも偶然とは思えない。売却理由に挙げた「米国と同盟国との負担の分担を進め、米軍と自衛隊の相互運用性を高める」なんて言葉は、安倍の連邦議会演説と内容がソックリではないか。
 
  米国が「日米同盟」を「錦の御旗」にこの先、どれだけ無理難題を突き付けてくるのか。オスプレイの“押し売り”はその始まりと覚悟した方がいい。 
 
 
歴史認識で日本に“正しい行動”求めた米大物学者の顔ぶれ
日刊ゲンダイ 2015年5月8日
 安倍首相も、さすがに今ごろ青くなっているんじゃないか。欧米を中心とする日本研究者や歴史学者187人が、「日本の歴史家を支持する声明」と題する文書を5日公表、安倍官邸にも送付したのだ。
 
■187人が日本の将来を懸念
 文書は英文と日本文があり、戦後日本の歩みを「すべてが祝福に値する」と評価しつつも、「世界から祝福を受けるに当たっては障害がある。それは歴史解釈の問題だ」と指摘。その深刻な問題として「慰安婦」問題を挙げた。そして戦後70年の今年を「過去の植民地支配と侵略の問題に立ち向かう絶好の機会」「可能な限り、偏見のない清算を共に残そう」と呼びかけている。
 
 驚くのは、声明の署名者が187人という大人数に上ったことに加え、世界的に影響力のある日本研究の超大物がズラリ名前を連ねていることだ。
 ハーバード大のエズラ・ボーゲル名誉教授は1979年に出版した「ジャパン・アズ・ナンバーワン」がベストセラーになり、日本でも著名だ。ニューヨーク州立大のハーバート・ビックス名誉教授とマサチューセッツ工科大のジョン・ダワー名誉教授は、ともに日本研究でピュリツァー賞を受賞している。他にも、日本人として初めて米国歴史学会会長を務めたハーバード大の入江昭名誉教授など、米国人以外の著名研究者も数多く署名しているのである。
 
 国際ジャーナリストで早大客員教授の春名幹男氏はこう言う。
「日本研究の大物から若手まで187人。これだけ集めるのはかなりのものです。日本の今後について相当の懸念があるのでしょう。声明発表が安倍首相の米議会演説の後になったのは、訪米前に影響を与える目的ではないということ。『70年談話』は言葉の細かな話ではなく、きちんと日本の進むべき道を維持して欲しいということでしょう。ただ、声明では『中国や韓国もやりすぎだ』とも言っています。日米の軍事的な関係強化については全く触れていません。多数の賛同者を集めるために、足して2で割る妥協の文章になった感はありますが、いずれにしても、安倍首相に向けて行動を促す意図が感じられます」
 
 訪米後、浮かれ気味の安倍に冷や水を浴びせる声明だったことは間違いない。